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先日発売されたiphone5sやiphone5cが話題になっているが、ソフトバンクモバイルから大事故・大事件といっても差し支えの無い情報がプレスリリースで公表された。

信用情報機関への入金登録情報の誤りについて ソフトバンクモバイル株式会社 2013年10月1日
http://www.softbankmobile.co.jp/ja/news/info/2013/20131001_01/

プレスリリースによれば、割賦販売(かっぷはんばい・分割払いによる携帯電話の販売)で、誤って未入金と情報を登録した事により、一部顧客の信用情報に傷をつけてしまったという。誤った情報が登録された顧客の数は6万人超、影響を受けた顧客は1.6万人を超えると伝えられている(現在は修正済み)。

信用情報とは何か。

信用情報には個人の借り入れと返済に関する情報が記録されており、信用情報機関と呼ばれる団体が情報を管理している。国内ではシー・アイ・シー、日本信用情報機構、全国銀行個人信用情報センターの2社1団体があり、それぞれCIC、JICC、全銀と略称で呼ばれている。

今回、顧客は携帯電話を分割払いで購入をしたのであって、一見すると借金はしていない。なぜ信用情報が関係あるのか不思議に思う人もいるかもしれないが、分割で代金の支払いを受ける際、企業は大抵の場合、信用情報機関に情報を照会する。単純に踏み倒しをされたら困る、お金を払わずに持ち逃げされたら困るという理由もあるが、割賦販売は企業からみれば客にお金を貸す行為に他ならないからだ。多くの人は借金をしている感覚は無いかもしれないが、必ず払わなければいけないお金は借金と性質は同じで、信用情報機関にも情報が登録されるとなれば、これは「実質的に借金扱い」ではなく「借金そのもの」だ。

事業者側は勝手に信用情報にアクセスしているわけではなく、顧客の了解を得た上で信用情報を確認し、登録をしている。適当にサインをしている人は記憶に無いかもしれないが、携帯電話の割賦販売では信用情報機関に情報確認をする事、支払いに延滞があった場合は信用情報に記録が残る事などについて書面で承諾を得ている。いずれにせよ割賦販売で商品を買えば借金として扱われる事は間違いないわけだ。

信用情報には個人を特定する名前や生年月日、住所などの情報と共に、借金や割賦販売でいつ・どこで・なにを・いくら買ったのか、しっかり記録されている(下記リンク参照)。

CICが保有する信用情報 http://www.cic.co.jp/confidence/posession.html

分割払いは借金なのか?

企業から見た場合、例えば10万円の商品を10回払いで販売したとする。利息を取らなければ1万円の支払いを10回受ける事になる。この場合、1回目の支払いを受けた時点では残りの支払い額は9万円となる。客が自己破産でもしない限り、企業は当然の事ながら9万円を受け取る権利がまだ残っている。これはお金を貸して分割払いで返済してもらう取引と全く変わらない。そして企業会計では未回収の代金は貸付金と同じ性質のものとして扱う。つまり買い手である客にとっては借金になるわけだ。

ソフトバンクモバイルは上記のような形で割賦販売を行っていたようだが、金利手数料は無料!でおなじみの「ジャパネットたかた」は代金を受け取る際には間に信販会社をはさんでおり、自社で代金回収は行っていない。ジャパネットたかたのHPでは代金を信販会社が一旦全額肩代わりし、顧客は信販会社に分割で代金を払う、と3角形の形をとっていると説明されている。信販会社に払う手数料の分だけジャパネットたかたの利益は減ってしまうが、審査の手間や未回収のリスクを考慮して信販会社を利用しているのだろう。当然の事ながら、信販会社は顧客に対して信用情報の確認を行う。

ブラックリストとは何か?

今回一部報道では、ソフトバンクモバイルが誤った情報を登録した事により、いわゆる「ブラックリスト」に情報が載ってしまった、とも伝えられている(携帯代「未入金」と誤登録…ブラックリストに? 読売新聞)。借り入れと返済に関する情報は正常なものであればなんら問題なく、クレジットヒストリーとも呼ばれる。こういった返済実績はあったほうがお金をよりたくさん借りやすくなるというメリットもある。問題は返せなかった場合の記録だ。

この人は過去にお金をちゃんと返しませんでした、という記録が信用情報機関に残っていると新たにクレジットカードを作る際、あるいは住宅ローンやカーローンを組む際に審査でマイナスに働く。これが「ブラックリストに載った」といわれる状況だ。返済がほんの少し遅れた程度ならば問題は無いが、自己破産などは当然の事ながら記録に残る。

