SCOL(4)

最近、これまで女性活用に対し保守的だった金融業界で続々と女性執行役員が誕生しています。新年度人事で、野村信託銀行では国内銀行で初めて女性が社長となりました。メガバンクのみずほ銀行、三井住友銀行でも、女性執行役員が誕生しています。今回の「女性登用」が一過性のブームに終わらないことを感じさせます。

前回、「女性の買う力、売る力が経営を立て直す!」という内容を書きましたが、もし会社の舵取りを行う経営者が女性であれば、その力を発揮できる可能性はぐんと高まるはずです。では、女性のどんなところが経営者、すなわち組織のリーダーとして向いているのでしょうか?

スタッフを大事に育てる「啓蒙型」リーダーシップ

これについて、最近読んだ2014年3月25日の日経ビジネスオンラインに入山章栄氏の大変興味深い記事がありました。この記事によれば、最近の経営学の研究によって、リーダーシップには「トランザクショナル(取引型)リーダーシップ」と「トランスフォーメーショナル(変革型)リーダーシップ」の2種類があることが定説になってきているとのことです。「取引型リーダーシップ」はいわゆるアメとムチを駆使して人に影響力を与えることを重視するのに対し、「変革型リーダーシップ」は人を啓蒙することを重視します。

このうち「変革型リーダーシップ」は次の4つの資質から構成されます。
・組織のミッションを明確に掲げ、部下の組織に対するロイヤルティーを高める
・事業の将来性や魅力を前向きに表現し部下のモチベーションを高める
・常に新しい視点を持ち込み部下のやる気を刺激する
・部下1人ひとりと個別に向きあいその成長を重視する

特に女性の私たちにとって「リーダーシップ」という言葉からイメージするものとは、だいぶ印象が違うのではないでしょうか?こういう形なら、自分でも発揮できると感じる方も多いと思います。しかも、同記事によれば、「変革型リーダーシップ」のほうが、組織成果を出しやすいという調査結果が出ているそうです。最近の女性経営者の増加の背景には、「変革型リーダーシップ」がより求められるようになってきている環境変化の影響もありそうです。

部下育ては子育てにも通じる

「変革型リーダーシップ」の4つの資質を言い換えてみると「ミッションを明確にしてポジティブにアピールし、部下のモチベーションを高め、やる気にさせて、部下ひとりひとりを大切にいつくしみ育てる」となります。部下を「子ども」に置き換えれば、子育ての理想そのもののようにも読めてきます。実際、私が今までお会いしてきた女性経営者の方々で、従業員を雇い、事業継続している女性は、これらの資質を自然に身につけています。彼女たちが常に一番気にかけているのは、「従業員ひとりひとりにどう接したらもっと気持ちよく働いてみんなで売上を上げることができるか」ということなのです。

もちろん、これは一般的な傾向であり、子育てしていない女性や男性がこのようなリーダーシップを発揮出来ないということではありません。しかし、育児のためにキャリアが中断してしまうことがある女性にとっては、勇気付けられる傾向ではないでしょうか。従業員ひとりひとりの資質をよく見て、その間のコミュニケーションにも気を配り、何よりもご本人が熱心に経営について勉強して新しいやり方を取り入れようとしている女性経営者の方々。コンサルティングに入りながら私が学ぶことも本当に多いものです。

激変する経営環境にもしなやかに対応

それからもう一つ、当たり前のことですが、経営者は日々変化する経営環境に対応していかなくてはなりません。変化への対応、という意味では、多くの女性は社会に出てから常に大きな決断を迫られるようになります。結婚、出産、子育て、介護・・・そのたびに、仕事や生活について、今までの男女の役割分担の中でどうしようかと悩む、もしくは対応するのは女性で、男性の多くは仕事を続けることに何の躊躇もなかったはずです。こうした、「状況変化による行動変容」に慣れてきている女性が、環境変化に常に対応しなくてはならない経営者に向いていてもなんの不思議もありません。

また、知らない人やほかの人とのコミュニケーションをとるのは、女性が圧倒的に上手です。女性は共感することですぐに打ち解けることが多いからです。セミナーなどでグループでの話し合い、いわゆるグループワークをするときに女性同士のほうがあっという間に打ち解けることがとても多いことからも、このことは実感できます。ますます複雑化する経営に対応するため、お互いにわからないことを質問したり、組織を柔軟に組んだりして対応できる「横のつながり」(ネットワーク)を作るという能力もこれからの経営者には求められます。そういう意味でも、女性は経営者にむいています。

周りの人に気を配りながら、教育・啓蒙し、経営環境の変化にもしなやかに対応していくリーダーシップ。これまで言われてきた「強いリーダーシップ」とは違うかもしれませんが、消費者ニーズが高度化・多様化した現在の日本において、女性が企業経営においてリーダーシップを発揮出来る機会やその期待成果は非常に大きくなっています。皆さん、一緒に頑張りましょう。

《参考記事》
使命感に震える感覚 小紫恵美子 中小企業診断士のブログ
至上最恐のクライアント?! 小紫恵美子 中小企業診断士のブログ
承継シリーズ 社長になる女性の最初の心得  小紫恵美子
事業承継をドロドロなものにしないために大事なこと  小紫恵美子
女性の買う力、売る力が経営を立て直す  小紫恵美子

小紫恵美子  中小企業診断士 


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