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6月6日、2015年のAKB48選抜総選挙が福岡ヤフオク!ドームで開催された。

■選抜メンバーのスピーチに感動
私もテレビ中継を見ていたが、私がAKBグループのファンであるというバイアスを差し引いても、「選抜」と呼ばれる16位までにランクインしたメンバーのスピーチは、10代や20代とは思えないくらい立派で、彼女たちが上位入賞した実力を感じた。

私が今回の記事を書こうと思ったのは、彼女たちのスピーチを聞いていて、いち個人として感動しただけでなく、ビジネスの世界に置き換えても、成功するためのヒントとなるような言葉がちりばめられていることに気が付いたからである。

その言葉を、AKBグループのファンの方々にはもちろん、AKBグループのことを知らない方々にも是非お伝えたいと思い、筆をとった。

本稿では、私が特に心を動かされた4人のスピーチから、ビジネスの世界においても間違いなく通用する言葉を抜粋して紹介したい。

■高橋みなみさん
AKBグループの総監督でもある高橋さんは、今年の12月に卒業が見込まれている。今回が最後の総選挙なので、ファンだけでなく、メンバーに向けても語りかけていた。下記は、メンバーに向けてのスピーチからの抜粋だ。

「未来は今なんです。今を頑張らないと、未来はないということ。頑張り続けることが、難しいことだって、すごくわかってます。でも、頑張らないと始まらないんだってことをみんなには忘れないで欲しいんです。」


高橋さんはこの後、「努力は必ず報われる」という言葉でスピーチを結んだ。

頑張っても評価されないことがあるのは事実である。

だが、高橋さんが伝えたかったのは、今すぐに努力が報われなくても、あきらめずに努力を続けていれば、誰かが見ていてくれていて、近い将来か遠い将来化はともかく、必ず努力に見合った評価が受けられる時がくることを信じてほしいということだ。

ビジネスの世界においても、全く同じであると私は思う。相性の悪い上司のもとで苦労していても、真面目に頑張っていれば、人事異動で上司が変わった途端に大抜擢されたり、ヘッドハンティングで社外から声がかかったりするかもしれない。

たとえば、歴代のトヨタ自動車社長にしても、どんな環境にいても努力を怠らなかったからこそ社長になれたという方がいらっしゃる。

第10代社長の渡辺捷昭氏は、入社後の最初の配属が人事部厚生課で、仕事は社員食堂の改善だったそうだ。本心ではショックだったが、残飯の分析を行うなどして、原価の改善に努め、このときの経験がトヨタマンとしての原点になったそうである。

第8代社長の奥田碩氏も、上司との対立により、左遷的人事でフィリピンのマニラに駐在を命じられことがあったという。駐在は6年半にも及んだが、その仕事ぶりがフィリピンに出張に来ていた豊田章一郎氏の目にとまり、本社へ呼び戻されて、最終的には社長にまで出世したのだ。

渡辺氏も奥田氏も、配属を命じられた場所で常に全力で頑張ってきたからこそ、トヨタという日本一の企業でトップにまで上り詰めたのであろう。

AKB総選挙に話を戻すと、13位にランクインした松村香織さんも次のようなコメントを語っていた。

「研究生として5年半活動していましたけど、私はたかみなさんが言う「努力は必ず報われる」言葉がとっても心に刺さっていて、時にはバカにされたり、ネタにされている言葉だったりもするんですけど(ついに、選抜メンバーに入ることができました)。」


松村さんも、5年半もの間、研究生に留め置かれていたが、その中で自分の役割を見つけ、腐らずに頑張り続けたからこそ、今日の栄光に結びついたのであろう。

■指原莉乃さん
「芸能界に入って、AKBに入って、なかなかセンターになれない私は、どうやったらセンターになれるんだろうと、ずっと考えていました。どうやったら前田敦子さんや大島優子さんのようになれるのか、考えたけど、なれませんでした。私は開き直りました。私は指原莉乃をやり通そう、そう決めました。」


サラリーマンの方が、指原さんと同じような悩みを持つことは多いと思う。

たとえば、人事考課を受ける時、上司から「同期と比べてどうだった」とか「上位○%に入っていない」とか、相対的な評価をされることは少なくないであろう。

社内に絶対的なエースのような人がいれば、「あいつに追いつけ」とか「あいつを見習え」とか言われるかもしれない。

だが、ここで勘違いしてはならないのは、上司が求めているのは、あくまでエースと同じ「結果」を出すことであり、決してエースのコピー人間になれと言っているわけではないということである。

