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12/14に開票が行われた衆議院選挙では、経済再生について自民党陣営は大企業優遇によるトップダウン型の政策、民主党や共産党といった野党陣営では労働者や中小企業優遇によるボトムアップ型の政策が主張された。

■今が起業のチャンスだ
私はどちらの主張も一理あるとは思うが、どちらが正解だとも思っていない。それよりも、既存企業の枠にとらわれず、新しい付加価値を生み出す起業を促すことのほうが重要だと考えている。

減税にせよ最低賃金の引上げにせよ、誰かと誰かの取り分を調整するという話であり、何かプラスのものを生み出すという話ではないからだ。大企業も中小企業も労働者も含め、皆が揃ってハッピーになるためには、パイの切り方で喧嘩をするのではなく、パイ自体を大きくすることでしか前向きな議論はできないと私は思っている。

ところで、パイ自体を大きくすること、もっと具体的にいえば起業家の支援やベンチャー企業の育成ということに関し、私は非常に明るいものを感じている。

社労士の仕事をしていると、様々な会社様とお付き合いをさせて頂く機会があるが、今年はとくに、スモールビジネスを支援する斬新サービスを提供する会社に数多く出会ったことが印象的であったからだ。驚くほどの低コストで質の高いサービスが受けられ、起業のハードルは近年、大きく下がったことは間違いない。

私が今年お付き合をさせていただいた会社で、ベンチャー企業の経営者の方や、これから起業を志す方に、是非とも知っておいて頂きたい会社を5社ほど紹介したい。いずれも、創業1年未満から3年程度の若い会社であるが、提供しているサービスの着眼点は本当に素晴らしい。

■ビズシード株式会社
https://bizceed.jp/

2014年4月に設立されたばかりだが、『創業手帳』で急速に知名度を高めている会社だ。

『創業手帳』とは、全ての新設法人に対して届けられる、いわば企業の母子手帳のようなもので、この手帳には事業運営のためのノウハウが詰め込まれている。

創業者の大久保社長のコンセプトは単純明快で、「我が国では毎月約9,000社の会社が生まれ、約10,000社が廃業している。これを逆転させることで法人数を減少から増加に転じさせ、日本経済を元気にすることに貢献したい。」とおっしゃっている。

『創業手帳』を手に取り、先人の成功例、失敗例から学べば、起業の成功確立を上げることができるのは自明の理だ。『創業手帳』を配布するだけでなく、さらには日本全国で創業手帳セミナーを開催することで、スタートアップ期の起業を応援している。

『創業手帳』の製本や発送のコストは広告料などで賄われるビジネスモデルのため、創業期の会社はビズシードのサービスを原則無料で受けることができることも、心強い限りである。

なお、創業前の段階で、予備知識を得るために『創業手帳』を受け取ることも可能なので、起業家予備軍の方も、是非ビズシード社の窓口に問い合わせたり、創業手帳セミナーに参加をしたりしてほしい。

■freee株式会社
http://www.freee.co.jp/

実際に起業をした後、本業以外で避けては通れないのが、会計と給与計算の業務だ。

freee株式会社では、「会計freee」、「給与計算freee」というクラウド型の業務ソフトを開発、運営している。単に、「クラウド型」というだけでは珍しくはないかもしれないが、とにかく「使いやすい」というコンセプトを大事にしている。

昨今、iPhoneのような視覚的、直感的に扱えるデバイスが大ヒットしているが、freee社のソフトはまさにそのコンセプトで設計されているのだ。

私自身、「会計freee」も「給与計算freee」も利用させてもらっているが、「会計freee」で言えば、仕分けの自動取り込みや視覚的なガイドなどで会計の知識がなくても、日々の仕分けができるように工夫をされている。また、「給与計算freee」でも、社員とクラウドで日報を共有することで、簡単に月々の残業代も計算できるし、年末調整もインターフェイスに社員が情報を入力すれば、これまでにないほど簡単に計算をすることができることを実感した。

小さな会社であれば、税理士や社労士に頼むことなく、また、かといって経営者の時間を浪費することなくバックオフィス業務を対応できるであろう。

■株式会社ビズグラウンド
http://bizground.co.jp/

「会計freee」や「給与計算freee」を使えば、税理士や社労士といった専門家が全く不要ということにはならない。

会社を経営していると、何かと分からないことや心配なことが出てくる。だが、創業したばかりの会社が、月に数万円も顧問料を払って、税理士や社労士と契約をすることは負担が厳しい。

そこで、ビズグラウウド社では、月々2,980円で、税理士、社労士、行政書士、弁理士に相談が可能となる、「Bizer」というプラットフォームを開発した。

「Bizer」の利用料を支払い、会員になってプラットフォーム内で質問をすると、その質問内容に該当する士業が、無料で質問に答えてくれるという仕組みだ。

士業側のメリットとしては、無料相談で信頼を勝ち得た顧客とスポット契約や将来的な顧問契約に結びつけるということである。営業活動をしたい士業のニーズと、現時点では本格的な顧問契約までは必要ないが、日々のちょっとした疑問に対する回答がほしいという経営者のニーズをマッチさせたビジネスモデルである。

