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年末年始は、実家に帰省する方が多い時期ですね。この時期は両親に相続と成年後見制度について真剣に聞くことのできる年に一度のチャンスです。相続は最近マスコミや雑誌で耳にすることが多くなりましたが、成年後見制度は相変わらず「?」のつく制度です。しかし、これを知っておくとご両親やご祖父母、そして財産も守ることができます。

成年後見制度って何?

成年後見制度は、平成12年4月にスタートしました。この制度は、意思をうまく表せない人に変わって、代理人が伝えるようにできる制度です。裁判所が代理人を決める「法定後見」と自分で代理人を決める「任意後見」に分けられます。

メリット

ワイドショーでもよく再現されている高齢者を狙った高額商品販売を思い出してください。何度も何度も家庭に訪問して、最後はよく分からないまま100万円の羽毛布団を買わせるアレです。親戚がナイスタイミングで7日以内に気づいてクーリングオフできればいいのですが、そうじゃないと大損です。

しかし、気づいた時にその布団購入を「なかったこと」にできれば、怖いものなしです。この「なかったこと」にできるのが、成年後見制度なのです。

田舎のご両親やご祖父母に、「もしかして物忘れ?」、「ボケが始まったかな?」と心の中で思ったことはありませんか? 帰省して、こたつに入りながら「この話は去年も聞いたなあ・・・。」と思ったら、黄色信号が点滅している時かもしれません。

使い方

法定後見は、「補助」「保佐」「後見」という3つの制度に分かれています。軽い物忘れは「補助」となり、認知症となった場合は、「後見」になります。その中間は、「保佐」です。補助と保佐には、同意権・取消権、代理権が与えられます。後見には、取消権と代理権が与えられます。同意権・取消権は、ご両親やご祖父母が決めた契約について同意・取消しする権利です。同意しなければその契約は取り消されます。代理権とは、ご両親やご祖父母に代わって契約を行う権利です。

今回のお勧めは、「補助」です。
上記の布団販売の例をとると、ご両親やご祖父母が買うと決めてしまった(又はすでに買ってしまった)布団購入契約について、補助をする人が、「同意」をしないだけで、布団の購入契約はなかったことになります。お金を支払う必要はありません。
詳しく知りたい方は、民法第13条第1項で定める同意権をご覧ください。

ご両親やご祖父母の財産は、相続や贈与で巡り巡って私たちの財産となります。しかし、オレオレ詐欺や高齢者を狙った悪徳商法の被害はますます広がっています。気づいたときには先祖代々で築いた財産がすっからかん!なんてこともありうるのです。家族や親戚を守るためにも、ぜひともこの成年後見制度について話し合ってほしいです。

通帳の管理もできます

契約の同意・取消、代理だけではなく、財産の管理も成年後見制度を使ってできます。オレオレ詐欺を防ぐには、預金の管理を任せてもらうことが効果的です。年末年始の話合いだけで今年すぐには、成年後見制度を使うことにはならないと思いますが、この制度についてご両親やご祖父母と意見を交わすことで、防衛意識も芽生えます。

デメリット

残念ながらデメリットもあります。補助や保佐、後見をする人は、ご両親やご祖父母の代理人となるわけですから、利益相反の関係にあります。自分に都合良くご両親やご祖父母のお金を使ったり、もらったりできなくなります。



《参考記事》
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藤尾智之
藤尾真理子税理士事務所 税理士 ファイナンシャルプランナー


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