エースを見習いつつも、自分なりに考えて、自分に合ったやり方を見つけて、エースと同じくらいの結果を出してほしい、というのが上司のリクエストなのである。

AKB48の歴史においても、絶対的エースと言われた前田敦子さんを、大島優子さんが第2回の総選挙で破ったが、大島さんは前田さんの真似をしたから1位になれたわけではない。

クールな前田さんに対し、元気で明るい大島さん。むしろ、キャラクターとしては正反対だ。だが、大島さんは自分の個性を貫いたからこそ、1位になることができたのであろう。

前回の総選挙で1位だった渡辺麻友さんも、また違った個性で、正統派アイドルでありつつも、アニメや宝塚のオタクという一面も持っている。

AKB48の総選挙でも歴代1位の個性はこれだけバラバラなのだ。これはすなわち、エースになるための個性があるわけではなく、自分の個性を信じた者こそがエースになれる、ということを証明しているのではないだろうか。

指原さんも、前田敦子さんや大島優子さんから学んだことは多々あったことは間違いないであろう。だが、学んだことを猿真似ではなく、「指原莉乃として」生かそうという考え方に至ることができたからこそ、1位を獲得できたのではないだろうか。

ビジネスという観点で別の角度から言えば、起業家志望の方であれば、自分も孫正義さんや三木谷浩史さんのようになりたいと思うかもしれない。著書や雑誌のインタビュー記事などを読めば、彼らがいかしにして成功したのかの一端を知ることができる。

しかし、孫さんは孫さんに合ったやり方をしたから成功したのであり、三木谷さんも三木谷さんに合ったやり方をしたから成功したのだ。成功者からヒントを得ることはできるが、それがそのまま、自分に当てはまるわけではない、ということは忘れてはならない。

あくまでも、自分は自分であり、成功者のノウハウを、「自分」という存在にどうアレンジして取り入れていくかが肝心なのだ。

■松井珠理奈さん
「ここでしっかりともう一度宣言させてください。私、松井珠理奈は来年の総選挙で1位をとります。この瞬間からスタートだと思うので、来年の総選挙も応援よろしくお願いします。皆さん5位という順位をくれて、私を燃えさせてくれてありがとうございました。」


松井さんのスピーチには、目標を掲げることの大切さを改めて教えられた。

松井さんは、今回の総選挙前に「1位を取る」という目標を掲げ、5位という結果が発表された総選挙の日には本気で悔しがっていた。舞台裏では泣き崩れて松井玲奈に抱きかかえられる写真もスポーツ新聞のWEBサイトに掲載されていた。

ファンからたくさんの票を頂き、選抜に入れる順位を取れたことに感謝をしつつも、1位を取れなかった悔しさを本気で感じていたのだ。

客観的に見れば、指原さん、柏木さん、渡辺さんのトップ3を松井さんが打ち負かすのは困難であろう。だが、それでも1位を目指して頑張るからこそ、そこに近い順位を得ることができるのだ。

目標を高く掲げることは大切である。100点を取るぞ、という心構えであれば、本当に100点をとるのはなかなか難しいが、98点とか95点はとれる。

しかし、90点でいいや、と思ってしまうと、ずるずると80点や70点に陥ってしまう。

それに、彼女はまだ若いので、指原さんらが卒業したあとには、本当に1位を狙える可能性は高い。だが、そういう状況なってから1位宣言をしたのでは既に遅い。その時には、ライバルがひしめいていているであろうし、1位宣言をしても目立たないか、「何を今さら」と世間は受け止めるであろう。

「あなた1位を目指すって本気なの?」と言われるときに、勇気を持って1位宣言できる人が、将来本当に1位を取れるのだと私は思う。

あの本田宗一郎だって、ホンダが町工場に過ぎなかった時代から、「オートバイで世界一になる」と本気で宣言していた。だからこそ、本当に世界一になることができたのだ。

そういう意味で、松井さんの1位宣言には、非常に力強いものを感じる。

私たち一般人も、サラリーマンであれば「社長を目指す」とか、起業家であれば「東証一部に上場する」とか、宣言することは何ら恥ずかしいことではないし、目標を持つことで頑張る力も湧き上がってくるのではないだろうか。

まずは自分が「そうなりたい」と本気で思わなければ、何事も実現できないのである。

■島崎遥香さん
「たくさんの人から好かれるタイプじゃないけど、世間の人からも態度が悪いとか悪く思われがちになることも多いけど・・・(中略)・・・こんなに握手会もできてなくてアイドルに向いてない私を、この順位まであげてくれてる私のファンの皆さんに感謝したいです」


