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先週、埼玉県朝霞市にある小学校に租税教室の授業を行ってきました。

私の住む埼玉県朝霞地域4市(朝霞市、志木市、新座市、和光市)では税務署の職員や税理士などが各学校に出向き、小中高校生に税金の大切さを知ってもらうための「租税教室」を行っています。

■小学6年生を対象とした租税プログラム
対象の学年は小学校6年生。最初はクイズ形式で授業を進めます。「どんな税金を知っていますか?」の質問には積極的に手が上がって、「消費税」「酒税」「固定資産税」「自動車税」とたくさん答えが出てきました。小学生でも6年生になるとニュースを見たり、大人の会話を聞いたりしているのでしょうか、税金の種類を意外と知っているのには驚かされます。

メインはDVDの「マリンとヤマト 不思議な日曜日」を見ます。これは国税庁のホームページから誰でも見ることができるアニメです。結構よくできていて、大人でも面白く見ることができます。税金をない世界に行くと、どうなってしまうのかを、ちょっと考えさせられるようなストーリーです。各クラス、多少の差はあるものの、皆とてもよく聞いてくれ、手もたくさん上がり、私にとっても楽しいひと時になりました。

■租税教育は国家プロジェクトの一つ
ところでこの租税教室ですが、今から4年ほど前の平成23年度の税制改正大綱(基本指針)で、「租税教育の充実」が初めて閣議決定され、官民および政府が連携してこの取り組みをしていこうとするものになりました。実は何を隠そう、租税教育は実は国を挙げての一大プロジェクトなのです。

目的は「次代を担う児童・生徒等が、民主主義の根幹である租税の意義や役割を正しく理解し、社会の構成員として税金を納め、その使い道に関心を持ち、さらには納税者として社会や国の在り方を主体的に考えるという自覚を育てること」。これから消費税の税率があがっていくのは必至です。今より確実に負担の重くなる世の中に働き手として出ていかなくてはならない子供たちに税金の大切さを知ってもらうのはよい機会であると思います。

■子供は大人の言ったことを聞いている
税金のイメージは?という質問をすると、決まって「たくさんとられて嫌だ」「無駄遣いしている」などとネガティブな反応がかえってきます。これは本当に子供の意見なのでしょうか?恐らく大半は、親が、家族がそう言っているのでしょう。子供はそういう会話を少なからず聞いて成長します。そして大人になり社会人になって働くときにはすっかり「税金嫌い」の人間が出来上がってしまうのだと思います。

納税の義務は日本国憲法の国民3大義務の一つであり、日本国民であれば、誰でも税金を納めなくてはならないとても大切なことです。にもかかわらず、日本では消費税率の上昇といったような税金の負担増ともなるとすぐさま不快感を表し、反対・批判をします。もちろん自分の懐が痛むのは嫌なことですが、どれだけの税金が自分の身近にある教育や医療、道路などに使われ、一個人として恩恵を被ってきたのかを考えたことがあるでしょうか?

例えば、子供は公立の学校で小中高を過ごすと一人当たり約1000万円の税金を使うことになります。私立でも補助金という形で国の税金が支給されています。子供を持つ親はもちろんのこと、学校は誰でも通ってきた道ですし、教育に限らず、誰もが税金の恩恵を受けているはずなのですが、負のイメージしか持てないのはどうしてなのでしょうか。

■国家を信用していない日本の人々
そもそも日本人は国を信用していないことに尽きると思います。年金一つをとっても、「今の若い世代は年金は払い損だ。」と言われたら、誰だって払うのは馬鹿馬鹿しくなってしまいます。納税に関しても似たような意識が強いのでしょう。税金を自分が払うより還元されていない意識が強ければ、進んで納税しようと思いません。

また「税金が足りない、これでは国家が破産する」などと報道されますが、普通に生活しているレベルではよく分からないですし、その反面、国は税金の具体的な使い道や還元しているといったアピールは下手に感じられます。納税の理解が進まないのはこういった、自分の意見の届かない、遠くで勝手に決められ、自分たちへの還元も薄いようなイメージがあるからでしょう。

しかし文句を言っても何も始まりません。こういう世の中だからこそ社会活動にも関心を持つべきなのです。子供の税金の教育も大切ですが、現役世代の大人にも納税の大切さを知る場を設けられたら、一方的に税金を「取られる」という意識を和らげて、もっと税金を納める行為に誇りを持てるのではと思うのです。次世代の大人を育てるためには、まず現役世代の大人からの意識改革が必要なのではないでしょうか。

■身勝手な大人になっていませんか?
以前、市役所で確定申告の納税相談をしていた際に、ある納税者の確定申告の1年間の税金が1万円になりました。その人は「こんな高い金額払えない。」と怒り出し、「ウチは犬を5匹飼っているから税金なんて払えない。」と言ったのです。あまりにも理屈が通らない返答にあっけにとられてしまいました。今の時期、確定申告の無料相談の会場には色々な人がやってきます。もちろんこんな人ばかりではないですが、こういった身勝手な人、身の回りにいませんか?

【参考記事】
■高齢者はお金持ち?詐欺集団だけでない、その資産に目をつけているのは、、
http://sharescafe.net/43017490-20150122.html
■進む医療、広がる医療費控除~確定申告医療費の行方
http://sharescafe.net/42332324-20141212.html
■消費税増税で支給された臨時給付金の実情
http://sharescafe.net/41787425-20141108.html
■政治家任せはもうやめよう!ーウェブサイトWhere does my money go?(税金はどこへ行った?)に期待すること。
http://sharescafe.net/41465708-20141021.html
■消費税 軽減税率の問題点
http://sharescafe.net/40635462-20140902.html

浅野千晴 税理士

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