面接

ここ最近、転職市場が活発化しています。10月の有効求人倍率は1.10倍となり、厚労省は「着実に改善が進んでいる」と発表しました。これまでの市場の厳しい環境を理由に転職は難しいと考えていた人も、この機に活動を始めようと考えている人も多いかと思います。

私もキャリアコンサルタントとして毎日のように転職についての相談を受けていますが、重要なのに、意外に見逃している人が多いあることが非常に気になっています。それは「職務経歴書」で「何をどう採用担当者にアピールすべきか」ということです。今回は特に転職によってこれまでの職務から新しい職務内容へとキャリアチェンジを目指す場合をとりあげて、確実に採用側にアピールする方法についてお話しします。

■華麗なる経歴だがアピールしない書類
以前に相談を受けた20代後半の女性Aさんの例をご紹介しましょう。Aさんは大学卒業後、アパレル会社の店舗の販売職として勤めてこられましたが、未経験の人事業務へのキャリアチェンジを目指して相談にいらっしゃいました。はきはきと礼儀正しく、職場でも活躍していらっしゃる様子が伝わってくる方でした。その第一印象通り、これまで順調にキャリアアップされ、若いながらも店長として活躍されているとのこと。そんなAさんですが、転職活動を始めてみたものの、どうも書類審査が通らなくて…とお話しになります。何が問題だったのでしょう?

職務経歴書にはAさんの素晴らしい売り上げ実績が書き連ねられていました。入社間もないころから会社の中でもトップレベルの売り上げをあげてこられ、表彰を受けることも数回あったそうです。その実績を買われて店長に抜擢されたことが伝わってきました。この職務経歴書を見た見た当初、私はてっきり販売職か営業職としてAさんはキャリアアップしたいのだと思いました。しかしAさんが転職で目指していたのは、人事の仕事に携わることだったのです。

Aさんは、勤務先の会社全体で店舗スタッフがなかなか定着しないことに問題意識を覚え、店長として店舗スタッフに長く勤めてもらうための努力を重ねてこられました。一定の成果はあったものの、店舗単独の取組では限界を覚えるようになり、会社全体の人事施策を考えられる仕事に挑戦したいと考えられるようになったのです。勤務先企業ではそのキャリアパスを実現することが難しいため、転職を決意されて相談にいらったのです。しかし、残念ながら売上実績を前面に訴求する職務経歴書では、定着率向上の取組については全く触れられていなかったため、Aさんが人事を目指している理由が全く伝わってこなかったのです。

■目指す職務と整合した内容か要チェック
「職務経歴書」は、文字通り、中途採用において、その人の前職までの仕事上の経歴を理解してもらうためのものです。どんな会社でどんな仕事をしてきたかはもちろん、そこでどんな実績を上げてきたかを記述します。中途採用では多くの場合、欠員募集であり即戦力が求められるので、採用側としては職務経歴書で募集しているポジションにふさわしい実力がある人物かを判断します。

これまでの職務と今後目指す職務が一致している場合は、過去の職務実績がストレートに次のキャリアにつながりやすくなります。しかし未経験職種に挑戦する場合は、一工夫が必要です。Aさんのように、これまでの職務の実績がどんなにすばらしくても、新しく挑戦する「人事」の職務で評価されるのは難しいのです。

Aさんのように、店舗の販売職から人事に職種を転換したいと考えている場合、書くべきなのは、なかなか人の定着しない店舗で定着率をあげた実績や、メンバーのモチベーションをあげるために行ってきた取組内容です。目指している職務に照らし、そこでどう貢献できるかを考えたうえで、自分の実績を見直すことが必要なのです。

Aさんに職務経歴書の改善点を指摘すると、はっとされていました。自分の優れた面をアピールしようと、つい販売職での高い実績を書いてしまったものの、人事職採用においては、その内容では経験者に適わないことが理解いただけたようです。

未経験者の場合、その職務に別の経験者が応募してくると、太刀打ちするのはかなり難しいのが現実です。しかし、経験者にはない職務経験からの知見を掘り起こし、加えてその職務に照らして訴求すればチャンスは広がります。

こうして聞いてみれば当たり前のことのように思いますが、これまでの実績が素晴らしい人ほど、Aさんのようにその素晴らしさを訴えたくなりがちです。提出する前に今一度、自分が目指すキャリアチェンジの方向と職務経歴書の内容を、採用する立場に立って、応募しているポジションにふさわしい実績を書いているか、場合によっては第三者に評価してもらいながら見直すことをお勧めします。

【参考記事】
■営業か事務か、二律背反?
http://ameblo.jp/asochan/theme6-10027420553.html
■辞任閣僚に学ぶ、女性リーダーの生き残りの心得(朝生容子 キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/41591678-20141028.html
■「君はよく働いてくれた、だがクビだ」 とは日米共通
http://sharescafe.net/41321319-20141014.html
■転職準備のすすめ
http://sharescafe.net/36110600-20140102.html
■転職を繰り返す人を採用したくない3つの理由 
http://sharescafe.net/41119882-20141002.html

朝生容子 キャリアコンサルタント・産業カウンセラー


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