「ぱるる」という愛称で知られる島崎さんだが、それと同じくらい有名なフレーズが「塩対応」だ。

「塩対応」とは、握手会などでそっけない態度をとられ、「しょっぱい気持ち」になってしまうという意味である。

だが、私は、島崎さんの「塩対応」は、立派な個性だと思っている。

AKB新聞2014年1月号には、島崎さんとNMB48の渡辺美優紀さんとの対談が掲載されていたが、対談の中で、渡辺さんが島崎さんに次のような言葉をかけていた。

「みなさんぱるるの塩対応には意味があるの、気付いてくれてました? 実は、ぱるるが人のことを考えすぎるからなんです。 相手の方に「こう言ったら傷つくだろうなあ」とか気を使ってる裏返しなんです ねっ、ぱるる?」


相手に気を遣うことができる人の場合、話をするのが得意ではないと、言葉を探すのに時間がかかったり、言葉数が少なくなったりして、逆に不愛想に見えてしまうことがある。島崎さんも、このパターンなのではないだろうか。

ファンも馬鹿ではないので、単に愛想が悪いだけであれば、ランクインなど到底かなわないであろう。島崎さんの、不器用ながら誠実に頑張っている姿に、それだけ多くのファンが認めているということだ。

島崎さんの姿には、ビジネスの世界に置き換えても、教えられることがある。

たとえば、営業の仕事は、コミュニケーション力の高さや愛想の良さがなければ勤まらないと一般的には考えられている。

だが、いくら表面的に愛想が良くても、「立て板に水」のようにしゃべる人よりも、言葉数は少なくても、多少ぎごちなくても、相手の立場にたって真摯に対応してくれる人のほうが信用できると感じるのではないだろうか。

家電量販店の販売員だって、売らんがために笑顔で適当なことを言う人よりも、愛想が良くなくとも専門知識が豊富で、適切なアドバイスをくれる方のほうがありがたい。

島崎さんのような性格は、やはりビジネスの世界でも、「あいつは不愛想だ」とか「あいつは空気を読めない」とか批判する人が一定数出るだろう。

だが、誠実に仕事に取組み、知識や経験を積み上げることを怠らなければ、その姿を認めてくれるお客様や上司が必ず現れる。

「あいつは朴訥としているけど、よく物事を考えていて、要所要所で良いアイデアを出してくれる」とか、「あの人は、言葉数は少ないけど、本当に私たちに必要な商品を考え抜いて提案してくれる」とか、そういう評価をしてくれる人が1人、2人と増えてくるものだ。

逆説的になるが、「塩対応」を極めれば、それは「神対応」の一つの姿なのではないだろうか。

人間の根本的な性格というものはそう簡単には変わらないので、無理に変えようとするとメンタルを病んでしまうこともある。だから、自分のことを「塩対応」だと言って非難する人がいたとしても、言わせておけばいい。

そんな批判に押しつぶされて自分を嫌いになるのではなく、良い意味で開き直って「お客様から認められる塩対応」を目指せば良いのではないだろうか。

そうすれば、島崎さんのように理解者がどんどんあらわれてきて、やがては大きな舞台にも立てるようになるのである。

■結び
私は、毎年AKB48選抜総選挙を楽しみにしている。順位はもちろんであるが、スピーチで今年はどんな名言が聞けるのだろうかとワクワクしてしまう。私の半分くらいの人生しか生きていない女の子たちであるが、厳しい世界を勝ち抜いてきた人の言葉としての重さを感じ、彼女たちを尊敬してやまない。来年も楽しみである。

《参考記事》
■バイトAKBの求人票から学ぶ、アルバイトで損しないための労働条件チェックポイントはここだ! 榊 裕葵
http://sharescafe.net/40317687-20140813.html
■AKB48のメンバーも労災保険で救済されるべきだ。 榊 裕葵
http://sharescafe.net/39023380-20140526.html
■AKB48 大島優子さん卒業に添えて~ 経営者が秋元康プロデューサーに習うべきこと 榊 裕葵
http://sharescafe.net/36173479-20140105.html
■日テレ内定取り消しの笹崎さんに必要なのは「指原力」だ。 榊 裕葵
http://sharescafe.net/41885958-20141114.html
■女子高生のバイトの時給は、なぜパート主婦より安いのか? 榊 裕葵
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あおいヒューマンリソースコンサルティング代表
特定社会保険労務士・CFP 榊 裕葵


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