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栄養素とは

【栄養素】栄養のために摂取する物質を要素としていう語。蛋白質・脂肪・炭水化物の3要素のほかに、無機質、ビタミンなど。―広辞苑

栄養素の定義を辞書等で調べると、ちょっと分かりにくい表現で書いてありますが、要するに「食べ物に含まれている、命を繋ぐために必要不可欠な成分」といったところでしょうか。

図で示すと・・・
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一般的に上図の黄色で囲んだ項目3成分(タンパク質、脂質、炭水化物)を「3大栄養素」、これに緑で囲んだ項目2成分(ビタミン、ミネラル)を足して「5大栄養素」、更にピンクで囲んだ項目1成分(食物繊維)を合わせて「6大栄養素」などと呼ばれています。

各栄養成分の役割を自動車の部品に例えると

上の各項目を自動車の部品になぞらえた絵を描くと、、、

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こんな感じで、各成分のはたらき(役割り)を表現できます。イメージとしては分かりやすいのではないかと。
  • たんぱく質(青色)・・・クルマの構成成分(ボディ)
  • 炭水化物(赤色)・・・ガソリン(燃料)
  • 脂質・脂肪(ピンク色)・・・ガソリン(燃料)タンク
  • ビタミン・ミネラル(緑色)・・・エンジンオイル等潤滑成分

食の機能性

食品の持つ機能は次の3つ。
  • 栄養機能(1次機能)
  • 嗜好(味覚)機能(2次機能)
  • 生理機能(3次機能)

「栄養機能」は、前述したような栄養素による作用。細胞や組織に栄養を滋潤させる機能です。

2番目の「嗜好機能」は食材や料理の見た目(盛り付け方)、味、香りなど。栄養素が豊富だと言っても、生で食べたり、煮たり焼いたり、またはその他の調理法で食べたりと、食材・食品によって最も好まれる食べ方がありますよね。ただ満腹になれば良いというわけではありません。

そして3番目の生理機能(食の機能性)です。栄養学等でこれまで深く議論されてきたのは2次機能まででした。それが近年は、合成薬(化合物)のように単一成分での作用を計るだけではなく、様々な成分が複合的に含まれている、一部の食品や食材に、薬と同等・または薬以上にカラダに有効な働き(生理機能≒薬でいう薬効)があるという研究が行われるようになりました。

これは複数生薬を原料にした漢方薬にも一部通じます。主に「非栄養素」によるものと考えれており、神戸大学大学院の金沢和樹先生によると、次のように表されています。
非栄養素:「ATPを産生できないもの」。つまり、非栄養素は体内でエネルギー代謝に関わる酵素に認識されず、異化という分解を受けないもの。

生命維持に必要なATPをつくれない物質を生命は必要としないので、生命は非栄養素に対して次のいずれかの処理をする。

①消化管上皮細胞内で非栄養素を処理する酵素や輸送担体で認識して糞便に排泄。

あるいは②体内に吸収して異化せずに食べた時の化学形態を維持したまま体内で循環させてできるだけ速やかに排泄。

後者の非栄養素は、影も形もないどころか、形をほぼ完全に維持したまま私たちの体の中を巡り、そして体内の酵素などに認識されるのではなく、無作為にその非栄養素の化学構造と物性に合ったタンパク質のポケットなどに作用する。

ごく微量でも、酵素や受容体タンパク質のポケットに入り込んでその機能を変えたり、電子の授受を阻害または促進したりする。これを現代の食品化学や栄養学では「機能性」(正しくは3次機能)という。つまり、機能性食品の開発とは、非栄養素の深索である。

私たちが口にする食べ物には、多種多様な栄養成分が含まれています。日常生活の中でこれらをバランス良く、毎日摂取することはなかなか困難です。
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これは「必要な食物成分と、それらが満たされた状態」を、底辺から順に栄養素を摂取する優先順位を積み上げたピラミッド型に表した図です。
  1. 先ずは生命を維持する為のエネルギー源を確保して、(レベル1)
  2. 次にビタミン・ミネラル等微量栄養素もきちんと摂取する(レベル2)
  3. 以上が満たされて初めて、「非栄養素」の持つ生理機能を発現させることが出来ます(レベル3)
最近は口から入る物に対する関心が非常に高くなり、必ず副作用を有する医薬品を服用することに抵抗があったり、「漢方薬でさえも出来るだけ服用したくない」という人が増えています。実際にこういったご希望に適うアイテム(非栄養素)も少数ながら存在しますので、私の薬局でも都度ご紹介をしています。

ただし要注意なのですが、ピラミッドの下から条件を満たすという順番を逆にしてはいけません。栄養状態の悪い人が、いくら「非栄養素(=カラダに良いとされる一部の成分)」を摂取しても、これらの作用を最大限引き出すことは不可能です。非栄養素の効果発現には、栄養素の存在が絶対不可欠なのです。

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蛇足ですが、ヘビースモーカーや日常的にアルコールを大量に摂取する人が気まぐれに漢方薬やサプリを摂取しても残念ながら期待するほどの効果を得られないことからも分かるように、健康づくりは「足し算」です。いくらプラス要因をたくさん摂っても、マイナス要因が大き過ぎれば、その和(=答え)はマイナスとなります。

山浦卓
漢方サント薬局 薬剤師 医学博士

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