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10月20日、小渕優子・経済産業大臣と松島みどり・法務大臣が辞任した日、日経平均株価は578円も値上がりした。今年最大の上げ幅だ。

経済と法律を司る資本主義の要とも言える省庁のトップが転んだ日に株価は大きく上がり、二人の大臣が(幸か不幸か)日本の経済に何ら影響を与えていないことが証明された。

この事実だけで二人の辞任で騒ぐ必要が一切無い事を意味している。個人的にこの問題のニュースバリューは「矢口真里の復帰は許されるのか?」といった話と同程度だ。

政治家がお金に対して清潔であるべき事は言うまでもないが、それも結局は一人の政治家に問題があったというだけの話だ。国を挙げて大騒ぎするような事では全くない。

少なくとも二人の辞任で困っている人は国民の中で0.1%も居ない。小渕氏辞任で悲しんでいるのは来年から観劇ができなくなった地元支援者だけではないか。

■女性の社会進出はどうなる?
今回の問題が女性の社会進出に影響を与えるかのように説明する人も居る。無理に女性を登用するからこんな問題が起きたんだと。

二人の大臣が女性だから選ばれたという側面は、あるかないかでいうと確実にあるだろう。小渕氏がかつて歴代最年少で大臣になり、内閣改造で経済産業大臣になれた理由は、小渕恵三元首相の跡継ぎであり女性だから、と二重に有利な環境があったからに違いない。

では今後問題を起こさないための対策が女性の重用を辞めることなのだろうか。これは過去に政治資金で問題を起こした政治家がほぼ男性であることを考えれば何の解決にもならないことが分かるだろう。

これまで何世紀にもわたって続いてきた女性の冷遇を短期間で是正しようというのだから、副作用は確実にある。副作用に耐えて今後も女性の社会進出、つまり差別の解消を目指すべきかは意見が分かれるのかもしれないが、自分は目指すべきだと考える。

少なくとも今後女性の政治家の割合が増えれば、問題を起こす女性政治家も増えるだろう。議員の割合が男女半々になれば問題を起こす政治家も男女半々となる。お金に対する清潔度に男女で差が無ければ、確率で考えれば当然そうなる。

今回は「女性の政治家が問題を起こした」ではなく「問題を起こした政治家が女性だった」と考えるべきだ。二人とも男性であれば性別云々といった話にはならなかった。今回、問題を起こした政治家が二人とも女性だった事は、男女差別解消に向けた「正常化への道のり」と考える方が自然だ。

長期間にわたって冷遇し、急に差別解消・女性の社会進出の名の元に優遇したと思ったら、ちょっと問題が起きただけで方向転換しようという話になる。こんないい加減な事はもう辞めるべきだろう。

こういう話をすると逆差別という批判が必ず出るが、逆差別でおおいに結構だ。女性の社会進出・逆差別・クオータ制と呼び方は色々あるが、差別をなくすための対策は乱暴に言ってしまえばやる事にどれも大差は無い。女性の社会進出やクオータ制に反対をする人が「逆差別」と表現するだけの話で、重要な事は呼び方ではなく何をやるかだ。

■特殊事例で全体を語る愚。
小渕氏のような、総理の子供という特殊な環境にある人の失敗をもって「女性全般」の話をするのはあまりに不適切だ。小渕氏個人に大臣として、そして政治家として資質が足りなかったというだけの話で、それ以上でもそれ以下でもない。

みんなの党・松田公太議員は自身のブログで、経済産業委員会における小渕前大臣とのやり取りについて以下のように説明している。
「なぜ安倍総理があなたを経済産業大臣として指名したと思いますか?」と質問をしました。
それに対し、小渕大臣は「私自身は全く分かりません。」と答えられました。
自民党の統治システムに限界を感じる今回の事件 2014/10/19 松田公太オフィシャルブログより


これはあまりに無責任な回答だ。本人の資質の問題である以上に、こういう政治家を支持していた人の方がよっぽど問題だ。将来の総理候補とか働くお母さんの代表などと持ち上げていた人は猛省した方がいい。

結局今回の問題は小渕氏とその支援者というごく狭い範囲の問題でしか無いということだ。ネギを大量に配ったり、自身の顔写真入りのワインを配ったり、「ワキが甘い」の一言だ。

■政治資金の問題を解決する唯一の方法。
政治資金で問題を起こさないためには使途の制限など様々な手法があるのだろうが、根本的な解決策としては上場企業のように監査を入れれば良い。これで話は終わる。

最初は政治家相手ということで試行錯誤もあるだろうが、一度軌道に乗ればグローバルで活動するような上場企業と比較すれば会計士にとっては簡単な仕事だろう。数千万円から数億円規模の監査となれば、あまりに小規模だ。手間やコストも決して大きくはならない。

今回のダブル辞任は安倍政権にダメージ、総理には任命責任、と繰り返し報じられている。任命責任がある事は間違いないが、2014年の4~6月期のGDPの落ち込みは速報値からさらに下方修正され、年率換算マイナス7.1%となっている。リーマン・ショック以来最大の落ち込み幅だ。どちらの方がより責任が重いか、説明するまでもないだろう。

野党はこの問題をネタに攻める構えを見せていると報じられているが、例えば民主党はかつて鳩山由紀夫元代表が5年で9億円、一ヶ月当たり1500万円もの資金を実母から受け取っていた事が総理在任中に発覚した。厳しく攻め立てた所で「どの口が言ってるんだ?」という印象を与えるだけだ。

■案外まともな民主党。
10月3日の衆院予算委員会では、前原誠司・民主党元代表は安部総理に対し「アベノミクスには誤算がある。名目賃金で誇るより、実質賃金を上げなければならない」と迫った。

就任当初、安部総理は金融緩和によってインフレを起こすことでデフレが止まって賃金も上がって景気も良くなる……と説明をしたが、実際には前原氏が指摘するように物価上昇率が賃金の上昇率を上回り、想定と比べれば大誤算だ。こういった「まともな攻め方」をしない限り、野党の支持率が上がることは無いだろう。国民は決してバカではないという事だ。

民主党に限らず野党は「自民党を攻めれば相対的に自分たちの支持率が上がる」と間違っても期待しないほうが良い。景気が大幅に落ち込み、エボラウイルスの感染拡大が懸念される危機的な状況で、うちわやらネギやらで大騒ぎすることがいかに滑稽か、与野党共によく考えるべきだ。

これまで説明したように、小渕大臣と松島大臣の辞任は日本経済とも女性の社会進出とも何ら関係が無い。本来であればこの人が失脚したら日本経済がコケる、女性の社会進出が停滞してしまう、という位の政治家が居てもいいはずなのに……と考えると、あまりの惨状に頭痛が痛い。

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中嶋よしふみ シェアーズカフェ・オンライン編集長 シェアーズカフェ株式会社・代表取締役社長


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