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先日、ライザップが消費者団体から問題を指摘されていた「30日間全額返金保証」について契約約款を改める…というニュースがあった。

全額返金保証めぐり ライザップが制度変更
フィットネスジムを運営するライザップは18日、返金に関する制度を改め、30日以内であれば、どんな場合でも利用者が払ったコース料金の全額返金に応じる方針を発表した。
日本テレビ系(NNN) 6月19日(金)0時4分配信


これまでテレビや新聞などで大きく取り上げられていたが、おさらいするとこういうことだ。

CMなどで「30日間全額返金保証」とうたっていて、退会を申し出たら、さも理由の如何を問わず全額返金されるような広告をしているにも関わらず、実際の契約では返金されるケースはかなり限定的であるというのは問題ではないか…ということだ。規約をみると退会をするにはライザップの承認がいることになっているほか、退会をしようとしている人の自己都合(転勤や引越し、仕事の都合)の場合は返金を認めないといった内容であった。

消費者団体の指摘を受け、ライザップは、法令違反はないという姿勢を崩してはいないものの、30日以内に退会を希望する者に対して「理由の如何を問わず」費用の返還をするという規定に改めるに至った。

ちなみに「30日間」を超えた場合は、通常の退会処理がなされるようだ。この通常の退会処理方法としては、契約のなかに「退会の時点で利用していない残りのコースにかかる費用を返還対象額とし」との記載があり、差し引かれる費用は一部あるものの、原則として利用していない部分の対価は返還してもらえるようだ。

なお、契約によると、通常の退会処理の場合はあくまで「会社の承認」が必要だとされており、会社の承認があるまでライザップは費用を請求する権利を有する、ということになっている。30日以内の解約の場合と異なり、この通常の退会処理の場合は「理由の如何を問わず」残金を清算とはならない可能性が残されている。

■10年ほど前に問題になった外国語教室のケース。
解約処理をめぐるトラブルというものは契約内容によってタイプは様々だが、実は古典的と言ってもいいトラブルだ。「NOVAうさぎ」で有名になった外国語教室の株式会社ノヴァのトラブルを覚えている人もいるかもしれない。

株式会社ノヴァのトラブルとは外国語教室の費用の清算をめぐるトラブルだった。株式会社ノヴァは利用料金をポイント制で事前に購入させる。ポイントはまとめ買いをすると1ポイント当たりの料金を安く買える。お得感を演出して、一度の取引での購入金額を吊り上げようとするわけだ。

ところがいざ途中で退会をしようとすると、清算時に用いる1ポイント当たりの金額を購入時とは異なる高額な設定として清算をするから、退会をするものとしては期待していたほどお金が戻らない…としてトラブルになったのだ。

株式会社ノヴァの場合、清算方法のあり方をめぐって最高裁判所で争うまでに発展した。

裁判になった例では、購入時点の単価で計算すると約48万円を消費したことになるところ、株式会社ノヴァが契約書で定めていた基準の単価で計算すると約65万円も消費したこととして取り扱うというもので、差額の支払いを求めて争ったケースだ。

結果はもちろん、購入時点での単価を基準に清算せよとして消費者サイドの勝利に終わっている。これがきっかけになったかどうか定かではないが、この裁判所の判断が出て間もなく株式会社ノヴァが経営破たんをするに至った(誤解のないように言っておくが現在のNOVAとは経営主体が異なる)。

これに比べれば、ライザップは、消費者の反応を敏感に感じ取り、迅速に約款の改定に至ったといえるだろう。

■「やってみないとわからない」ものに全額前払いをするってどうなの?
ライザップの提供するジムや株式会社ノヴァの外国語習得サービスに共通することは、「サービスを受けた者に現れる効果は個人差がある」ということだ。どれだけすぐれた講師でも100人受講生がいて100人ともうまくやれる人はいない。講師やサービス内容との相性が利用者の満足度に大きく影響する。

つまりサービスの提供を受けてみるまでは、自分にとって望んだものかどうかはっきりしないのだ。

このような最後までやり抜くかどうかはっきりしないものの対価を前払いとして全額支払いを求めるところに問題の芽が潜んでいる。

利用者としては、自分に合わないと思ったものは解約の上残金を返還してほしいと望む。一方、サービスを提供する事業者としては契約時点で一定の利益を見込んでいるので極力返金をしないように…ということで様々な独自のルールを作ろうとするわけだ。

途中で辞めようとする権利のことを中途解約権というが、法律でこの中途解約権が認められているのは、エステ・外国語教室・学習塾・家庭教師・結婚相手紹介サービス・パソコン教室の6業種に限られている。その他の業種については、中途解約権を認めるかどうかは、サービスを提供する事業者に委ねられているのだ。

■料金の精算はシンプルに。
規制の対象外の例としては、資格試験予備校がある。料金設定自体が高額であることもあり、契約上、中途解約をしてもほとんど戻りがないとなると、利用者としては大いに不満に思うものだ。

途中でやめるということは、利用者はそのサービスに「NO」を突き付けているのだ。「NO」を突き付ける利用者が続出するようなサービスはそもそもサービス自体に問題がある。企業としては、満足度の高いサービスの提供をするべく企業努力をするべきだし、「NO」と言っている利用者をいたずらに契約で拘束することは金銭的なトラブルとなるだけだ。

最近、「月謝」という単語を耳にすることが少なくなったように思うが、私が小学生や中学生だったころは、学習塾の対価は「月謝」として月々支払をしていたものだ。月謝であれば、途中で止めることになったとしてもその月分までの支払いで足りる。前払した費用の清算という問題は生じることないわけで、すっきりしている。

利用の対価は、サービスを受けたらその都度支払いをする…というシステムが一番わかりやすいし、仮に前払のシステムにするにしても、中途解約の際の清算はシンプルに利用者にとって納得のいくものにしなければならない。

インパクトのあるCMで消費者の心をわしづかみにしたライザップだが、契約の清算に関する問題で足をすくわれた格好となった。

料金の精算についてトラブルとなりかねない契約条項を使い続けると、場合によっては企業のブランドイメージを毀損する事態に発展することもありえるということだ。

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及川修平 司法書士


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