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財政危機をどうするのかと今後の行方に目が離せないギリシャですが、汚職と脱税が「ギリシャの国技」と政府関係者に言わしめるほどまかり通っているそうです。自国の状況を自虐ネタにしてしまうほど呆れた状況であるものの、EUに援助を要請し、ギリシャ政府は何とか国を立て直そうとしています。

■ギリシャの腐敗度指数は世界69位
ギリシャの汚職はどのくらい酷いのでしょうか?賄賂や汚職など、世界の汚染対策及び汚染状況を調査している公共機関「Transparency International」の2014年度版によると、ギリシャの政治のクリーン度は69位(前年80位)です。このところの改革で努力をしている結果なのか、昨年比で順位を上げてはいるものの、スコアは43ポイントで、正常に機能しているとされる50ポイント以下です。このことからも政治腐敗からの脱却に関しての課題はまだまだありそうです。

■自営業者の多い国ギリシャ
税制面では、ギリシャの所得税は他のEU諸国と比べ、過去15年間相当低く、特に1995年から2011年の個人所得税の比率はEU内の平均GDP比9.3%に対してギリシャは4.5%となっています。しかしなぜか税率が特に低いという問題でなく、おおむね他のEU諸国と同じなのです。

さらにギリシャの労働力調査のデータによると、ギリシャの自営業の比率が極めて高く、過去15年間を比較してみてもEU諸国平均では15%なのに対して、ギリシャは全雇用者の30-35%と2倍になっています。

シカゴ大学とバージニア工科大の2人の経済学者から出されたレポートによると、その自営業者の中でも比較的収入が多く、社会的地位が高い医師、エンジニア、会計士、弁護士などが赤字申告をし、税金を逃れていたとされています。実際のところ、調査結果によると平均して実質的な収入は申告額の1.92倍はあるとされています。

税率は他のEU諸国と同じで、さらに自営業者が多いのであれば、所得税の税収はもっと多くなるはずです。ということは、申告がかなりいい加減たと言わざるを得ません。またさらに、仮に申告してもその申告額を払わないというケースが多いと聞きます。税務調査自体も汚職は国技と言われている位ですから、何らかの手数料を調査員に払い、税逃れしているのかもしれません。これでは正しく申告して税金を払った人が馬鹿だといわれかねない状況です。彼らは自営業だからこそ、その申告をコントロールしているのでしょう。

■自営業者は税金をコントロールできるのか?
日本でも以前から税金の納付率を964(くろよん)と呼び、9割;サラリーマン、6割;自営業者、4割;農家として所得税負担の格差を表し、そのぐらいしか税務署は自営業や農家の実態をとらえることができないとされていました。未だに「自営業は何でも経費にできるからお得」と言われている面があります。

もちろん、経費は何でもしてよいのではなく、支払費用のうち、日常生活や住居のうちの自己使用分は必要経費から除かなくてはなりません。これに対してサラリーマンは金額によって決められた額を自動的に経費として税金が確定します。そういった徴税制度の違いが、申告納税にあたって正確な納税をしていないのではないかという不満にもつながっているのでしょう。

■自営業者が得なのか?サラリーマンが得なのか?
では日本はサラリーマンと自営業、どちらが得なのでしょうか?

もし自営業は得だと思うのなら、皆自営になればいいわけですし、その数は当然増えていくはずです。ところが、国税庁の過去10年(平成5年から15年まで)のデータを見てみますと、平成5年の納税者全体で8,428人のうち、農業を含む自営業は319万人(全体比37.8%)に対してサラリーマンといったその他の所得者は524万人(62.2%)であったのに対し、10年後の平成15年には自営業者は193万人(全体比27.8%)、その他は520万人(72.2%)と全体比の10%も自営業離れが目立っています。

近年、ブームのように大型店舗が次々と出店し、近隣の商店街はすっかり寂れて店のシャッターが下りたままという光景をよく目にします。自営業の道を捨て、大型店舗やチェーン店に働きに出ていく方も多くいるのではないでしょうか。商工会などで自営業者の決算指導をすることもあるのですが、軒並み収入は先細りで、自営業者自体の零細化が目立っているように感じます。経費にしたくてもすればそれだけ赤字が膨らむだけで、収入がなければ経費もいれることすらできません。

一方、サラリーマンは就職すれば一定のお給料は保障され、経費など考えなくても概算として認められている経費(給与所得控除)を差し引くことができます。このいわゆる「サラリーマンの経費」は同制度がある、アメリカ、ドイツ、フランスなどと比べ日本は金額が高く、非常に「寛大な」控除になっています。国税庁もここに目をつけたのでしょうか、近年の改正では、この経費が実態に合わないほど高額だとして、年収の高い人をターゲットにして徐々にサラリーマンの経費を減らそうとしています。

■頑張れ、日本の自営業者
自営業がお得のギリシャのお話は日本では通用する話でもありませんし、逆に日本では雇用が安定しているのであれば、先行きの不安な自営業者より、給与をもらって働いていたほうが安心感もあり、お得という傾向があります。

それだけ日本の自営業は不安定で魅力の少ないものになってしまったのでしょうか。リスクを伴う自由を誰も選ばなくなってしまっているのでしょうか。

私は自営業の魅力がないとは思いません。仕事が自分に合っていてやりがいのある仕事なら素晴らしい選択になりえます。自分のライフスタイルに併せた働き方が出来ますし、頑張りや能力が最大限生かせる場でもあります。

私も税理士として一個人として常に自営業者を応援していきたいと思っています。

【参考文献】
■なぜ税務署は確定申告時に電子申告(イータックス)をすすめなくなったのか? (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/45357050-20150629.html
■終活もいいけれど・・・残された家族のためにも是非してほしいこと (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/44880501-20150524.html
■扶養親族15人。税金を取り戻す手段であるけど、これって節税対策?(浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/44076796-20150401.html
■大人の租税教育のすゝめ (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/43139979-20150130.html
■高齢者はお金持ち?詐欺集団だけでない、その資産に目をつけているのは、、(浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/43017490-20150122.html

浅野千晴 税理士

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