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2015年1月1日発表の経団連の提言でも女性の活躍推進が謳われていたように、今後、女性活用がキーワードになっていくことは間違いないでしょう。

では実際に女性活用が進んでいるかといえば、順風満帆とはいえないようです。2014年12月25日に東京商工リサーチが発表した「女性就業に関するアンケート」に関するアンケートによると、政府が目標としている女性管理職比率3割を達成している企業は6.9%。10%未満は76.4%でした。また女性従業員の構成比率は「10%以上30%未満」が最大であり、45.9%という比率になっています。

出生率が下がり、超高齢化社会に突入している日本において、労働人口の確保は重大な問題です。高齢者の活用や、移民受け入れといった方法も検討されてますが、体力や言語能力といった観点からみても、女性活用が最も取り組みやすい方法であることは間違いありません。

■企業の立場からみた女性活用が進まない理由
ではなぜ女性活用は進まないのでしょう。企業に勤務している経験から考えると以下のような理由が考えられます。

一つ目は優先順位です。企業の中核にいる経営層、マネジメント層は長期的視野で物事を判断しなければいけないとされていますが、実際に考えていることは短期的な事案が多いものです。よほどの大企業でない限り、売上げをどう上げるか、利益をどう捻出するか、売れる商品をどう作り出すかなどが、企業の最優先事項です。本来であれば、優先順位はあくまで優先すべき順位を決めるだけであり、優先順位が低いことはやらなくても良い訳ではないのですが、短期的な事案は、次から次へと起こるものであり、結果として、優先順位が低いと見なされる女性活用には手をつけられないという事になります。

二つ目はコストです。女性活用は女性の採用比率を上げればそれで終わりという訳ではありません。女性に配慮した職場環境を整備する必要がありますし、育児休暇などの人事制度の見直しも欠かせません。こうした取り組みは企業にとってはコストが先に出て行くということになります。女性活用に消極的にならざるを得ない理由の一つとして考えられるでしょう。

三つ目は、女性を活用するメリットを企業が理解できないということです。企業の考えるメリットとは、一つ目の理由と関係しますが、売上げが上がるか、利益が上がるかに集約されます。では女性を活用したら、売上げや利益が上がるかと考えたとき、男性中心で構成された企業には、女性を活用した売上げや利益を上げるノウハウがありません。ノウハウが無ければ一から積み上げればいいという話もありますが、業績が好調で経営に余裕がある企業以外は、そんな悠長なことは言っていられないというのが現状でしょう。

■企業が本当に欲しい人材とは?
このように性別の違いを問題の軸として捉えると、企業側は女性活用に対してネガティブな考え方になりがちです。しかし、よくよく考えてみると企業が欲しいのは優秀な人材のはずです。なぜなら優秀な人材は、企業の売上げや利益を大きく伸ばし、企業の成長に多大な貢献をしてくれるはずだからです。、従って企業が優秀だと判断する人材であれば、性別の違いは問題にならないはずです。

しかし、何を持って優秀とするかの判断は難しいこともあり、現状では、学歴が重要な判断指標になっているのは、みなさんご存知のとおりです。

では採用基準として一つの区切りである4年生大学の男女の進学率を確認してみましょう。内閣府男女共同参画局のWebサイトに、24年度の大学進学率が掲載されています。データによると4年生大学への進学率は、性は55.6%、女性は45.8%となっています。日本における出生時の男女比率は、女性100人に対して概ね男性105人で推移しています。仮にある世代の人数を100万人とすると、4年生大学に進学する人数は、男性583,800人、女性436,190人となり、約12万人もの差がつくことになります。

次に一般的に難関であると言われている大学の男女比率を見てみましょう。大学のWebサイトに掲載されている最新の学生数データをまとめると以下のようになります。(大学院の在籍者は除きます。)
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旧帝大と言われる大学では、女性の比率は概ね30%以下になっています。慶応義塾大学や早稲田大学といった私立大学は30%を超えていますが、それでも4年生大学への進学率である45.8%と比較すると大きな差があることが分かります。

こうしてみると、企業から優秀と判断される難関大学の卒業人数における女性の数が男性と比較して大幅に少ないことは否めません。政府目標である女性管理者を30%にしようとした企業が考えた場合、結婚や出産を機に退職を望む女性も一定数いることを想定すると、女性の採用比率は50%近くにはしておきたいところです。しかしそもそもの採用対象となる母数が少ないのです。

つまり企業が女性活用を推進しなければいけないのはもちろんですが、企業で働くことで社会に貢献することを目的として難関大学を目指す女性の数を増やす必要がありそうです。

■女性活用の鍵はお父さんかも
子供は、自分と同性の親をロールモデルとして見る傾向があります。父親が企業で働き、家庭の年収の大部分を稼ぎ、母親はパートで、家計を補助するという家族における役割分担が根強い現状では、高い専門知識を学べる難関大学に入り、企業で働き、成果を上げ管理職になりたいと考える女の子は少ないのではないでしょうか。

このような状況を打破する方法として、企業で働く父親が社会で働くことのやりがいや楽しさを自分の娘に積極的に教えてあげる必要があるのではないでしょうか?女のお子さんを持つお父さんこそが、女性活用を推進するキーマンかもしれません。

《参考記事》
■あなたの会社にもいるかもしれない?ビジネスメソッドマニアに気をつけろ!(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/40838018-20140914.html
■メジャーで最も不運な投手?黒田博樹の安定力(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/40241196-20140808.html
■ダルビッシュが異議を唱える100球制限の根拠PAPとは何か?(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/39968949-20140721.html
■平均値をウソつき呼ばわりするのは、もうそろそろ終わりにしよう。  村山聡
http://sharescafe.net/39363307-20140614.html
■「飲み会は残業代出ますか?」と聞く前に新入社員が心得ておくべきこと 村山聡
http://sharescafe.net/38576145-20140430.html


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