13thコラム写真

アベノミクスや東京五輪の期待もあり、日経平均株価も1万4千円台以上を付けている昨今、時価が購入価額以上になっている方が多いと思います。年末にかけてまだ上がるだろう、そして、来年は1万5千円以上になるだろうと期待されている方で現物の年越しをお考えでしたら思い出してください。

税金は2倍以上になります

現在、上場株式等を所有している方は、年内に売れば譲渡益にかかる税金は、10.147%(軽減税率)で済みます。しかし、平成26年1月1日以降に売るとなれば譲渡益に20.315%(本則税率)がかかります。

例えば500万円で購入した株式が、現在800万円になっているとします。
年内にいったん売却した場合の損益は、次の通りです。
 ・粗利(800万円-500万円)=300万円
 ・税金 300万円×10.147%=約30万円
 ・純利 300万円-30万円=270万円

年明けに売却した場合の損益は、次の通りです。
 ・粗利(800万円-500万円)=300万円
 ・税金 300万円×20.315%=約60万円
 ・純利 300万円-60万円=240万円

その差は30万円です。売却手数料が1,000円くらいかかっても十分な税金対策です。利益が確定すると同時に節税対策にもなりますのでこの時期を逃す手はありません。

クロス取引のすすめ

仮に今お持ちの銘柄が今後も上がるだろうとお思いであれば、売却した後にすぐに同じ銘柄を購入されてみてはいかがですか?これは、クロス取引と呼ばれます。今日までの利益を獲得できますし、すぐに購入すれば、今日の購入価額から将来の値上がり分にだけ高い税金がかかるだけで済みます。法人の場合は、この取引によって損益は認識しないというルールなので節税対策とはなりませんが、個人の場合はとても有効です。

年内の取引はいつまでできる

軽減税率の適用は平成25年12月31日までですが、実際に取引可能な期日は、12月28日までです。12月決算の企業については、配当落ちのタイミングもありますから、売却時期を良く吟味してください。

NISAも年明けに始まるので、100万円まではNISA口座で購入するという手も使えます。いずれにしても政府が用意した期間限定措置をうまく活用して人生に余裕を持たせることは精神安定に効果があります。

藤尾智之
藤尾真理子税理士事務所 税理士 ファイナンシャルプランナー

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