20131101コンサル

民主党政権といえば、経済政策については失政だったとの評価が付きまとうが、これは世の中小企業にとっては、なかなかの「置き土産」だったのではないだろうか。

7割が税理士~経営革新等支援機関

「置き土産」とは、経営革新等支援機関という制度のことだ。昨年8月に「中小企業経営力強化支援法」が成立し、中小企業向けに専門性の高い支援事業を行う人を国として認めるものだ。認定対象は、「税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等」(中小企業庁ホームページ)。まあ、もっと具体的に言うと、公認会計士や税理士、弁護士、中小企業診断士といった士業や民間のコンサルティング会社、地銀や信金などの金融機関、あるいは地元商工会や商工会議所、NPO法人などだ。法施行後、全国で17,445機関(9月下旬時点)が認定を受けており、カイケイ・ネットの読者的にはその7割が税理士という点も注目したい。

読者の中にはこれから会計士、税理士を目指す人、あるいは資格取得まもない若手の会計人も多いと思うが、皆様に意識していただきたいことがある。いや、もう私ごときに指摘されるまでもなく認識しているだろうが、税理士なら記帳や確定申告の代行業務、会計士なら監査業務をこなすだけでなく、経営コンサルティングの領域も視野に入れて業務をする必要が出ているということだ。もちろん、会計人としての基礎的知識である財務周りのことが分かっているだけで、経営はある程度のことが見えてくるが、クライアントの業種・業態に応じて個別の経営ニーズに応えていくためには、税務や会計の領域からもう1歩踏み込む必要が出てくる。

どの支援業務も経営の根幹にたどり着く

筆者も企業の広報コンサルティングを生業の一つにしているが、マーケティングであろうと、ファイナンスであろうと分野を問わず、経営支援をして顧客の課題を突き詰めていくと、経営の根本的なところにたどり着くものだと感じる。ひとつ面白い事例を紹介しよう。電通が最近、優秀な中堅社員をビジネススクールに通わせ、MBAを取らせているというのだ。同社は、企業の広告を通じたコミュニケーションの支援のみを請け負っている印象が強いが、最近はクライアント企業の財務などの経営全体の視点から、より精密なコミュニケーション戦略を練るようにシフトしつつある。

筆者の場合も、新聞やテレビで取り上げられたいというクライアントのご相談に乗るが、率直なところ手掛けているビジネス自体に問題があって、「これはメディアで掲載されることはない」と判断し、お付き合いを断ることもある。人事コンサルティングの世界でも同じらしく、筆者の顧客でもあるコンサルタントは中小企業に対し、小手先の人事制度改革をするのではなく、経営計画書の作成や経営ビジョンの再定義をきちんとさせて、それに紐付いた人事評価制度を構築して業績アップにつなげている。

会計士や税理士は元々カネ周りの知識が強いので、経営の守りの側面から的確な助言はしやすいだろう。ただ大手の監査法人でもリストラがあるご時世。会計人という市場の枠内でみれば、プラスαの売りがないと生き残りが難しくなっている。その意味では、マーケティングや経営戦略の知識を持ち合わせた中小企業診断士が実は手強い競合なのかもしれない。まずは財務という「守り」の領域からマーケティングなどの「攻め」も支援できるように、知見を磨いていく方向で、自らの中長期のキャリアプランに位置付けたい。

(文/新田哲史=コラムニスト、記事提供/株式会社エスタイル)


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