また、Bizerではバックオフィス業務の効率化にも力を入れており、Bizerの会員になると、会社設立時に必要となる書類を自動で作成する機能や、「社員を採用したときに何をすべきか」「年末調整では何をすべきか」など、場面ごとに必要となる事務作業をチェックリスト化した「会社運営のダンドリ」という機能を利用することもできる。

畠山社長が終局的に目指しているのは、事務的な作業はどんどん自動化させ、企業経営者の利便に貢献するとともに、士業がより付加価値の高い業務に集中できるような環境を作りたいということだ。

■株式会社クラウドワークス
https://crowdworks.co.jp/

会社を始めると、「ホームページを作りたい」「かっこいい会社のロゴをデザインしたい」「見栄えの良いチラシと作りたい」など、様々なニーズが生じてくる。

そのようなとき、誰に依頼をすれば良いか悩んだり、知っている会社に見積を依頼したが、どうしても予算がオーバーしてしまったり、ということが起こりうる。

ここで知っておきたいのは「クラウドソーシング」という言葉だ。クラウドソーシングとは、インターネットを利用して業務の広く受注者の募集を行い、報酬や納期などの条件が合った人に対して、その業務を発注するという仕組みである。

このような「クラウドソーシング」のプラットフォームを運営している代表的な会社の1つが、クラウドワークス社である。プラットフォームを経由して、発注者と技術を持つ個人が直接的に結びつくので、法人に発注する場合に加え、柔軟かつ安価に業務を発注することが可能となる。

逆に、仕事を受注する個人のほうも、「子育ての合間に自宅で仕事ができる」とか「宮古島で暮らしながら仕事ができる」といったように、個人のニーズやライフスタイルに合わせた働き方ができることが魅力的である。

クラウドワークスのホームページを見れば一目瞭然だが、本当に多種多様な仕事を発注することが可能となっている。特別な専門性が必要であり自社内で対応できないとか、専門性は必要でないが工数が不足しているので助けてもらいたいとかいったようなとき、外注先として、クラウドソーシングという選択肢を覚えておいて損はないであろう。

■株式会社キャスター
http://cast-er.com/

社外へのアウトソーシングという意味ではクラウドワークス社と似ているが、スポット的な業務だけではなく、経理業務や秘書業務など継続的なバックオフィス業務を外注できることがこの会社の特徴だ。

たとえば、月12万のコースで契約をすれば、最大55時間までオンラインで対応可能な業務を幅広く依頼することできる。

社員1人を雇うほどの仕事量はないが、何かとバックオフィス業務を手伝ってほしいというニーズのある会社が、人件費を分担して、複数の会社で人員をシェアするというイメージである。

上記の12万円のコースであれば、月の平均労働時間は160時間程度であるから、1人の社員の工数を3社で分け合い、社会保険料や賞与などの負担も考えれば、1社あたりの負担額もだいたい算数は合うであろう。

キャスター社が責任を持ってスタッフの教育を行っており、マイクロソフトのofficeを始め、オンラインで働くための知識を持った上で業務に当たっている。万が一、水準に満たないスタッフを割り当てられた場合は、交代を要求することもできる。

したがって、ユーザー側の会社は「採用の失敗」というリスクを抱えることもない。もし、自社で採用した社員が想定外に能力不足であったとしても我が国の法律では解雇は非常に難しいので、経営に与えるダメージは大きい。しかし、キャスターの場合は、交代を求める連絡を入れれば良いだけである。

キャスターの中川社長とは年末にお会いしたのだが、現在は地方での人材発掘に力を入れているということであった。地方では仕事が限られており、優秀なスキルを持つ人が仕事に就けなかったり、単純な作業に甘んじたりしている。一方で、首都圏ではベンチャー企業が次々に立ち上がり、人材に不足感がある。これをインターネットでつなぐことによって、需要と供給のミスマッチを解消したいというのが中川社長のビジョンであった。まだ28歳という若さでいらっしゃるのに、本当に鋭く時代の流れを捉えていらっしゃり、驚かされたものだ。

■結び
このように、とにかく低コスト、低リスクでビジネスが始められる世の中になったことは間違いない。民間では、こんなにも多くの会社が、多種多様なアイデアやビジョンを持ち寄り、日本を元気にしようと頑張っているのだ。2015年は、政府も、この流れを是非とも後押ししてほしいものである。

《参考記事》
■“myamya”の眼鏡が1本5万円でも次々に売れる理由 榊 裕葵
http://sharescafe.net/41144431-20141003.html
■「クラウドママ」を普及させて、働く女性が子育てをしやすい国にしよう! 榊 裕葵
http://sharescafe.net/41752066-20141106.html
■銀座久兵衛式!?社員に黙々と仕事をさせないから繁盛するステーキ屋さん「然」の秘密 榊 裕葵
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■日テレ内定取り消しの笹崎さんに必要なのは「指原力」だ 榊 裕葵
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あおいヒューマンリソースコンサルティング代表
特定社会保険労務士・CFP 榊 裕葵


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