無題

OECD国際成人力調査(PIAAC)の結果が発表されました。それによると日本人がアメリカ人や韓国人、フランス人などを退けて「読解力(Literacy)」と「数的思考力(Numeracy)」のスキルで2冠を達成したことが明らかになりました。将来の日本を担う20歳未満の世代も続いて欲しい一心で、子育て現役世代にエールを送ります。

どの世代が高い得点に貢献したのか

OECD国際成人力調査の内容を紐解いていきますと、高得点に貢献している世代は、20歳以上から44歳以下です。これは、1969年以降1992年以前生まれに該当します。受験戦争まっただ中の世代です。つまり、受験戦争によって生まれた高学歴化の結果が21世紀のこの時代に明らかになったというわけです。

先日「N」の文字の入った青いリュックを背負った小学生とその親御さんとお話する機会がありました。お子さんが勉強に費やしている時間や応援している家族の本音を伺うと、昔も今も変わらずに家族総力戦です。大学全入時代と言われて久しいですが、やはり名門校や志望校に進学するためには、それなりに受験テクニックが不可欠なようです。

気になる進学にかかる費用

文部科学省から気になる学習費の総額のデータ(H22年度)が発表されています。
幼稚園から高等学校まですべて公立の場合・・・ 約504万円
幼稚園から高等学校まですべて私立の場合・・・約1,702万円
特に私立小学校は6年間で約880万円、私立中学校3年間で約383万円、私立高等学校3年間で約277万円が学習費総額となっています。お子さんが幼少期(=親の稼ぎがまだ少ないとき)にある時は、特に家計が苦しくなるのがよくわかります。

一方で世帯の年間収入が多いほど補助学習費が高いというデータもあります。補助学習費とは、塾や家庭教師代、参考書代にかける費用のことです。当然の結果といえばそうかもしれませんが、両親の収入が子供の進学に与える影響は少なくないのが現実です。立っているものは親でも使えということわざもあります。じじばばの資金面のバックアップ体制がとれるのであれば、とらないは手はありませんね。

お父さんの「すね」より太いじじばばの「すね」

総務省統計局の平成21年の調査によると、各年代の金融資産は次の通りです。
30歳代 ⇒ ⇒ ⇒ ▲262万円
40歳代 ⇒ ⇒ ⇒ 74万円
50歳代 ⇒ ⇒ ⇒ 927万円
60歳代 ⇒ ⇒ ⇒ 1,785万円
70歳代以上⇒⇒ 1,860万円
年金や退職金が豊かな時代にある団塊の世代(60歳以上)が群を抜いてお金持ちであることが公的に裏付けられました。

このことから、誰が教育費を一番払えるのかは明らかです。退職をしたからと悠々自適に生活をできる団塊世代は、現役世代から見ると勝ち逃げの世代です。年金も退職金も現役世代から仕送りしてもらっているのが事実です。そのことを理解している現役世代だからこそ、じじばば世代に言えるのではないでしょうか。せめて将来の日本を担う孫世代に逆仕送りをするべきじゃないかと。(自分たちが積み立てたお金で年金をもらっているという勘違いしている団塊の世代は本当に多いです。)

子育て世代は、わが子のためにじじばばから教育資金を奪い取れ

平成25年4月1日から直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度が始まっています。1,500万円までの孫への贈与は非課税という例のあの制度です。この制度は本当に今しか使えない制度ですし、見たところメリットしかありません。今までは教育費として金銭をその都度贈与している限り非課税でしたが、今回の制度は大手を振って、1,500万円が贈与(前払)できるからです。相続の時にも影響を受けない(注)この生前贈与は、転ばぬ先の杖でもありますし、万一の私立進学や理系進学にも大きな後ろ盾になります。孫からも子育て世代からも感謝されます。
(注)遺留分を争うときは影響を受けます。

子育て世代は、じじばばから贈与の話が来るまで待つというのは得策ではありません。積極的に対話の機会を持ってください。わが子のためでもありますし、このお金を引き出す仕事は子育て世代にしかできないことです。贈与の非課税制度は、平成27年12月31日までの限定措置ですからためらっている時間はありません。もしじじばばからの引き出しがうまくいけば、自分たちの精神面にも平穏をもたらします。お金の用立てをお願いするのは精神的につらいものがありましたから。

税務相談で多くの団塊の世代以上の方とお会いします。どの方も孫がかわいくてしかたないようです。しかし、自分の子供がいる手前言い出しづらいようです。歩み寄りやすいのは、子育て世代ではないでしょうか。

教育費が楽になった分、子育て世代は他にやるべきこと・できることがあります。わが子のために自分たちの時間を割いてあげることです。今日学校で起きたこと、塾で習ったことを聞いてあげる、学校や塾で習わない社会の出来事を教えてあげることです。決して子育て世代はパチンコに行ったり、飲み歩いたり、もちろん子どもと一緒にパズドラにはまったりしてはいけません。

わが子にいい教育を受けさせ、そして将来に向かってチャンスや選択の幅を拡げてあげることができる。その結果、わが子はチャレンジできる人生を得ることができる。そんな子孫末裔までの繁栄を願うことのできるじじばばから孫世代への最高の贈り物です。

もう一度言います、やるなら今です

某進学予備校の国語の先生もよく言っているでしょう。いつやるの?今でしょうです。じじばば世代、子育て世代が頑張るのは、今です。わが子世代は、これから何年も頑張り続けなければなりません。じじばば、両親に見守られて1年頑張れた子供はその先10年頑張れるでしょうし、10年頑張れれば一生頑張れます。

教育資金の一括贈与の非課税の注意点

お孫さんがたくさんいらっしゃる場合は無理のない範囲で贈与してください。平均余命までの生活費や有料老人ホームなどの一時金を賄えるだけの財産は手許に残しておくことが大切です。また、孫の中で金額の多少をつけると親戚付き合いにヒビが入るので細心の注意を払ってください。

対象となる教育資金は次の通りです。
・保育所、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、大学院などにかかる入学金や授業料、施設整備費など
・学習塾、予備校などの費用
・英会話教室などの受講料
・スイミングスクールや音楽教室、絵画教室、バレエ学校などのお教室代

藤尾智之
藤尾真理子税理士事務所 税理士 ファイナンシャルプランナー

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