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米国のビジネス誌『ハーバード・ビジネス・レビュー』で「今世紀でもっともセクシー(魅力的)な職業」として紹介された、「データサイエンティスト」という職種をご存知だろうか。最近では、女性限定のデータサイエンティスト講座を開催する企業も増えており、女性採用が非常に活発。社会的にもかなり注目を集めている職種だ。一方で、まだデータサイエンティストの実態についてよく知らないという人も多いだろう。データサイエンティストって何をする人? 理系出身者でなければなれないの? 株式会社ブレインパッドでデータサイエンティストとして活躍中の岩崎容子さんにお話を伺った。

■コンサルティング力×データ分析でクライアントの経営課題を解決
文系出身者も活躍できる仕事


岩崎さんによると、データサイエンティストとは「店舗での販売記録が含まれている『POSデータ』やコンピューターの使用状況などが記録された『ウェブログ』、SNSといった、企業に日々蓄積されている膨大なデータを分析し、ビジネスに生かせる知見を引き出す専門家」とのこと。広告出稿の効率化を図るための効果測定や購買率を上げるためのデータ分析などを行ったりするという。

「例えば、ウェブ上で広告を出してみたけれど、それがどのくらいの人に、どんなインパクトを与えたのか、膨大なデータを使って把握するのは難しいものです。それを、専門家の立場からデータを分析して、マーケティングの課題をクライアントの方と一緒に解決していきます」

また、「問題を解決するため大事なのは、クライアントが抱えている潜在的な課題を引き出すこと」と岩崎さん。課題を明確にしたら、それを解決するために必要なデータを集めていく。扱うデータは、ウェブ上に残るログデータをはじめ、最近ではGPSなどの位置情報やSNSのデータなど多岐に亘る。これらの膨大な量のデータを分析ができるように整えていく作業は、とても地道で時間がかかるものだ。その後、専用のデータ解析ツール(データマイニング・ソフトウェア)などを用いてデータを分析。現状を把握したのち、予測を立ててシミュレーションをした上で、どのような施策が最も適しているのかをクライアントにフィードバック。クライアントの意思決定の際の参考にしてもらうというのが仕事の流れとなっている。

「クライアントの課題を把握する部分や、最後のフィードバックに関する部分は、聞く力や説明する力など、コンサルティング的なスキルが必要。このスキルがあることこそが、データサイエンティストにとってすごく大切なことなんです。だからこそ、バリバリの理系でなければ務まらない仕事というわけではありません。私も学生時代は文系で心理学を専攻していたので、仕事に就いてからデータサイエンティストとしてのスキルを身に付けていきました」

■企業の採用が活発化!
女性データサイエンティストの需要が高いワケ


現在、データサイエンティストとして活躍する人のほとんどが男性といわれている(一般社団法人データサイエンティスト協会調べ)。女性は全体の1割に満たない状況があるため、さまざまな企業がこぞって女性を採用しようとしているそう。

「男性が多い職種ですが、本来は女性にも向いている仕事だと思います。だからこそ、どの企業も女性のデータサイエンティストが欲しいと考えているんです。例えば、最初に行うクライアントの潜在的な課題を引き出す作業。『なんだか分からないけれど問題だ』と感じている先方の悩みを聞き、課題を組み立て直してあげることが必要です。そういった作業は、どちらかといえば、聞き上手な女性のほうが得意な部分なのではないでしょうか」

また、特に女性にアドバンテージがあると思われるのは、業界や商品に対する感覚値。化粧品のような女性が普段から使用する商品を扱っているクライアントはもちろん、自動車など男性が名義人となることが多い商品に
関しても、女性が購買の決定権を握っている場合が多いといわれている。

「どのタイミングで人が購買を決めるか、何が一押しになっているか。データ分析の結果から出てくることも重要ですが、それを生活の中で肌感覚として理解していることは、女性ならではの強み。特に個人向けの事業を行っているクライアントに対しては、女性の視点が有ると無いとでは大違いです。また、時間に拘束される仕事ではないので、育児との両立がしやすいところも女性向きだと思います」

実際に、子育てをしながらデータサイエンティストとして働く岩崎さんは、育児休業前と後を比べても、パフォーマンスは何ら変わっていないという。

■未経験者でもチャレンジ可能
今後ますます需要が高まる最強の手に職ワーク


ビッグデータは、日々蓄積されていく。それを生かすデータサイエンティストの仕事は今後ますます重要性が増していくはずだと、岩崎さんは語る。

「データの加工や分析と聞くと、すごく難しいことをしているように思えるかもしれませんが、分析のためのツールは、テクノロジーの進化でどんどん使い勝手の良いものが出てきています。ただし、クライアントの課題の抽出や、どのデータを集めて分析するべきかといった判断、分析結果からどんな施策を提案すべきかなどを考えるのは、人間にしかできません。無駄のない経営をしたいというニーズがある限り、データサイエンティストのニーズが消えることはないでしょう」

今後ますます需要が高まっていくことが予想されるデータサイエンティストだが、現状はまだまだ絶対数が足りない状況。そのため、未経験者であっても門戸は開かれているという。岩崎さんによれば、データサイエンティストに必要な素養は、次の通りだ。

① 人とコミュニケーションを取るのが得意
② ビジネスパーソンとして相手を説得し、納得させることができる
③ 簡単なデータを分析したことがある
④ データ分析の方法を理解している

基本的な関数の仕組みを知っていたり、『Excel』で表やグラフを作成してデータの考察をしたことがあるというだけでも、③や④の条件を満たしているといえるそうだ。

「4つのうち、2つでも得意なことがあれば、どこに行っても歓迎されると思います。データサイエンティストになるための教科書的な本の中には、文系の人向けに書かれたものも多数あります。そういったものに目を通してみて、数字に対してそこまで苦手意識がなく、『大丈夫そうだ』と感じるのなら、データサイエンティストの素養があるかもしれません。最近では、当社をはじめ各社で『データサイエンティスト入門研修』が開催されているので、参加してみるのも一つの手でしょう」

「いつまでも社会から必要とされるようなスキルを身に付けたい」と思うなら、データサイエンティストになることも、その希望を叶える一つの選択肢かもしれない。興味のある人は、ぜひチャレンジしてみてはいかがだろうか?

【お話を伺った方】
株式会社ブレインパッド アナリティクスサービス本部 アナリティクスビジネス部
データサイエンティスト
岩崎 容子さん
1975年生まれ。早稲田大学大学院教育学研究科修士課程修了(発達心理学分野)。大学院修了後、シンクタンクで雇用支援分野の研究に従事。2007年1月、株式会社ブレインパッドにアナリスト職(現在のデータサイエンティスト職)で入社。テキスト解析、購買確率予測、マーケティング・ミックス・モデリング領域等の分析プロジェクトに従事。その後、9ヶ月間の育児休業を経て、2012年4月より原職復帰

取材・文/朝倉真弓

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