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質問:なぜ、あなたは非合理な行動をするんですか?

行動経済学の中にコンコルドの誤謬(Concorde Fallacy)という議論があります。これは「投資した金額があまりにも巨額だと、それを中途半端に投げ出すことができない」という人の心理なのですが、皆さんも普段の生活で経験があるのではないでしょうか?ここで質問をしてみましょう、二択です。

<状況設定>
今あなたは、英会話スクールMOVAが提供する英語学習プログラムへ通うのに分割で80万円(総額100万円だが途中でやめても構わない)までを支払ってきました。ところが、本日の新聞で「大手企業資本をバックに最近躍進するPOCOが提供する学習プログラムを日本の基準英語とする」と日本の政府機関が発表した場合、あなたはAと Bの選択肢どちらを選びますか?

A. 現在のMOVAに通い続ける
B. MOVAを辞めてしまう。

統計によれば、このケースだとほとんどの人がMOVAを続ける”A”を選択するそうです。
当人からすれば、自分達が今までかけてきた”時間”や”お金”は無駄だったのか。。。と思ってしまうのでしょうね。そんな気持ちのおかげで、続けることに意味がなくなったとしても人はズルズルと続けてしまいがちになってしまうわけです。


-コンコルドの誤謬-そもそもの由来

コンコルドの誤謬の名前の由来ですが、コンコルドというマッハ2.0で飛ぶ超音速旅客機が20世紀に注目されたのですが、実際に収益が上がると予測できないのに投下資金(サンクコスト)の大きさを考えて開発を続けてしまったケースから名前を取ったようです。関係者も「ここまで多額の先行投資をしたんだから、少しでも元を取りかえす!」と言う気持ちになってしまったのでしょう。しかし、それではギャンブルと一緒ですね。。。因みにこの非合理な行動を別名で「サンクコストの過大視(Overestimate of Sunk Cost)」と呼ぶことがあります。

この非合理な行動は、みな誰もが経験するものなので全てを否定するつもりは全くありません。ただ、このサンクコストの過大視が、日本で長年発生しており、今でも継続して発生しているとなると、あまり気分の良いものではありません。


今そこにある"第二のコンコルド"

リニア中央新幹線の話は、私が子供だった頃からになるので、すでに30年ほど前からの話になります。

非常に長い開発期間をかけて実用化実験が繰り返されているようですが、品川-名古屋間路線の90%近くをトンネル化するための複雑な工事、エネルギーが在来型新幹線の3倍(1座席単位)必要だったりと難題が多いためまだまだ先が長い気がします。また、発案当時は1日で東京大阪間を何往復もできるビジネスマンを想定してリニア構想を立てたわけですが、テレビ電話等テクノロジーの進化でそこまでの物理的移動をビジネスマンが必要としなくなっている現実もあります。

この理由から、十数年前に人々が抱いた期待値と現在の期待値のズレを感じざるを得ません。先日もJR東海の山田社長がリニアの収益性について「「(リニアだけで)採算はとれない。新幹線と一体的に運用して会社をパンクさせずにやっていく」と異例の発言をしていました。しかし、それでもやはり前に進めようとする合理的ではない行動を続けていくようです。もちろん、この十数年でリニア計画に携わってきた多くの関係者があるため「はい、やめ!」ということは難しいかとは思いますが、もう少し収益性のあるビジョンを持ってマイナーチェンジをしていく検討も必要かと感じます。

「ここまで多額の先行投資をしたんだから、少しでも元を取りかえす!」

コンコルドの開発に携わったAir FranceとBritish Airwaysの2社はそんな気持ちでコンコルドを飛ばしたのでしょうか?しかし、その気持ちは届かず2003年11月にコンコルドは退役をします。

コンコルドで起こったギャンブル的発想が、リニア開発でも起こらないようにしてもらいたいと願うばかりです。

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JB SAITO 経済&英語コーチ


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