自己破産まで行かなくても、例えばクレジットカードの引き落とし時に銀行口座が空になっていて、カード会社から引き落としが出来なかったと連絡が来たにもかかわらずそれを長期間放置する。さらにそのまま放置してクレジットカードが強制解約されてしまい、未払いの代金(債権)を引き継いだ全く別の回収会社(債権回収会社とかサービサーと呼ばれる)から、「カード会社から債権を引き継いだので早急に支払ってほしい」と督促の連絡が来る……とここまで行ってしまえばブラックリスト入りは確実だろう。なお、この話は10年以上前に友人が陥った状況だ。あんまりいい加減な事をやってると将来家が買えなくなるぞと話したことを覚えている。

ブラックリスト情報は長期間残る。

ブラックリスト入りで困ってしまうのは、通常の記録であれば5年で消えるものが、悪い記録は7年~10年も残ってしまう点だ。もっとも、信用情報の記録は売り手である事業者側のための仕組みなので、借金を踏み倒した情報が1年や2年で消えてしまっては何の意味も無いので、ある意味で当然ともいえるだろう(先の友人についてはもうローンを組んでも問題の無い状態だと思われる)。

エンガジェットが報じた「ソフトバンクが分割払い6万件超を誤って滞納扱い、クレジット審査等に影響。半年公表せず」(2013年10月1日)によれば、今回の誤登録は2012年末に集中しているが、一番古いもので2009年に登録されたものもあるという。そしてミスに気づいた時期は2013年の3月だというから、3年以上も誤った情報が登録されていた事になる。もしかしたら間違った信用情報のせいで家や車が買えなかった人がいる可能性すらあるわけだ。一番新しい誤登録は今年8月にも発生しているというから、間違いに気づいた後もさらにミスが続くというとんでもない状況だ。

自分はFPとして住宅購入の相談にも多数のっている。さすがに信用情報の話まではしないが、印刷して渡しているテキストでは以下のように説明している。
信用情報は通常利用者の目には触れませんが住宅ローンを借りる際には審査で必ず銀行が確認します。ごくまれに信用情報が間違って登録されている事もありますので、借入の前には確認した方が良いかもしれません(延滞などで身に覚えがある方も) 
シェアーズカフェ・ファイナンシャルプランニングの教科書より

まさか携帯電話の割賦販売でこのような状況になるとは思わなかったが、信用情報の取り扱いにはきわめて高度なセキュリティと慎重さが求められる。先に書いたように支払い情報にとどまらず、購入に関するほぼ全ての情報が丸裸の状態で管理されているからだ。

今回は登録にミスがあったことはもちろん、発覚から公表まで半年もかかった点についても厳しく批判されるべきだろう。監督官庁である経済産業省には本事象発生時に報告したとプレスリリースにはあるが、二次被害を防ぐためにも経産省は早急に情報公開をさせるべきではなかったのか。この点については指導・監督する側の対応にも大いに疑問が残る。

自分の身を守るためには

今回はソフトバンクモバイルという国内でも有数の顧客を抱える企業の不祥事であったため、被害の規模が大きくなったわけだが、上場企業のグループ企業ですらこのようなミスがあるのなら、他社でも当然起こりうると考えておいた方が良い。心配な人は家や車など大きな買い物をする前には、引用したテキストにある通り信用情報を事前に確認した方が良いだろう。

金融機関によってどの信用情報機関を使うかは異なる。通常どの機関を使うかは事前に伝えられるが、住宅ローンを組む際には複数の会社に申請する事もあるので、3社とも確認した方が良い。

自身の信用情報を調べるには、信用情報機関各社に情報開示請求を出せば良い。多少の費用はかかるが手続きは簡単だ。郵送や窓口に訪れるほか、CICとJICCはインターネットや携帯電話でも情報開示は可能だ。

住宅市況が盛り上がっている最中だが、不動産業者が一番恐れるのはローンが通らない事だ。ローンが通らなければ売れないからだ。場合によっては売り手である事業者側もこういったアドバイスをした方が良いだろう。

住宅に関する記事は以下も参考にされたい。
■持ち家は資産か? 持ち家に関する二つの幻想
■「持ち家と賃貸はどっちが得か?」とか「家賃を払うのはもったいない」とかいまだに言ってる不動産業者やファイナンシャルプランナーは、相当ヤバイ
■小学生でも分かる住宅ローンの計算方法
■住宅購入と消費税増税に関して、抑えておきたい5つのポイント 
■マイホームは老後に買え! ~人口減少社会へ迅速に対応する「企業活動」のリスク~

情報開示請求の詳細な手続きは各社のHPで確認してもらえればと思うが、人生に大きな影響を与える住宅購入の計画が、間違った情報で狂ってしまえば泣くに泣けない。しかも人気物件で抽選となればやり直しもきかない。審査に落ちたら確認、ではなく事前にチェックをしておく事をお勧めしたい。

中嶋よしふみ シェアーズカフェ・店長 ファイナンシャルプランナー


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