SCOL17

先日、女性のためのキャリアアップセミナーを実施いたしました。熱い女性たちの想いが伝わってきて、講師としても毎回力の入る、そして、私が使命感を持って臨んでいる講座です。その中の先輩社員との座談会で、女性の身体や男性との性差のことが話題に上りました。

■女性の身体の変化を女性自身も知らないことがある
性差を無視し、女性が男性と同様の働き方をしてキャリアを積み上げることが本当の意味で「男女平等なのか」ということが、その場で問題提起されました。「今の日本社会の中で女性が働き続けるのは、女性の身体への負担が大きいという認識を女性の私たちもきちんと理解しなくてはいけないのでは」という率直な提言があったのです。今の日本社会では、「産まない性」である男性が、長時間働き続けるのが前提の働き方がモデルとなっており、その中で「産む性」である女性が働き続けることで、女性の身体に負担がかかってきているのではないか、と。1時間の対談時間では結論は出ませんでしたが、私自身、とても大きな課題を突き付けられた思いでした。

例えば、卵子が歳を取るごとに減っていく・・・こうした生殖に関する事実を知っている女性がどれだけいるでしょうか。働き続けるということは、経済的自由を確保しておくことであり、選択肢を常に広げておくことにつながります。これは前回「出産後も仕事を辞めずに働き続けた方がいい3つの理由」という記事で書いた通りです。しかしその一方で、産むという選択肢を残しておきたいと思った場合には、「その選択肢を取れる年齢は限られているということを知っていればもっと早く行動していたのに」という思いでいらっしゃる方々がたくさんいることも事実なのです。

■一人ひとりの女性が自然体で選択できるようにするために
そもそも男性と女性の間では、体力的な性差、産む性かどうか、など、どうしても異なるものもあります。自然の性差はむしろ受け入れた上で、一人ひとりの女性が、自然体でキャリアアップ、妊娠、出産、などの選択肢を自分で選ぶことができることが必要です。そのために、私たちは、自分自身の女性としての身体の変化を知ることにもう少し熱心になってもよいのかもしれません。

実は私自身も、生殖に関する知識を、深くは知りませんでした。振り返ってみれば、女性にとって産むかどうかは大きな選択肢の一つであるにも関わらず、私たちは主に避妊のことについては習うものの、「生殖」をめぐる女性の身体の変化に関する知識についてはほとんど習ってきていません。

まだまだ「事実上の男性社会」で女性が働き続けるには、仕事で成果を出すための武器としてのスキルを磨くことが必要なのはこれまでも述べてきたとおりです。しかし、それと同様に、いえ、それ以上に、私たち女性一人ひとりが、自分の身体を大切にし、自分で守るという意識をもつ必要があるのだと思います。

そのためにはまず、自分の身体が年齢とともにどのように変化するのか関心を持ち、正確に理解することが必要です。できれば産む選択肢を取るのであれば知っておくべき知識について、まずは学校教育の過程でもっと丁寧に伝えてほしいとも思います。男女ともに知識を得ることで、社会人となった後も継続してお互いの身体も思いやったライフプランを考えられるようになるのではないでしょうか。

これらの問題を全部一度に解決してくれるような「魔法の杖」を私たちは持ち合わせていませんが、だからこそ、自分で選択をする、そのために必要な知識を自分自身で、そして夫やパートナーとともに身に付けていくことが必要ですし、大切なことになります。男性社会の中で、男性の働き方に合わせて働き続けることを是とし続けるのではなく、私たちが自然体で働いていけるようになるためにできることをひとつひとつ積み重ねていく。その中に、「女性の身体の変化を理解した上で、主体的に自分のキャリアを選択する」という視点を加えて欲しいと思います。

《参考記事》
■「ニッポンのお母さん」はレベル高すぎ?OfficeCOM(小紫恵美子)ブログ
http://officecom-ek.com/?p=206
■出産後も仕事をやめずに働いた方がいい3つの理由(小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/40839083-20140915.html
■結局「女性活用」って何すればいいの? 小紫恵美子
http://sharescafe.net/38770445-20140511.html
■女性が経営者にむいている理由 小紫恵美子
http://sharescafe.net/38119326-20140407.html
■仕事セーブ要因のある女性こそ、経営者という選択肢も検討を (小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/39955025-20140721.html

小紫恵美子 中小企業診断士 OfficeCOM代表

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