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先日、日経新聞に「親と同じ仕事イヤ 68%」という見出しが載りました(2015年6月22日日本経済新聞)。6歳から15歳の小中学生1000人にアンケートをとったところ、7割近くの子どもが「父・母どちらの仕事もしたくない」と答えたとのこと。親にとっては結構ショックなことではないでしょうか。

■いやな理由のトップは「すでに自分のしたい仕事が決まっているから」
少し救いなのが親と異なる仕事がしたい理由として、31.6%が「すでに自分のしたい仕事が決まっているから」であることです。しかし、残念ながらそのあとは「忙しそうだから」(21.1%)、「お金が稼げなさそうだから」(19.4%)と続きます。

我が家でも、私の仕事についてまずは聴いてみたところ、それぞれが「たくさんの人と関われるところがいいなと思う」、「俺はもっと寝たいからいやだな~」との回答。子どもはよく親の仕事をみています。

ただ、子どもからみると、会社勤めをしている場合には、その仕事内容が(ファミリーデイなどがあれば別ですが)なかなか見えづらいことも確かです。日頃から仕事の内容について守秘義務のあるものなどを除き子どもにどれだけ語ったり見せたりしているか、という点からすると、なかなか難しいのかもしれません。そこで、週末疲れてぐったり寝ている両親や、時々お金のことで喧嘩している両親を見たりすると、「なんか大変そうで自分にはできないなあ」とか、「あんなに働いてるのに、給料って案外少ないのかなあ」とか思ってしまう結果が表れているようにも感じます。

■子どもは楽しそうにやっている友だち、楽しそうに仕事している大人を「いいなあ」と思う
子どものころ、何が楽しそうに見えたかといえば、友だちが楽しそうにやっている遊びです。現代でいえば公園などでゲーム機を持っている子どものそばに友だちが群がっている風景をよく見ますが、このことからも、「なんか楽しそう」なことに子どもは魅かれます。

当然、大人がしかめっ面をしながら、あるいは溜息をつきながら仕事をしていると、「なんか辛そう」とは思っても、「そのつらそうなこと、おれすっごくやってみたい!」とはなりませんよね。ましては親のほうから「こんな仕事やめたほうがいいよ」などと言われてしまえば、なんだか自分の親ってそんなにいやなことやっているんだ・・・と子どももげんなりしてしまうのではないでしょうか。

■「楽しい」の中身は?
では、大人が「仕事すっごく楽しい」という場合の「楽しい」とはどういう意味でしょうか。

これにはいくつか要素があります。私たちが楽しい、と思うのは、たとえば「誇りをもって仕事をしている」「仕事の内容に見合う報酬を得られている」「安定して収入がある」「楽しい仲間と仕事ができている」「成長できる」「人の役に立っていると思える」「チャレンジできることにわくわくする」といった内容ではないでしょうか。

子どもたちが私たちおとなをみて、「なんかおとなってすっごくつまらなさそう」と思われるより、「なんかよくわからないけど、楽しそう。早くおとなになりたいな」と思ってもらった方が、私たちも元気になりますし、子どもたちにとっても、なにより希望が持てることと思います。

日々の仕事は大変なことも多いですが、ひとつでも「たのしい」の要素が入っていれば、それを積極的にこどもたちに伝えていくことも、親のだいじな「仕事」かもしれませんね。

小紫恵美子 OfficeCOM代表 中小企業診断士

《参考記事》
■新しい働き方で、企業と個人双方がつけなくてはいけない力。 (小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/45172807-20150614.html
■2015年は長時間労働崩壊元年に (小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/42734491-20150104.html
■日本は「良いお母さん」のレベルが高すぎる(小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/39261507-20140608.html
■「女性活躍推進」すら着手しない企業で成長はムリ。(小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/42290659-20141208.html
■「ニッポンのお母さん」はレベル高すぎ?OfficeCOM(小紫恵美子)ブログ
http://officecom-ek.com/?p=206

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