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昨日、2014年1月14日の日経平均株価は終値で前日比マイナス489.66円(-3.08%)となり、昨年8月7日以来、約5カ月ぶりの下落率であった。2014年からスタートしたNISAを機会に、新たに株式投資を始めた方も少なくないと思うが、いきなりこのような大幅な下落に直面してしまうと、心配でたまらない気持ちになっているかもしれない。そこで、ベーシックな内容であるが、初心者の方が株式投資を行う際に最低限気をつけたいことを、具体的な事例を交えながら私なりに説明してみた。

時間的な分散投資

まず考慮すべきは、時間的な分散投資である。

NISAの非課税投資枠は1年につき100万円であるが、1年のうちどのタイミングで投資をするのかは投資家の自由である。しかしながら、「善は急げ」とばかりに1月の年明け早々、100万円の投資枠を全て使ってしまうことはおすすめできない。株価の値動きは予想することが非常に難しく、自分がある会社の株を買った直後に、昨日のような市場全体の暴落が起こったり、その会社にとって悪材料が出たりして、一気に大損を抱えてしまう事態も起こりうるからだ。

したがって、例えば、100万円を12等分して、1ヶ月につき8.3万円ずつの範囲で積立投資をするような投資スタイルが望ましいであろう。以前は1000株単位でしか投資ができない会社が多かったが、現在は100株や10株から投資ができる会社が増え、個人投資家の選択肢が広がっている。例えば、ヤフーの株は1月14日の終値ベースで623円であり、単元株は100株である。ということは、投資家は62,300円あればヤフーの株主になれるということだ。株価の推移を見ながら、毎月100株ずつ買い足していくことも可能である。

逆に、思い立ったが吉日、とばかりに、ある日100万円でヤフーの株を買えるだけ買って、「あとは野となれ山となれ」では、もはやそれは理性的な株式投資ではなく、単なるギャンブルの世界になってしまう。

銘柄の分散投資

次に考慮すべきは、銘柄の分散投資である。

自分がある会社の大ファンだったとしても、その会社だけに集中投資をすることは避けるのが無難だ。どんなに有名な大企業であったとしても、何らかのトラブルに遭遇して株価が暴落してしまう事態は起こりうる。

例えば、東京電力の株を思い浮かべてほしい。原発事故の真の原因が、震災という不可抗力なのか人為的な管理の甘さだったのかはここでは論じないが、電力会社の株はそれまで「安全な株」の代名詞にもなっていたものの、原発事故後、東京電力の株はそれまでの数分の1に大暴落してしまったのだ。

別の例を挙げるならば、旧日本航空の株式も、「ナショナルフラグシップ」と言われていた会社の株が、上場廃止となり、株券は文字通りの「紙切れ」になってしまったのだ。

株式投資をしていると、このような「まさかあの会社が・・・」は避けては通れない。神様であれば、リスクを事前に察知して回避することはできるかもしれないが、人間である私たちにそのようなことはできるはずがない。とするならば、リスクは避けられないことを受け入れた上で、銘柄の分散を行うべきなのである。

100万円の投資枠があるならば、A社、B社、C社、D社に25万円ずつ、といったように、必ずしも4等分する必要はないが、適度な分散投資を行うべきである。

ここでさらに気をつけるべきなのは、A社、B社、C社、D社が似たような会社であっては分散の意味がないということだ。例えば、その4社がトヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、マツダであったとしたら、自動車業界にとって何かネガティブな出来事が起こったとき、全ての株が下がってしまう可能性が高い。したがって、分散投資する会社は、内需型の会社と輸出型の会社、製造業の会社とインターネット関連の会社、といったように、相関性の低い会社を組み合わせたい。

銘柄選びで外してはいけないこと

株式投資の本を読むと、投資する銘柄を決めるに当たっては、PERやPBRといった指標を見ろとか、チャートの形で判断しろとか、色々なアドバイスが書かれていて、株式投資初心者の方は目が回ってしまうであろう。しかし、じっくり勉強してから投資をしよう、と言っていると、折角のNISAが使える1年間が様子見をしている間に終わってしまうかもしれない。かといって、逆に勢いだけで「エイヤッ!」と投資をするのも考えものである。

そこで、本当に大切なことにポイントを絞ると、初心者の方が投資をする際に、一点だけ外さずに注意をして見てほしいのは、その会社の「利益」である。

株式会社が経済活動を通じて稼ぎ出した利益は株主のものであり、株主は配当金や株価の値上がり益を通じて利益を得ることができる。利益が出ない会社は配当も出せないし、最後は資金繰りに窮して倒産してしまう。まさに旧日本航空がその典型例であったといえよう。名門企業であったが、高コスト体質であり、利益を出すことができなかったのだ。

株式投資は長期投資をすればリスクが下がるとよく言われるが、その言葉の裏には、「ちゃんと利益を継続的に出せる会社の株を買った場合は」という留保が隠されていることを覚えておいてほしい。利益の出ていない(今後も出る見込みのない)会社の株を買うと、いくら長期投資をしても、株価はずるずると右肩下がりになってしまう可能性が高い。そのような株を保有してしまうと、まさに「真綿で首を絞められる」気持ちになってしまう。

株価は、短期的には目先の景気変動とか、大口の機関投資家の売買の動きに翻弄されるが、その会社自身が安定的に利益を計上できているならば、長期的に見ればなだらかな右肩上がりのチャートになるのだ。粉飾決算をしていない限り、長期的に見ると利益は投資家を裏切らない。例えばトヨタ自動車の20年から30年のチャートは細かいデコボコはあるものの、バブル崩壊も乗り越え、美しい右肩上がりになっている。

私たちがこれから実際に株式投資をするときには、過去の話ではなく、今後どうなるかという「未来」が重要なので、「この会社の製品は今後も変わらずにお客様に愛されるだろう。」とか、「今年に限っては未曾有の不況で赤字だが、経済が平常に戻れば、この会社ならばまたコンスタントに利益を出すであろう。」とか、その会社が行っているビジネスを思い浮かべ、未来のストーリーを自分の中で組み立ててイメージしてほしい。そして、「よし、この会社なら大丈夫だ!」と腑に落ちたならば投資を実行すればよいし、そうでなければその会社への投資は見送るということだ。

結び

株式投資にリスクはつきものだが、まず基本的な学習することによって、立ち直れないような大きな損失を受けるリスクは回避できる。そして、学習を続けることにより、さらにリスクを下げられるであろう。株式投資はギャンブルではなく(運の要素も否定はしないが)、細かい勝敗はともかく、学習こそが、人生を通じて株式投資において成功できるかどうかの大きなポイントであると私は信じている。

《参考記事》
NISAの致命的な欠点について 
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社会保険労務士・CFP 榊 裕葵


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