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新しい年を迎え、創業を志している方もいらっしゃるかもしれません。やっぱり一国一城の主、雇われ人にはない夢とロマン。確かにリスクもあるけれども収入は青天井。

こういった聞こえの良い事は、何の責任のない他人だから言えるのですが、やはり耳ざわりの良い言葉であるのは事実です。

ただ、漠然と起業を考えている段階ではこうした無責任な煽り文句に「ふーんそんなもんなのかぁ…いいなぁ。」くらいで済むのですが、具体的に『起業』を考え始めると、「具体的に何をすればよいか分からないよ」という壁に直面する人も多いかと思います。

例えば、飲食店で起業したいと考えていた場合はどうでしょうか?まず、飲食店で修行しますか?メニューはどうします?経営の勉強をしますか?開業資金はどうしますか?お店はどこに出しますか?どんなお客様をターゲットにしますか?客単価は?席数は?等々

飲食店を経営したことがない素人がぱっと思い浮かぶだけでも、考えなければならない事はまだまだ沢山でてきます。

■専門家の知見を利用しましょう。それも無料で
さて、上で挙げたようなリストのほかにも、挙げる気になればもっと挙げることが可能です。われわれのような経営の相談にのるといった職種の人間は、言語化している、いないに関わらず自分の専門分野の業界については、こういったチェックリストを持っているものなのです。(毎回、相談を受けて初めて考えるみたいなことをやっていたら、仕事になりませんし、漏れや抜けがでますからね。)

であれば「そのチェックリストを後で送ってよ」と思われる方もいるかもしれません。そしてそういった声に応えて様々な書籍が出版されているのです。しかし、単にこういったチェックリストを手に入れても、それを冷静に活用できるかどうかは別の問題です。

これから起業しようと考えている当事者の人は、良くも悪くも前向きな方が多いので、自分に都合の良い見積もりをしがちといった傾向があったりします。例えば「うちのラーメンは抜群に美味しいから、確かに通りから離れていて立地は悪いけど、お客さんが来る(ハズ)」と考えていたら、客数の見積もりは甘くなりそうですよね?

でも、起業を考えるくらいですから、商品には自信を持っているのはある意味当たりまえです。その為、どうしても客数の見積もりは甘くなるといった傾向が出てきてしまうのです。

また、飲食店の場合、席数と回転率でお客さんの上限がある程度決まってきます。また、客単価もある程度決まりますので、売上の上限は必然的にある程度見えるのですね。(売上高=客数×客単価です)

また、食材費などの売上に比例して発生する費用や、家賃や人件費、水道光熱費など、ある程度固定的に発生する費用も最初に決まってきます。すると、どの程度のお客さんが入れば損益がトントンになるのかが、実は事業を開始する前に決まってくるのです。

そして、この客数の見積もりが明らかに甘いと、事業をはじめる前から赤字が運命付けられているような飲食店が出来上がってしまうのです。例えば、「常に7割くらい席が埋まっているけれども、本当は8割の座席が埋まっていないと損益がトントンにならないよ」といった飲食店では赤字になってしまいます。

これは、とても怖い話ですよね。赤字が運命づけられているわけですから「起業などしなければ良かった」となってしまうわけです。でも、起業してしまった以上、知らなかったでは済まされないのです。

このような事を避けるために、起業を志す皆様がその分野でのプロであるのと同様に、経営支援のプロの知見を利用してほしいと思うのです。

そして、そのプロの知見は現在では非常に安価に(場合によっては無料で)利用することができるといった事をお伝えしたいのです。

■行政はあなたの起業を待っているのです
さて、先ほど私は『非常に安価に(場合によっては無料で)』と書きました。でもこれって変ですよね?どうして、プロの知見を無料で利用できるのでしょうか?「立派な志を持つ人が多いから、ボランティアで起業の支援をするのでしょうか?」

いえいえ、経営支援の専門家も霞を食べて生きる仙人ではないので、もちろん報酬は出ています。しかし、その報酬の出元が、起業を志す人ではなく国などの行政機関であるという事なのです。

