20131219らせん階段

2013年、監査法人業界では今までにない程、人材ニーズが高まっています。特に今までと異なるのは、採用をされている層が広く“日本の公認会計士で監査実務経験者”という従来の採用ゾーンに加え、大手企業での経理・財務経験者、金融機関での経理経験者、会計事務所の出身者なども採用対象となっている点でしょう。しかし、なぜリストラを進めていた監査法人が大量採用に舵を切ることになったのでしょうか。 今回の会計トピックスでは、謎多き監査法人の採用事情について注目してみたいと思います。

何故、監査法人はリストラを断行したのか?

リーマンショック以降、世界的に経済市場が縮小し、監査法人としても営業面で厳しい立場に陥りました。リーマンショック以前の監査法人は、会計監査業務やIPO支援業務、内部統制導入支援やM&A支援(財務デューデリジェンス)など多角的なサービスで収益を上げていたのですが、経済状況の悪化に伴い受注案件が大幅に減少し、人余りの時代に突入しました。また、東日本大震災が起きたことにより、外資系企業の日本撤退が相次ぎ、限られた日本市場で監査法人同士の厳しいシェア争いが勃発、最終的に大手監査法人を中心に「監査報酬の値下げ」を断行せざるを得なくなってしまったのです。上記のような背景により、監査法人も旧来の経営体質を見直す必要性が生じ、最終的には大幅な人員削減に踏み切ることになります。

景気回復に伴い監査法人の採用市場は復活へ

世界経済もリーマンショックやEU危機を乗り越え、遂に世界規模で経済状況が改善に向かい始めました。日本でも政権が変わり経済成長重視の政策を打ち出すことで、徐々に企業の業績も上向き始め、上場企業のみならず、停滞していたIPO市場に関しても活気が戻りつつあります。このような経済状況に突入すると、各監査法人も市場シェアの獲得を意識して“積極的な営業姿勢”に舵を切り始めるのです。一方で、いくら営業を強化し新規案件を受注しても、その案件に対応し得る人材リソースがないと監査法人も事業としては立ち行かなくなります。今、まさに監査法人は「案件獲得」と「人材獲得」を両軸で強化している状況なのです。尚、この動きは当面は続くのではないかと言われており、2013年は「監査法人の大量採用・第二章」の幕開けの年だと言えるのです。

市場ニーズに合わせて、今後は監査法人の採用基準が変わる?

上記のように監査法人の採用市場と景気の状態は深く結び付いていますので、今後も経済状況の浮き沈みに伴い、監査法人も採用方針を大きく変える可能性があります。幸い現在は監査法人も「攻めの営業姿勢」を取っていますので、会計監査サービス以外にも多種多様なアドバイザリー業務を提供していますが、そういったニーズが市場から消え始めた頃には、監査法人も「守りの営業姿勢」にシフトしていくのではないかと思われます。

今後、公認会計士試験を受験される方においては、監査法人で勤務することをゴールにするのではなく、監査法人で何を学び、その経験やノウハウをいかに活かしていくかを含めた「中長期でのキャリアプランニング」が必要になって来るのではないでしょうか。

(文/株式会社MS-Japanチーフキャリアアドバイザー 高橋良輔)


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