20150330会計トピックス 会計士の仕事と報酬

近年、公認会計士のキャリアも多様化が進み、それぞれのキャリアによって年収水準にも大きな差があることが分かってきています。今やクライアントの財務諸表監査を完全にこなせるというだけでは高い年収を目指すことは困難な状況になっており、これから「公認会計士として活躍をしていきたい!」という方にとっては、公認会計士のキャリアパスと年収の関連性は早い段階で知っておくべきことではないかと思います。

今回は株式会社MS-Japanの独自調査(※)により、公認会計士の平均年収や業界別の年収相場など、公認会計士の年収とキャリアについて最新データが出ましたので、その一部をご紹介したいと思います。

※1819名の現役公認会計士を対象に調査、2015年3月現在

■転職市場では年収600万円~900万円未満の公認会計士が最も多い
今回の調査では現役の公認会計士1819名を対象とし、現在の年収水準についてデータ収集を行いました。
その結果、直近の年収が600~900万円未満という公認会計士が最も多く、その割合は調査対象者の約56.8%にも達しました。上記年収水準の公認会計士の多くは、監査法人でのスタッフ層であり、残業代を含めて700万円前後という方が大多数でした。参考までに1500万円以上の年収を得ている公認会計士は調査対象の3.1%(58名)と少ないながらも存在し、転職市場での公認会計士の平均年収を引き上げる結果となりました。

【グラフ1】公認会計士の年収分布
【グラフ1】公認会計士の年収分布

■公認会計士のキャリア地図、描けますか?
上記のように転職市場では年収700万円前後の公認会計士が多いという調査結果になりましたが、その数値だけを見てもあまり意味がありません。重要なのは公認会計士という資格がどのような業界・職種で評価をされるのか、そして年収水準はどのように異なるかという実態を正確に知ることです。
しかし、転職経験のない公認会計士にとっては転職活動自体が未知の領域であり「そもそも、どのような選択肢があるかさえ分からない」という方が多数派となっています。具体的な仕事と年収の関係を知る前に、まずは公認会計士がどのような業界や職種で活躍することが出来るのかを整理してみましょう。

【公認会計士が活躍できる業界・職種】

1.コンサルティング
コンサルティングについて

コンサルティング業界では、企業経営をシステム側から支援する会計系システムコンサルティング、また、M&Aや事業再生などを財務側から支援する財務アドバイザリーがあります。特に後者に関しては、財務DD業務、企業価値評価(バリュエーション)業務など、公認会計士としての能力を発揮しやすい財務会計の専門業務が多い点が特徴です。


2.会計事務所
会計事務所について

会計事務所業界では、企業の決算処理や税務申告などの業務を実務面からサポートをしていますが、中には企業オーナーや地主などの富裕層向けに資産税サービスを展開している事務所もあります。また、近年では中小企業の海外進出案件も増加している背景から、小規模な会計事務所でも海外進出支援を行うケースが見受けられます。


3.上場企業
上場企業について

上場企業では、経理、財務、内部監査、経営企画、M&Aなど公認会計士が活躍をしているポジションは増えつつあります。特に上場企業の経理部内で月次・年次決算、有価証券報告書の作成、IFRS導入対応等で活躍をされている公認会計士が増加傾向にあるようです。


4.ベンチャー企業
ベンチャー企業について

ベンチャー企業では、現在のようにIPO市場が活発な状態であれば、IPO責任者、CFO候補などのポジションで公認会計士が採用されるケースも十分にあります。特に現在はIPO市場にも活気がありますので、公認会計士のように“上場企業のあるべき姿”を知っている方は採用市場でも高く評価をされる傾向にあります。


上記のように、公認会計士のキャリアには多くの選択肢があります。 転職市場を俯瞰して見ると自分自身の可能性も客観的に知ることが出来ますので、公認会計士のキャリア地図を描けるようにしておくと良いかも知れません。

■キャリア別に見る公認会計士の年収
上記の通り、公認会計士のキャリアは多様化しつつありますが、具体的なキャリアと年収の関係性についても注目してみたいと思います。因みに、今回の記事では「公認会計士の年収とキャリアについて」を主題としていますが、現在の転職市場では20代~30代半ばの公認会計士が最も多いという調査結果が出ていますので、その世代の公認会計士を対象とした年収関連のデータを一部抜粋してご紹介したいと思います。

【表1】キャリア別に見る公認会計士の年収水準(対象:20~35歳の公認会計士、897名)
【表1】キャリア別に見る公認会計士の年収水準

今回の調査は1819名の公認会計士を対象にしていますが、そのうち20~35歳の公認会計士は全体の49.2%と最も多いことが分かりました。また、上記のような世代の公認会計士に現職の年収水準を問うたところ、上記のような結果が得られました。中でもファンド・投資銀行は年収水準も突出して高く、次いでコンサルティングファームやBIG4監査法人が高水準であることが分かりました。

尚、年収の水準は上記のように業界により差はあるものの、働き方の視点に立った際には “時間単価”という別の考え方も重要になります。長期的・安定的に勤務をしたいという方と、短期で能力を高めたいという方では適職が異なるのです。従って、このようなデータを見る際には、数値(年収)と実態(ワークスタイル)の両側面を知る必要があるでしょう。冒頭でも記載したように、今や公認会計士のキャリアは多様化の流れにあり、コンサルティング、会計事務所、上場企業、ベンチャー企業など複数の選択肢が存在します。そして、其々のキャリアパスに応じて年収水準も異なりますので、皆様が今後のキャリア設計をされる際に今回のデータが参考になれば幸いです。

【関連トピックス】
■公認会計士は一般企業で活躍できるのか?
http://www.kaikeinet.com/topics/20150507-16214.html
■税理士のキャリアパスと年収の関連性
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(文/株式会社MS-Japan シニアコンサルタント 高橋良輔)


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