どういう事かというと、国や地方自治体は、あなたが起業してくれると非常にありがたいのです。あなたの事業がうまくいけば、税収も上がりますし、雇用も生まれます。そのため、貴重な税金を投じてでも、あなたの起業を支援したいのです。(金の卵を産むガチョウを育てたいのですね)

■起業の支援はお金だけではない
この種の情報は、結構、色んなパンフレットなどで出回っているように思えるのですが、それは中小企業支援に携わっているからそう感じるのでしょう。一般の方とお話をすると、驚くほどこういった情報は浸透していないように思われます。

また、補助や助成が出ることを知っている方でも、「補助金が出るんだよね?」といった風にお金を直接受け取るような支援施策については知っていても、専門家の派遣を受けられるといった内容についてはご存じない方が多いのです。

しかし、補助金や助成金にはクリアすべきハードルがそれなりに高く設定されており、とても敷居が低いとは言えないのです。これに比べて、専門家の派遣については非常にハードルが低く、『誰でも』に近いレベルで利用できる施策になっております。

■具体的には
さて、そろそろ「具体的にどうすればよいの?」との声が聞こえてきそうなので、具体的に利用できる代表的な内容について簡単に紹介をしていきたいと思います。

  • ミラサポ

まずは、中小企業庁が中心となって運営しているミラサポというサービスです。こちらは年三回まで専門家に無料で相談ができるという専門家派遣というサービスを行っています。

専門家として、公認会計士や税理士、中小企業診断士等が登録されており、極めて専門的なアドバイスを無料で受けることができます。(中小企業診断士をあえて挙げるのはポジショントークというやつです。)

  • お近くの商工会議所・商工会

ご商売をされていない方には中々、縁が薄いかもしれませんがお近くの商工会議所・商工会でも起業の相談にのってもらえます。

そして、商工会議所や商工会ではエキスパートバンク事業という、上のミラサポの専門家派遣事業と同じように、年1回、無料で専門家を派遣してもらう事ができるといった事業を行っております。

  • そのほかにも

そのほかにも、お住まいの行政機関が起業支援をしていたりと、探してみると驚くほどのたくさんの起業支援のプログラムが見つかるはずです。

■最後に
さて、最後になりますが、起業を志された方は、ぜひこういった無料で専門家のアドバイスを受けることができる制度を利用していただきたいと思います。もちろん、事業は何が起こるかわからないので事前に相談しても仕方ないという考え方や、トライアンドエラーで徐々に事業を調整をしていくことが大切だという意見にも一理あるとは思います。

しかし、起業前の段階で事業の成否の大きな部分が決定するような業種もあるという事を知っていただきたいのです。(特に最初に大きな初期投資が必要となるような事業はその傾向が強いです。)

こういった事は単純に「知っているか、いないか」だけなので、見切り発車をするのではなく、一旦専門家を利用して客観的な意見をもらうという事を強くお勧めします。

今後、全力を投じる事業なわけですから、スタート前に立ち止まってアドバイスを聴く。それも無料でお願いできると言えども、実際にはそれなりの報酬を払う必要があるアドバイスですから、少なくとも、起業前の数時間を費やすだけの価値はあると考えられます。

と、ポジショントークに終始した感はありますが、起業を後押しする公的なサービスは色々ありますので是非利用していただければと思います。また、専門家に相談していく中で、具体的な補助金や助成金の利用についてアドバイスを受けることも可能です。

【参考記事】
■我が国において、「いつ起業するか?今でしょ!」と断言できる理由 (榊 裕葵 社会保険労務士)
http://sharescafe.net/42665218-20141231.html
ポジショントーク | 人は自分の立ち位置にとって有利になるような発言をしがちです
http://keieimanga.net/archives/8078016.html
■社会福祉法人の内部留保を『活用』させても何も改善しないですよね? (岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/39628354-20140701.html
■耳触りの良い『軽減税率』導入に伴うコストはだれが負担するのですか?(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/39890391-20140717.html
■経営者保証という見えない鎖を外すためのガイドラインを活用し、有限責任というタテマエをタテマエではなくそう(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/40440438-20140821.html

中小企業診断士 岡崎よしひろ


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