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前回は、女性が経営者に向いている理由、という話をしました。実際に周りを見渡しても、仕事をこつこつとやり、成果を上げている女性はとても多くいます。でも、企業の中での昇進となるとそれだけでは十分ではありません。このことについて、コンサルタントの秋山ゆかりさんと、伊藤忠商事株式会社で日本の総合商社初の女性執行役員となられた茅野みつるさんの興味深い対談が2014年3月18日の日経ビジネスオンラインに掲載されていました。

自分のキャリアにアドバイスをくれる人

お二人によれば、目の前の仕事をきちんと仕上げることには長けており、自分が何をすべきかはわかっているものの、「それをどうやって実現していったよいか」というところを越えられない女性が多いとのこと。ここを乗り越えるためには、メンターとスポンサーが大事、ということをアドバイスしてくださっています。

「メンター」とは自分の仕事のキャリアや手本となってくれて、必要に応じてアドバイスをくれる人のことをいいます。組織内で働く場合はもちろんですが、起業しようとする場合、あるいは、経営者として事業を承継する場合などにはこうしたメンターの存在は特に重要です。私自身も、実はずっと中小企業診断士の資格だけでは独立できないのでは、と思い込んでいたのですが、最初のメンターに出会ったことで、「やってみよう」と一歩踏み出すことができました。彼女は私とほぼ同じ状況で独立して立派に働いていらっしゃる先輩で、私が起業した時期にお会いすることが出来ましたので、大変役に立つアドバイスを頂けるありがたいメンターでした。メンターについては、色々なところで言われていることなので、意識している人も多いかもしれません。

行動してくれる「スポンサー」


一方、「スポンサー」というのは、聞きなれない言葉ではないでしょうか。何となく金銭的な支援をしてくれる人、という響きがありますが、自分の能力を理解して、より上のポジションに引き上げてくれる存在のことです。実は、私も、この意味合いでの「スポンサー」という存在を上記の記事で初めて知りました。ただ、外資系企業で働く友人によると、この考え方は一般的なようで、今後、日本でもこういった考え方は広がってくるかもしれません。ここでいう「スポンサー」は、組織の中であれば、自分が昇進するために関係部署に対する働きかけをしてくれたり、または自分に役立つ機会があればそれを紹介してくれたり、抽象的なアドバイスに留まらず具体的に行動してくれる人のことです。女性の場合、自分を積極的に売り出すことに慣れていない人が多いので、スポンサーは非常に助けになるはずです。

これを経営者にあてはめると、自社の仕事の規模をより大きなものにするために、新しい顧客やサプライヤー、ビジネスパートナーとして有望な人につないでくれる人ということが挙げられると思います。とすると、スポンサーは経営者にとっても、仕事を進めていくうえで非常に重要な存在です。たとえば、新しい取引先を開拓したい、と思っている社長がいたとします。自分で営業に行くのももちろんですが、いきなり飛び込み営業をするよりも、すでにその取引先候補と取引のある、あるいは縁のある人の紹介で会う方がずっとスムーズに、かつ、有利な取引条件で開拓ができるでしょう。自分の会社にまだ確固とした実績がなかったり、取引先候補の規模が大きければなおさらです。

スポンサーになりうるのは、金融機関の担当者であったり、知り合いの同業者であったり、あるいは会社経営者の友人であったりする場合もあるでしょう。自分のやりたいことを実現に近づけてくれる人が身近にいる、ということが優れた経営者のひとつのスキルになります。

スポンサーを探すには?

では、こうしたスポンサーを探すにはどうしたらいいでしょうか。たとえば、経営者の集まりに出て、自分が尊敬できる人、あるいは取引したい相手とネットワークを築くこともあるかもしれません。いわゆる、「人脈を広げる」ということになります。

ここで注意すべきは、いきなり自分を売り込んだり、「仕事をください」ということを最初から主張したりしないことです。「Give & Take」といいますが、Take(お願い)をする前に5回Giveするくらいの感覚でちょうどいいと思います。仕事は常に「お互い様」の意識がとても大切です。どんな小さなことでも構いません。相手の方が経験が豊かで、能力が上だとしても、こちらがお役に立てることは何かあるはずです。相手の関心がありそうな情報を伝えたり、相手のこまごまとしたことをお手伝いしたりすることでもいいのです。

また、こちらの理念ややりたいことを伝えておくことも大切です。スポンサーとなる人には、私たちよりもよりレベルの高い幅広い情報や機会が集まってきています。自分の欲しいサポート内容を明確にしておくことで、そのなかから自分にフィットしたものを紹介してもらえるチャンスが増えることになるからです。

スポンサーは、リスクを負って私たちを紹介してくださいます。紹介を受ける私たちがなんらかの失敗をすることによって、スポンサーと紹介先との間の信頼関係にひびが入るリスクです。このリスクを軽減して、お互いWin-Winの関係でいるためにも、将来の展望(理念)を持ちながら、目の前の仕事をしっかり積み上げていくことで信頼を得ていくことの地道な繰り返しが、私たちに求められているのです。

《参考記事》
初の自主セミナー開催 小紫恵美子 中小企業診断士のブログ
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承継シリーズ 社長になる女性の最初の心得  小紫恵美子
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小紫恵美子  中小企業診断士 


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