えすこる40
お盆にさしかかる今週。働くお母さんたちも、休暇をとって少しのんびりしている方も多いのではないでしょうか。この期間にゆっくり英気を養うとしても、この休暇が終わればまた朝から弁当作りが始まる・・・と憂鬱な想いにとらわれるお母さんもいらっしゃると思います。

未就学児であれば保育園が休み中もありますが、小学校以降では夏休みという高い高い壁が働く母親に通常時よりも重い負担を強いるのです。

■一番気になるのは食事のこと
一番は学校が休みになって給食がなくなるため、お弁当をつくらなくてはならないことです。仕事が忙しかったり、プレッシャーのかかる会議のある朝でも、お弁当は毎日の恒例行事。出張の日はやむを得ずお金を渡してどこかで買いなさい、ということもあるとしても、買い食いの癖がつくのではとあまり気が進みません。夏は暑いので体力を温存させる上でもしっかりとした食事を食べさせたいですし、食事の鮮度の意味でも何かと気を遣います。

さらに残業で遅くなる日は夕飯のことまで考えなくてはなりません。シミュレーションを駆使して一週間の最初に献立計画を立て、食材をそろえて準備をする、そんなことをしている方も多いのではと思います。

■目的を再度考慮して自分しかできないことだけに集中しよう
こうした食事以外にも、子どもたちが日常生活を送るために様々な準備をし、働く母は体力を維持しつつ働き続けなくてはなりません。

忙しいママはまず、やること自体を減らすことを考えましょう。もちろん我が子の栄養や、何より食事の安全性は細心の注意を払いたいところですが、どうしても時間がないときなどは、思い切って外注するのはどうでしょうか。

私たちに与えられた時間は変わらず一日24時間です。その中で、家の外で責任をもって仕事でお金を稼いでくるということに一定の時間を割いている以上、家の中のことや子供のこと、はたまた家族の用事まですべてを完璧にこなすことは不可能です。

絶対に自分でなくてはならないこと以外は誰かに任せましょう。食事は子どものことを考えれば確かに自分でつくりたいところですが、食事の安全性や栄養については材料さえそろえておけばある程度は担保できます。掃除は、自分や家族が快適に過ごせることが目的です。自動掃除機に任せるか、週に一度のお掃除サービスで代替も可能です。イライラしながら休日の貴重な時間を割かなくても、働いたお金でプロの力を借りてお掃除するほうが、気持ち的にもすっきりできます。

■経済的にも得策
働きながら家事も育児も、となると、非常に日常生活のスケジューリングがタイトになってくるように思います。しかし、実はこれは一時的な話です。

赤ちゃん期から未就学児の時期には、子育てをしながらこのまま永遠に仕事に集中できない日々が続くのではないかという想いにとらわれがちですが、案外子育てに時間をとられる時期はそんなに長くはありません。もちろん精神的にサポートする時間はまだまだ必要ですが、小さい頃のように四六時中目が離せないという時期は確実にすぎさります。自分の経験からしても、小学校中学年でちょうど学童保育がなくなる前後、10歳前後がまず一回目の境目と言えるのではないでしょうか。

とすると、そこに至る10年間、仕事を辞めて年収を失うとすると、年間400万稼いでいたとすれば4000万円を失います。そのあとも正規雇用が難しいとなると、さらに生涯賃金は辞めずに働き続けていた時よりも減る可能性が大きくなります。これに対して、仕事を続けていれば、働きながら子どもを育てるために、保育その他の費用として月10万円の費用をかけていたとしても、年間120万、10年で1200万円という計算です。

しかも、30歳で子どもを産んだとすれば、40歳くらいから少しずつ仕事に割ける比重が増えるとして、まだそのあと定年まで約25年あります。働く時間に比べて圧倒的に子育てで仕事をセーブしなくてはいけない時間は短いのです。その時間のために仕事を辞めて、そのあとの25年間の得られるかもしれない収入や仕事のチャンス、広がる人脈を減らしてしまうのはもったいなくないでしょうか。前述した保育のためのコスト1200万円は、働き続けて収入を確保するのみならず、自分の能力を上げていくための「投資」と考えることもできます。

■人に任せることは管理職の仕事にもつながる
家事育児は家の中、あるいは家族のマネジメントです。なかなか人を入れ難い、そして、自分のやり方にこだわりたいこれらのことを人に任せることは、会社で部下に仕事を任せることに似ています。やるべきことを洗い出し、自分がやらなくてはいけないマネジメントとそうでない仕事をまず分ける。責任をもって、誰に仕事を任せるか決めるのです。

人に任せるよりも自分でやってしまったほうが早い、という想いにとらわれる女性は多いと思います。でもそれでは、部下は育ちません。家庭で、いつも母親がすべてのことをしてしまうと子どもたちを甘やかしてしまうのと同じです。子どもたちが大きなケガをしない程度に勇気をもって任せることで、子どもたちができることの範囲が少しずつ広がるように、部下に仕事を任せることで部下ができることも広がっていきます。

夏休みが終わったら子どもも部下も成長しているように「任せる」訓練にチャレンジすることで、自分が楽になり、さらに収入まで増えたら、一石二鳥、三鳥、かもしれません。

小紫恵美子 OfficeCOM代表 中小企業診断士

《参考記事》
■「大丈夫」じゃないのはお母さんだけじゃない。 (小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/42520618-20141222.html
■日本は「良いお母さん」のレベルが高すぎる(小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/39261507-20140608.html
■「女性活躍推進」すら着手しない企業で成長はムリ。(小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/42290659-20141208.html
■「ニッポンのお母さん」はレベル高すぎ?OfficeCOM(小紫恵美子)ブログ
http://officecom-ek.com/?p=206
■結局「女性活用」って何すればいいの? 小紫恵美子
http://sharescafe.net/38770445-20140511.html

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