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8月6日、国税庁は平成26年度の租税滞納状況を公表しました。

■滞納税額がダントツに多い消費税
この滞納とは、所得税や消費税といった国税が納期限までに納付されず、督促状が送られたものをいいます。平成26年度に属する滞納状況の新規発生額は5,914億円で、前年度(平成25年度)の5,477億円より437億円(8%)増加しています。

その中で滞納がダントツに多いのが消費税です。新規発生額5,914億円のうち半数以上の3,294億(55.7%)を占めます。

平成26年度は4月に消費税の税率が5%から8%になった年で、増税分を消費税を売り上げに上乗せ出来ず、その分の消費税を自己負担したため税金を払えなくなった人が多くなったのでは?と思う人もいるかもしれません。

もちろん、単純に計算しても1.6倍になるので払う税金がその分増えたのが原因の一つかもしれません。しかし、消費税の増税がなかった平成25年の新規発生額を同資料でみても、消費税の新規の滞納額は2,814億円で全体の51.4%を占めています。さらに消費税には、国に納める部分と地方に納める部分とがあって、この滞納状況には地方に納める部分は計算に入っていないため、消費税の滞納状況はもっと多くなります。

■支払っているのに支払われていない?!
会社に勤めていれば、所得税という税金として給料から自動的に差し引かれます。買い物をすれば消費税を店舗に支払います。私たち消費者は、支払った税金は国にすべて納められていると思っています。

しかし、税金を徴収した(預かった)会社や店舗がその預かった税金を支払わないというケースも中には存在するのです。税金の中でも特に消費税は国民から預かった税金を納めるものであって、その会社が儲かったか儲からないかの関わらず納めなければばらない税金です。

しかし、会社経営というものは、いつでも資金が豊富で常に仕事があるわけではありません。

1,000万円の売上に対する消費税は8%の80万円。事業者はこの消費税の一部でも納税のためにとっておけばよいのですが、会社は1年の中でも一定に売上があるとは限らないため、売り上げの少ない時など、消費税相当分の資金を運転資金として使ってしまうことが多いのが実情です。

いくら消費税は預り金なのですよ、と言われようと、請求書に売上金額と消費税とが別に記載されていようと、会社にとって入ってくるお金は同じお金です。特に小さな会社や個人事業者の消費税の納税は年に1度もしくは半年に1度です。納税するまでに比較的長い期間があるため、お金がなければ手元にあるお金は使ってしまい、その時までにまた納税資金を準備しておけばよいとも考えられるでしょう。

法人税は儲かれば支払う税金なのですが、消費税は赤字でも当然に支払わなければなりません。決算時に資金繰りがうまくいかず、預り金である消費税も使ってしまい、消費税を支払う段階になって「そんなお金はどこにもない。」と支払うことができなくなるケースが出てくるのです。

■消費税部分が重要な運転資金になっている
昨年の4月から8%になった消費税率も来年の平成28年4月にはさらに10%になることが確定しています。税率が上がれば上がるほど、滞納税額も上がるでしょう。それは上記に述べた通り、5%より8%、8%より10%と困った時に使えるお金が増えるからです。

政府もこのことはもちろん知っていますし、以前から問題視しています。税金の無駄遣いや税率が上がることはニュースで取り上げられて議論の対象になりますが、税金をどうやって集めているのか、税金が国民の負担感を少なくなるように上手に取る方法は国任せで、あまり論じられることがありません。

税率を上げれば単純に税収が上がる計算ですが、税収があがると、それに伴って大きな納税をすることのなる事業者からきちんと税金を徴収するシステムなくして税率ばかり上げても、それは滞納者が増えるだけになってしまいます。また事業者の中には、一度滞納してしまうと、督促状では税金を払わない人も多く、どんどん滞納金額が増えてしまい、ますます払えない状態になってしまいます。

そうならないために滞納金額の少ないうちに税務署に来てもらって税金の相談に早めに乗り、積極的に納税をしてもらう分割手段を考えなければなりません。また金額が少ないほど納税は難しくないことから、消費税の納税期間を出来るだけ短くし、仮納付の金額を多くするといったことも考えられるのではないでしょうか。

■何より国民の信頼される税金に
国の資金が足りない=税率を上げるのは安易なことですが、その上げた分の税金が国によって徴収され、世の中全体に再分配されるのでなければ、税率を上げた意味がありません。支払わない人への催促は税金でなくても大変ですが、国民から徴収した税金の着服を許していては支払った側は納得がいくわけありませんし、何より消費税に対する国民の信頼を損なう恐れがあります。

このような事態にならないために、消費税を支払う側の認識をもっと高め、より納税しやすい制度や納税の準備預金の導入等を積極的にすることの必要性があると思います。

【参考文献】
■消費税 軽減税率の問題点 (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/40635462-20140902.html
■消費税増税で支給された臨時給付金の実情 (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/41787425-20141108.html
■脱税天国ギリシャは自営業がお得、日本はサラリーマンがお得?(浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/45568041-20150716.html
■なぜ税務署は確定申告時に電子申告(イータックス)をすすめなくなったのか? (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/45357050-20150629.html
■終活もいいけれど・・・残された家族のためにも是非してほしいこと (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/44880501-20150524.html

浅野千晴 税理士



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