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アベノミクス効果で日経平均株価も2万円を超え、資産を大幅に増やした人も少なくないようです。しかしそれは本当でしょうか?資産運用のご相談を受ける立場として一例を元に検証してみたいと思います。

■この2年間で1億円はどうなったか?
仮に2年前に資産が1億円あったとして、それが現在どうなっているのか、検証してみます。検証のためにいわゆる「資産三分法」に基づき、預金・債券、株式、不動産の3つにバランス良く分散保有しているケースを考えます。
すなわち、2013年6月時点で、預金・債券を4,000万円、株式を3,000万円、不動産を3,000万円の合計1億円を保有していた例です(ケース1)。

ここでは話をわかりやすくするため家賃収入や配当というインカムゲインおよび税金は無視して純粋なキャピタルゲインの変動だけを考えることにします。
2013年6月と2015年6月の日経平均株価、都内不動産価格から資産価値変化率を計算すると、それぞれ+56%、+11%となります。また預金と債券は合せて年利約0.3%として2年間で+0.6%変動と仮定しました(図表1)。

【図表1】
fig1


図表1の資産価値変化率をケース1の預金・債券、株式、不動産のそれぞれに対して適用した結果が図表2です。

【図表2】
fig2



■アベノミクス効果は大きかったものの
図表2を見ると分かる通り、この2年間で資産は約20%増加しています。年利約10%と言えばまあ悪くない数字ではないでしょうか。中でも株価が50%以上上昇した影響はとても大きいものがあります。いろいろ批判もありますがアベノミクス効果が端的に表れた結果といえそうです。

しかしこの運用は必ずしも成功とは言えない面があります。なぜならこれは為替の影響をまったく考慮していないからです。この2年間で為替レートは大きく円安に振れました。ケース1についてこの影響を考えるとどうなるでしょう?(図表3)

【図表3】
fig3

結果は、103万ドルから97万ドルへと約9%減っています。すなわち資産運用が成功したとは言えないのです。


■通貨分散も必要な時代に
ではどうすればよかったのでしょう?ここまで来ればもうお分かりだと思いますが、外貨建ての資産を加えておくべきだったのです。
そこで、2年前に円資産5,000万円とドル資産5,000万円をそれぞれ資産三分法で保有するケース2を考えてみます(図表4)。

【図表4】
fig4


図表1に加えて、同様に米国の各種指数の変化を含めて整理したものが図表5です。

【図表5】
fig5


図表5の資産価値変化率をケース2の1億円に対して適用した結果が図表6です(円資産は日本の指標の影響、ドル資産は米国の指標の影響を受けるとした)。

【図表6】
fig6


ケース2の場合、円換算で約30%増加、ドル換算でほぼトントン(約2%増加)となり、ケース1の場合と比べて、より有利な運用ができたことが分かります。
つまりそれだけ「為替変動のインパクトは大きく身近なものである」ということを認識しなければいけないのです。もはや輸出入が関連する企業だけの問題ではないことがお分かりいただけるかと思います。

注)図表1,5の数値は、日本銀行、日本経済新聞、東京カンテイ、S&P Dow Jonesのデータから概算値を算出。


【関連・参考記事】
■金利15%なのに満期時になぜか損してしまう外貨預金のカラクリを暴きます!
http://sharescafe.net/34390958-20131029.html
■株、債券etc.金融資産はなぜ値動きするのか!?
http://sharescafe.net/44910410-20150527.html
■高値更新中!日経平均株価の「過去、現在、未来」
http://sharescafe.net/43980550-20150327.html
■日経平均株価、15年ぶり2万円台回復~15年前との共通点と相違点
http://sharescafe.net/44421804-20150424.html
■円が1ドル120円を突破 円安の功罪
http://bit.ly/16s9gnR

皆川芳輝 ファイナンシャルプランナー/経営アドバイザー グローバルライフプランナーズ合同会社代表


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