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士業の壁を超えた集まりで飲む機会がよくあります。業界の裏話やうわさ話に話題が進むと話が尽きません。そんな中、よく出てくる話題は高額所得者ほど海外に移住しているという話です。一般的に日本の法人税や所得税は高いと言われています。そのため、税金の安い、または税金のない国に行く方が見受けられます。庶民感覚ではずるい!と思うだけですが、果たしてそれは税金徴収の観点から考えると許されるのでしょうか。東京税理士会で行われた研修の中でおもしろい例え話がありましたので、一部アレンジしてお伝えします。

本屋さんに置き換えてこれらの違いを理解

ある町に本屋さんがあるとします。入口のすぐ脇にカウンターがあって店主が番をしているような感じの店を想像してください。さて、その店のすぐ隣にコンビニがあるのですが、最近は立ち読みさせないためにヒモで縛っているようで、その影響からかその本屋さんには立ち読み客が増えました。しかし、それらの客は立ち読みをするだけで、本を買う気配は一向に感じられません。ある時店主は決意をしました。

「立ち読みお断り」という注意書きを店のあらゆるところに貼ったのです。店主はこの張り紙により、立ち読み客はいなくなるだろうと思いました。ところが、ある日店主は気づきました。店主に隠れて店の奥で立ち読みしている客がいたのです。これが「脱税」です。立ち読みお断りという店主のルールは、置き換えると税法(法律)です。ルールを破れば違反=脱税となります。

しめしめと思った店主だったのですが、次の日に新手の客が現れました。なんと座り読みです。これにはさすがの店主も参りました。そこで、座り読みしている客に立ち読みお断りの主旨を説明しました。そもそも立ち読みお断りというのは、立っても座っても立ち読みはお断りするというものです。立ち読み禁止というのは単なる例示なので、書いていないからやっても良いというものではないと話したところしぶしぶ理解してもらいました。この客の行為が、「租税回避」です。書いていないからという理由で行為を行うのではなく、なぜそのルールがあるのかというルール作りの経緯や主旨を理解すると、注意や指摘を受けることはなくなります。

しばらくすると立ち読み客はいなくなりましたが、売上も一向に増えません。あるとき通りがかりの夫婦の会話が耳に飛び込んできました。「あの本屋で本は買えないね。だって中を見られないんだもん。」店主ははっとしました。厳格なルールは本屋にとって都合がいいだけでお客さんの利益を考えていなかったのです。そこで、ルールを変更しました。カウンターの前に作った購入予定ゾーンで、買うために並んでいる間の立ち読みはOKとしました。これが、「節税」です。許された範囲の中で認められた行為は、いくらやっても咎められることはありません。

冒頭で話題にしました海外への移住ですが、正真正銘の移住は節税、形だけの移住は租税回避行為、まったく移住していないのにしたふりをしているのは脱税という扱いになります。

罰金の種類

税金について不当な行為をした場合には、さまざまな罰金が用意されています。代表的なものとしては、延滞税があります。これは、本来の納付期限までに納付しなかった場合に課せられる税金ですが、その税率は4.3%(平成25年10月現在。ただし、2ヵ月を超えると14.6%)です。消費者金融も消費税も顔負けの税率です。

その他にも隠したり、嘘をついたりと悪質な場合には、重加算税が用意されています。この場合の税率は35%とか40%です。適正に申告することを切にお願いします

藤尾智之
藤尾真理子税理士事務所 税理士 ファイナンシャルプランナー


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