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平成26年度の確定申告は3月16日、消費税の申告は3月31日で終了しました。駆け込みで税務署に提出してほっとしている方も多いのではないでしょうか?

今年は市や税理士会での無料の申告相談会場にいくことが多い年でしたが、時代の流れでしょうか、本人が外国人、外国人と結婚していて旦那さん、奥さんが外国の人が多くいらっしゃいました。そこでよく目にするのが本国にいる両親等を扶養として申告をしている人でした。

■扶養控除とは
扶養控除とは一緒に生活をしている奥さんもしくは旦那さん以外の子供などの家族で、お金を稼いでいない人(収入があってもパート、アルバイト程度で収入の少ない人)が収入のある人の「扶養」として所得から一人当たり38万円を引くことができます。法律では「生計を一にする」といいますが、この意味は必ずしも一緒に生活をしていなくてもよく、下宿生活をしている子供も、田舎で暮らしている親も仕送りしていれば、れっきとした「扶養」となることができます。

外国人の場合には、母国にいる両親などに実際に送金して養っているのであれば扶養であることが認められ、税金が安くなります。ではどの範囲まで扶養に該当するのでしょうか?

■扶養にできる範囲とは
税金面での扶養親族の範囲は、民法の規定に準じて6親等以内の血族及び3親等以内の姻族となります。この範囲は想像がつきにくいですが、例えば自分の両親のいとこの孫(6親等の血族に該当)や、奥さんの叔父、叔母や奥さんの兄弟の子供も扶養となります(3親等の姻族に該当)。昔は大家族で一家の長男が家計をささえていたというようなこともあったのでしょう。ただし、この範囲は今の日本社会において実情に合わないほど広く、そもそも遠縁を扶養するといったケースは少ないでしょう。

■収入が多いほど扶養親族が多くなる?
平成25年11月4日付での平成25年度会計検査院の報告の中に「日本国外に居住する扶養対象控除に係る扶養控除の適用状況等について」が公表されました。

平成24年度の確定申告で扶養控除の控除額だけで300万円以上の納税者を調査したところ、外国人であるという割合は35%、日本人が61%、このうち8割が外国人と結婚している人でした。300万円の扶養を税金面で控除するには、単純に8人は扶養していなければならないことになります。これに比較して、同年度の平均の扶養親族の数は一人当たり1.34人ですから、外国人の親族のいる扶養親族の多さが際立っています。また収入が多い人ほど国外の扶養親族が多くなるという奇妙な結果になっています。

扶養控除とは、養っている家族がいると経済的に負担がかかることを考慮して税金の負担を減らす目的で導入されているものです。実際に外国人の中には母国に家族を残し、一生懸命仕事をして家族に送金している人が正当に扶養をしていると主張するのは正しいことです。実際に何年か前の申告相談会場で15人の扶養を申告してきた外国人がいたことがあります。

■実際のところ本当に扶養家族なのか
ただ実務上、外国人の扶養となると、日本国内にいる扶養家族と違って調べにくく、どうしても判断できない点があります。

まず、母国の両親、兄弟、甥、姪など多くを扶養しているとした場合、遠くにいる大家族を本当に扶養しているかはよくわかりません。また、家族が本国で本当に扶養の範囲に該当するかやその家族の収入の有無などの判断もできません。おまけに、実はいくら送れば扶養に該当するといったきまりがないため、国によって物価が違うので、日本国内で扶養している人よりずっと少額で扶養していると言えることもできるのです。母国の家族への送金も来日した友人等に手渡しといった証明にならないものが多く、実際に家族へお金が渡っているのかも不明瞭です。

まさにそれは本人が扶養していると言い切ればそう判断せざるを得ないのであり、実際は税務署も十分か確認ができないまま黙認されているのが実情でした。

以前から税理士の間で外国人の扶養家族が異常に多いと笑い話になっていましたが、時代は変わり、外国人が労働者として日本に来て、日本人と結婚して日本に移住する人も少なくなくなりました。日本で活躍する外国人もたくさんいらっしゃると思います。色々な人が日本を盛り上げてくれるのは、とても力強いことなのですが、中には虚偽のケースもあり、そういった悪い噂は真面目に生活している外国人にとって悪影響になりかねません。

現制度では外国人の扶養を判断するのは、実際のところ非常に難しいと感じるところですし、現行の扶養という広い範囲も税金面だけでも変えるといった工夫もしてもよいのではないでしょうか。

■外国人の扶養控除等の書類の添付等義務化に
こうした問題にようやく国も対応すべく、平成27年度の税制改正で海外で扶養している家族には扶養関係がわかる書類(外国で発行されたもの、訳も必要)や実際送金した場合の証明書を確定申告をする際や、年末調整をする上で添付または提示が義務付けられることになりました。

外国だから調査しにくく、実際は名前さえ書けば扶養として認められてしまう、といったこともこの改正導入で気軽に扶養といって申告することができなくなるのかもしれません。

少子化対策として外国人をもっと積極的に受け入れるという案も検討されています。外国人がますます増加する現代社会において、日本人と同様に扱う上でも、もっと税金面でも整備していかなくてはいけない問題の1つであるように思えます。

【参考記事】
■大人の租税教育のすゝめ (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/43139979-20150130.html
■高齢者はお金持ち?詐欺集団だけでない、その資産に目をつけているのは、、(浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/43017490-20150122.html
■進む医療、広がる医療費控除~確定申告医療費の行方 (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/42332324-20141212.html
■消費税増税で支給された臨時給付金の実情 (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/41787425-20141108.html
■消費税 軽減税率の問題点 (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/40635462-20140902.html

浅野千晴 税理士

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