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日本のアントレプレナー(起業家)として活躍されている方々にお伝えしたいこと。それは、契約、債券管理、回収が行われて初めてビジネスとなることです。営業活動や売上アップに走っていて、回収がおろそかになると会社や従業員、仕入先に迷惑をかけることになります。

契約書を作っていますか?

契約書作成が当たり前となっている業界は良いとして、起業したてや起業後数年間たったくらいの企業は、会社の基礎である契約書の作成がおろそかになっているケースが見受けられます。書類の作成よりも数字を上げろという大号令にしたがい、そうならざるを得ず、売掛金の回収は経理にまかせて前進あるのみかもしれません。

売掛金というのはあくまでも現金になる予定の債権です。つまり、お金を貸しているのと同じ状態です。誰しもお金を貸せば、そのお金がきちんと返済されるかどうか心配になると思います。日本の企業はとても真面目で、だまっていても振り込んでくるケースのほうが多いかもしれませんが、1社でも振り込まない企業がでてきたら、その金額によっては社運を左右されることにつながるかもしれません。

税務相談者のお話しを聞いていると昔からの付き合いで駐車場として貸してきたので、今さら契約書がないとか普通にあります。その相談者は消費税が上がるため、来年しっかりと増税分をとりたいから契約書を作りたいという前向きな方だったので良かったですが、消費税増税そのことにも無頓着だと増税後は売上も利益も、手元資金も減ってしまいます。

契約書は、取引のルールを決める基本となる書類です。現金・小切手・売掛金・受取手形などの支払手段や集金・振込などの支払方法、締めや支払日、支払遅延が起きた場合の利息の計算方法などが記載されています。自社の血液であるお金を守るためのものですが、相手先に嫌がられるとかめんどうであるとかで敬遠されがちです。しかし、その手間を省いてしまったために、いざお金が振り込まれず、相手と音信不通になったらそこから投じることとなる手間は何十倍にもなん百倍にもなってしまうかもしれません。

弁護士は契約書などの書類を求めます

得意先が支払いを拒んでいる場合や倒産した場合などは、弁護士が私たちに変わって法的手段を使って回収をしてくださいます。全額回収することは難しいかもしれませんが、可能な限り動いてくれることでしょう。その相談の時に契約書や請求書、納品書などの根拠資料の提出を求められます。

また、現在にいたるまでの経緯を聞かれます。具体的には督促を行っていたかどうか、相手先におかしな動きはなかったかどうかなどの事実認定をしていきます。売上を作ることに日々走り周り、その他のことに目が向いていないときちんと説明ができません。回収については経理にまかせていたでは、弁護士もため息をつくかもしれません。必ず文章として経緯を残しておくことが身を守る最短の近道です。裁判になった場合、裁判官は書類しか信用してくれません。

時効は取引内容によってまちまち

よく、飲み屋のつけは1年だから、来月まであの店にいかなければ踏み倒せるなどと笑い話が聞こえてきます。飲み食いしても支払が免れるなら逃げる人が増えてもおかしくはありません。ビジネスでも同じことがいえます。例えば家賃は5年、企業間の売掛金などの債権は2年などです。一度ご自分のビジネスが何年の時効に該当するのかを確認してみてください。期間が短いと思ったら、回収サイトの変更を試みるとか決済手段を現金に変えてみるとかで回収不能のリスクを減らしてみてはいかがでしょうか。資金繰りの向上にもつながりますし、次のビジネスに勝つための布石にもなります。

藤尾智之
藤尾真理子税理士事務所 税理士 ファイナンシャルプランナー


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