15thコラム写真

サラリーマンは年末調整で終わり。そんな構図が変わろうとしています。今年からは、確定申告でさらに所得税の還付を受けるという次なるステップを踏んでみませんか?会社に特定支出を認めてもらう秘策を公開します。

特定支出控除とは

一般的にサラリーマンは、受け取った給与に対して一定の給与所得控除が認められています。したがって、自営業者のように領収書を集めて計算した金額で費用とすることはできません。しかし、サラリーマンにも、給与所得控除以外に控除を受ける制度がありました。これが特定支出控除です。通勤費や単身赴任者の帰宅費用がこれにあたります。残念なことに平成24年までは、ハードルが高いためほとんど使われない制度でしたが、平成25年分の確定申告から使い勝手がよくなるように見直されました。具体的には、特定支出控除額がその年の給与所得控除額の1/2を上回れば、その上回った額を通常の給与所得控除に加算して控除することができます。

例として、年収500万円のサラリーマンを考えてみます。
500万円の場合の給与所得控除額は、154万円です。特定支出は、95万円だったとします。
特定支出控除がなかった場合の所得税は次の通りです。
(5,000,000円-1,540,000円)×20.42%-436,478円=270,054円
⇒所得税は、約27万円

特定支出があった場合の所得税は次の通りです。
(5,000,000円-1,540,000円-(950,000-1,540,000×1/2)×10.21%-99,548=235,340円
⇒所得税は、約23.5万円

その差は、3万5千円ですが、月に直すと約3,000円のベースアップ分に相当します。また、この金額がこれから10年続いたとしたらなんと35万円です。特定支出控除を使わない手はないと思います。

特定支出とは

従来の特定支出は次の通りです。
通勤費、転居費、研修費、資格取得費(税理士等を除く)、帰宅旅費

上記に加えて平成25年分からは、次の支出が追加されました。
・弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費
・書籍・定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
・制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(被服費)
・交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関連のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)

弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費は、専門学校に通っている方はおなじみのものだと思います。もちろん、上記資格取得以外の費用も従来通り認められます。昨今、日本の企業でもTOEICやTOEFLの点数が昇進に絡むことも多く、英会話学校に通っている方は多いと思います。会社から補助がでず自腹の方はぜひ領収書を集めておいてください。

書籍や定期刊行物なども会社で行っている仕事と結びつくのであれば、それらも特定支出となります。具体的には業界紙や得意先や仕入先のことが記載されている書籍などが該当します。

制服、事務服等とありますが、サラリーマンの場合は、スーツが該当するでしょう。価格が高い、安いの判断基準はないので、こだわりのスーツを着用されている方は今からレシートを探してください。

お客様との飲み代もケースによっては、特定支出に該当します。会社の経理に出しにくかった2次会の領収書は今後、ごみ箱行きをまぬがれるでしょう。

会社との交渉にあたっての準備

上記の特定支出は、領収書を集めただけでは、税務署に出す確定申告には使用できません。お勤めの会社の経理課や総務課でその支出が職務に必要だったと証明をしてもらわなければいけません。年間を通すと領収書はとてつもない数の枚数になるので、該当する項目ごとに整理しておいてください。

私のクライアント先でも、どう対応しようか迷っているとのことなので、まだ経理に余裕のある11月期に相談されてみてはいかがでしょうか?

どうすれば会社に認めてもらえるか

問題は、自分では特定支出だと思う領収書を会社がその通りに認めるかどうかです。経理から、「それは業務命令でやったものではないから認めない。」と門前払いとなることも想定されます。そうならないためにも、お勧めの方法があります。

皆様の会社には事業計画があるはずです。その事業計画に沿って各部課の事業計画、そして自分の年間や半期の計画が作られていることでしょう。その他に、セルフディペロプメントシートを作っている会社もあると思います。普段はこんなの作ってどうするんだ、と思うサラリーマンも多いかと思いますが、ここでは逆手に使いましょう。それらのシートをじっくりみて、計画に沿う形で特定支出すればいいわけです。

例えば、会社の事業方針で英会話能力を向上させようとなっていれば、英会話学校費用やTOEIC対策本は特定支出になるわけです。また、新規開拓を進めるのであれば、とっかかりのための話題を豊富にするために買う新聞や雑誌の購読料はおのずと特定支出になります。また、営業ノルマを達成するためとして、お客様の本音を聞きだすために積極的に二次会に行くことを計画すれば、それも特定支出です。これらの費用は、立派な職務遂行のために必要な支出ですので、会社側もNOとは言えなくなります。

日本人は受け身の方が多いので、相手側に立って認めやすくするようにする戦略も必要です。

ともあれ、事前に交渉が最善

まずは、会社や部課ごとに特定支出についてコンセンサスをとることをお勧めします。支払った後に相談するのはなんだか悪いことをしているみたいです。ぜひ計画前や支出する前にこれは該当するのかどうかを明らかにしておくと社内関係が良くなると思います。特定支出を認めることは、会社側の手間暇はあるかもしれませんが、お金は一銭もかかりません。社員のモチベーションUPにもつながりますし、対外的にも社員を応援している会社として宣伝できます。

平成25年分の個人の確定申告期限は、平成26年3月17日です。それまでに確実に証明書を入手して申告してください。確定申告ビギナーな方は、全国の税理士会支部で実施している無料確定申告相談会(通常1月中旬~3月上旬)を利用されてみてはいかがですか?会社から交付された源泉徴収票と今回の証明書及び領収書を一緒に持参すれば、その場で確定申告が完了します。かかる時間はおよそ30分。時給に換算したら割が良いですよ。確定申告により、納税をしている意識も芽生えます。

何の資格を取得しようか迷っていればぜひこちらをどうぞ
差別化できる税理士を目指せ

藤尾智之
藤尾真理子税理士事務所 税理士 ファイナンシャルプランナー


この執筆者の記事一覧
このエントリーをはてなブックマークに追加




関連コンテンツ

シェアーズカフェからのお知らせ
シェアーズカフェでは住宅・保険・投資・家計管理など、個人のお金に関するレッスン・相談・アドバイスを提供しています。SCOL編集長でFPの中嶋が直接指導します。
シェアーズカフェ・オンライン編集長の中嶋が士業・企業・専門家向けの執筆指導・ウェブコンサルティングを提供します。




執筆者プロフィール