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ベトナムは元々量販店の進出が遅れていたことから、品揃えの乏しい家族経営の小売店が多かった背景もあり、商品数の豊富なECは急速な成長を遂げている。政府の発表だと2014年には2000万人のベトナム人がECで何かしらの商品を購入し、市場規模としては3500億円程度と言われているが、ここにはベトナムで人気のFacebookでの個人取引や越境ECなどは含まれていないので市場としてはもう少し大きいかもしれない(それ以前にベトナム政府の数字の精度は非常に怪しい)。

ベトナムのECはサービス分野での収入はまだ小さく、ほとんどが物販収入である。日本のB2Cの物販取引の7兆円弱と比較すると20分の1程度。両者の経済格差を考えるとなかなかの規模であり、且つ前年比30%以上で伸びている。実際、ITエンジニアには事欠かないこともあり、多くのECサイトが乱立し始めている。ベトナムECは非常に魅力的な市場であるが、一方で多くの課題も抱えている。

■現金代替でキャンセル率30%

ベトナムはクレジットカードの普及が国民9000万にに対して400万枚程度と非常に低く、また昔から現金での取引を好むことから、ECにおいても決済の9割以上は「現金代引」が利用されている。この為、ユーザーが実際にお金を払うまではキャンセルが自由のため、キャンセル率は驚きの「30%」である。例えば、オンラインで購入したが、別のサイトでもっと安い商品を見つけたとか、商品が待ちきれず帰りに他のお店で買ってしまった・・などの事例は本当に至る所で耳にする。結果、ユーザーがオンラインで購入ボタンを押すと、通常の場合ECサイトのコールセンターより「本当に買うのか」という確認が身元照会とともに行われている。

オペレーション面でも多くの点でまだまだ成長途上にある。特に物流面の問題は大きい。ベトナムではバイク便での配達がほとんどであるが、バイク持ち込みのアルバイトが多いためイレギュラー処理が非常に多いのである。例えば商品が紛失した、雨に濡れて破損したなど日常茶飯事である。

実際に当社のスタッフがECで靴を購入し、配達してきたバイク便まで荷物をピックアップしに行き、実際に注文した「黒いハイヒール」ではなく「赤いハイヒール」を持って戻って事があった。本人曰く「赤の方が可愛かったから変えてもらった」とのことだが、そんなことが日常的に行われているとなると在庫管理などたまったものではない。

■スマホからの注文が既に半分

一方で今後もECは急速に伸び続けるだろう。ベトナム最大手のECサイトLazadaでは収益ベースで既に半数がモバイルからの注文になっているとのことである。1年前はスマホ経由の収益は10%台しかなかったということなので急成長である。

ベトナム人は1人当たりのGDPが2200ドルの国とは思えない程、皆スマホを所持している。またネットワークインフラも新興国にしては良好で尚且つ安い。所得も増え、所有欲も高まったベトナム人が、スマホをいじりながら軽い気分でどんどん「MUA NGAY (Buy now)」を押してしまう光景が目に浮かんでしまうのである。

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黒川賢吾 株式会社Asia Plus CEO


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