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就職活動をして面接を受けると、面接の最後に「当社への質問は何かありますか?」と、問いかけられることが多い。この言葉を聞くと、ようやく面接が終わったと緊張感が緩み、「聞きたいことがあれば教えて上げますよ。」という、面接官からのフレンドリーな投げかけだと感じてしまうかもしれない。

しかし、実のところ面接はまだ終わっていない。面接官は、重要な評価要素の1つとして、学生がどのような質問をするのかを興味津々と見ているのだ。

「御社の研修制度」を聞くのはNG

このようなとき、学生がよくする質問の1つに、「御社の研修制度にはどのようなものがありますか?」がある。学生からしてみれば、純粋な興味か、あるいはあまり深く考えずにこの質問をするかもしれない。しかし、「御社の研修制度云々」は、面接官の立場からしてみれば、実は、悪印象を感じてしまう典型的な質問の1つである。

なぜならば、一言で言えば「会社は学校ではない」からである。学校は、親なり自分なりが学費を払って、その対価として勉強を教えてもらう場所だ。いわば、学生は学校にとっては「お客様」という立場になる。しかし、会社に入ると、元学生は会社員となり、会社から給料を頂く立場になる。学生時代とは立場が逆になるのだ。お金をもらっているのだから、まずやらなければならないのは「勉強」ではなく、そのお金の対価となる「仕事」であるはずだ。

もちろん会社は、仕事上必要なスキルを身につけるための勉強は、「研修」という形で惜しみなく与えたいと考えている。しかし、「仕事」を二の次にして、自分本位で「私はこんな研修を受けたいです。」とか「MBAの留学をさせてください。」とか言われた日には、「あなたは何様のつもりですか?」という怒りすら感じてしまうのだ。

だから、本当にどのような研修があるか知りたければ、「私は、御社で○○な仕事をしたいと思っています。今は自分なりに××な勉強に取り組んでいますが、御社ではこの仕事のスキルを高めるために、受けさせて頂ける研修はあるのでしょうか?」といたように、まずは仕事ありきで、仕事のためにこんな勉強がしたいのです、という想いが伝わるような聞き方をしなければならない。

面接官も神様ではないから、学生の心の中までは読み取ることはできないので、質問の仕方が言葉足らずだと、本人はそうは思っていなかったとしても、あらぬ方向に解釈されて、「学生気分が抜けきれていない奴」と、低い評価を付けられてしまう恐れがあることには気をつけていただきたい。

「転勤は多いですか?」もNG

「転勤は多いですか?」の質問も言葉足らずである。これだけでは面接官に、「この学生は転勤をすることに抵抗があるのかな?」という印象を与えてしまう危険がある。

転勤について質問したいならば、「私は、御社のような全国規模のネットワークを持つ企業で働き、色々な場所で多くの仕事を経験したいと思っているのですが、転勤はどれくらいの頻度であるのでしょうか。」といったような聞き方をすれば、面接官に誤解や先入観を与えることはないであろう。逆に、この学生は意欲があると、プラスの評価につながる可能性が高い。

尚、本当に転勤が嫌ならば大企業の総合職を受けるべきではなく、地域限定採用や、地元密着型の企業にはじめから就職すべきである。とりあえず採用されてしまえばこっちのもの、という考え方は甘い。日本企業では、正社員が解雇されにくいことは周知の通りだが、その対価として、裁判所は明らかに権利の濫用に当たるような場合を除き、企業に広範な人事権を与えている。従業員が会社から発せられた正当な転勤命令を拒否した場合、懲戒解雇になっても文句は言えない。

少々話が逸れてしまったが、「研修」「転勤」の2例を挙げてみたように、質問の仕方が、「自分本位に受け取られてしまわないか?」というところに気をつけながら質問をしてほしいというところがポイントである。

根本的には「入社意欲」や「質問力」が評価されている

それから、もっと根本的なところでは、「質問」を通じて、入社する意欲もチェックされている。「質問はとくにありません。」では、これから自分が長い間働こうとしている会社なのに、本当に質問は無いの?と意欲の低さを面接官に印象付けてしまう。また、ホームページや会社案内のパンフレットを見れば分かるようなありきたりな質問は「うちの会社のことを全く知らずに面接に来たの?」と、かえってマイナスの印象を与えてしまうであろう。それなら、質問しないほうがマシだ。

さらに言えば、究極的には「質問力」そのものも試されている。実際の仕事の場では、「質問をする」という能力は非常に重要である。一般的に、新入社員は上司や先輩から仕事の指示を受け、それに従って作業なり資料作成なりをするわけだが、その指示の内容をしっかりと理解し、もし理解できないところがあれば、「質問」をして、その疑問点を解消した上で仕事に取り掛からなければならない。分からないまま当てずっぽうで仕事をするのは社会人として失格であるし、自分は何を分かっていないのかさえ分かっていないというならば、もはや問題外である。

質問力はそれくらい社会人として大切な力であり、質問力が無い社員はダメ社員と言われても仕方が無い。

結び

以上、「質問」の大切さについて色々な角度から説明してきたつもりであるが、もし、就職活動における「何か質問はありますか?」を、面接の「オマケ」のように考えていた就活生がいたら、その考えは是非改めて欲しい。「何か質問はありますか?」は、面接におけるメインディッシュのひとつなのである。

しっかりとした質問力を身につけることができれば、社会人になった後も、間違いなく役立つスキルになる。就職活動に取り組む学生の皆様は、是非とも「質問力」を養って、見事面接を突破するだけではなく、社会人として羽ばたくための武器を手にして頂きたいものである。

《参考記事》
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特定社会保険労務士・CFP 榊 裕葵


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