SCOL(13)

先日、「仕事セーブ要因のある女性こそ、経営者という選択肢も検討を」という記事を書きました。残念ながら、今の日本では、例えば出産や育児をきっかけに、一度会社の正社員を辞めて退職すると、そのあとは、正社員として復活することが極めて難しくなっているからです。

起業する前に慎重に検討して欲しいことはたくさんありますが、ここでは女性経営者に特にお伝えしたい3点に絞って触れたいと思います。

■なぜ自分はその事業を起業してまでやりたいのでしょうか = 経営理念
「理念?キレイごとでは?」と思われる方も多いかもしれませんが、実際これが一番大事だと私は考えています。「経営理念」、もっとくだけた表現でいえば、「なぜあなたがその事業をわざわざ起業してまでやるのか」という問いかけに対する答えでもあります。「起業すること」や「社長になること」は目標ではなく、自分がやりたいことを実現するための手段なのです。

事業を続けていくことは決して楽ではありません。お金はどんどん出ていくし、途中で信じていた人に裏切られることもあるし、判断ミス、家族との関係の変化・・・経営者を悩ませることはたくさんあります。そんな時に、それでも「自分がどうしてもやる、と思って始めたことだから」「これが好きだから」という、事業に対するご自身なりの「こだわり」がなければ、継続していくことが難しいのです。

たとえお金がもうかっていたとしても、「私がやりたいことって、これだったっけ?」という疑問がわいてくることすらあります。今の会社ではやりたいことができないから、ではなく、自分はなぜ起業してまでその事業をやりたいのか、起業する前に、じっくりと考えてほしいと思います。

■必要なお金は確保できていますか? = 資金計画
「お金がなくても起業できますか?」という質問を受けることがあります。確かに今はいわゆる「1円起業」が法律的には可能です。しかし、残念ながら、それは難しいといわざるを得ません。事業は、基本的に「継続」していくもので、そのためにはお金がかかるからです。

事業では売上がたってくる前にコストがかかります。そして、事業でかかるコスト以外に、自分自身、あるいは家族の生活費を加えた「現金」が毎日出ていくのです。お金を借りるにしても、貸す側は当然「この人は返す能力があるだろうか」というところを注意深く見てきます。

いくら準備する必要があるか、は業種によって、かつ、ご自身が月々いくら生活費で必要なのかによって変わってきますので専門家へのご相談をお勧めします。まず開業に必要なすべての必要経費を洗い出し、その分、自分で用意する分と、必要なら借りる分との配分を決めていきます。明日の生活費を心配しながら事業のアイデアを考える、というのでは肉体的にも精神的にもきつくなってしまいます。

起業することはゴールではなく、スタートです。ぜひ、事業継続するのに必要な分を確保することをお勧めします。

■誰と一緒に仕事をしたいですか?
起業時点では一人で事業を始める、ということが多いと思います。しかし、起業して思うことは、組織の中にいるときよりもむしろ多くの人と関わりながら仕事をしていくことが多い、ということです。企業で働いているときには、さまざまな機能で自分をサポートしてくれる人たちがいましたが、起業するということは、そういうサポートは自動的には受けられないということを意味します。

もちろん、自分で出来ればそれでもいいのですが、一人でできることは能力的にも時間的にも限られています。特に最初のうちは、仕事内容そのものに不慣れだったりしますから、人と協力しながら仕事を進めることも多いと思います。

会社を辞めて起業する場合には、前職の人たちと良好な関係でいる、ということも大事です。前職の会社と直接仕事をする、ということはさまざまな事情で難しい場合が多いでしょう。しかし、起業する自分の仕事ぶりを熟知している人なのですから、信頼関係があれば、将来的に一緒に仕事ができる可能性があります。

私自身も、会社を辞めてから15年たってから、昔の職場の先輩と仕事をする機会がありました(先輩も独立されていました)。SNSがある今、人とのつながりは大事にしたいものです。これまで、数多くの起業支援を行ってきましたが、今の会社の人間関係がイヤだからという理由の場合、私は起業をあまり勧めません。

自分で起業するということは、やりたいことの自由を得る一方で、誰と一緒に仕事するかという点においての責任を自分で負うことになるからです。人間関係から逃げる発想で始めると、事業を続けることが苦しくなってしまいます。

最近は行政も含め、起業相談に乗ってくれる窓口も増えています。是非、起業前に一度でいいので専門家に相談することをお勧めします。なぜ自分はその事業をやりたいのか、それに必要なお金は確保できているのか、そして誰と一緒に仕事するのか。この3つについてまずは自分で納得いく答えを見つけた上で、思い切って第一歩を踏み出して欲しいと思います。

小紫恵美子 中小企業診断士 OfficeCOM代表

《参考記事》
■「ニッポンのお母さん」はレベル高すぎ?OfficeCOM(小紫恵美子)ブログ
http://officecom-ek.com/?p=206
■仕事セーブ要因のある女性こそ、経営者という選択肢も検討を (小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/39955025-20140721.html
■結局「女性活用」って何すればいいの? 小紫恵美子
http://sharescafe.net/38770445-20140511.html
■「良いお母さん」のレベルが高すぎる日本。働く女性は意識と行動をどうやって変えたらいいの? 小紫恵美子
http://sharescafe.net/39261507-20140608.html
■女性が経営者にむいている理由 小紫恵美子
http://sharescafe.net/38119326-20140407.html


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