dcb47ab681b3f1d8e8b233225aeb8232_m

中国経済の先行きの不透明感から今後どのような展開を見せるのかわかりませんが、不動産の業界において、日本の不動産が「爆買い」されています。

都心のタワーマンションなどが人気で爆買いされていると言われていますが、私の住んでいる福岡市内でも外国人が投資用のマンションを購入する例は多くなっているという印象があります。

なかには中古のマンションを購入していくケースもありますが、これは入居者側からみると、ある日突然オーナーチェンジとなり、大家さんが外国人に代わるということです。

このようなケースで何が問題となるでしょうか。

■契約書の書き換えは、契約内容の見直しであることが多い。
日頃の業務の中で賃貸契約に関するトラブルの相談を受けることが多いのですが、賃貸物件のオーナーチェンジがあったということはよくあります。

オーナーチェンジとなると、ある日突然、新しい管理会社から「契約書の書き換える必要があるので新しい契約書にサインをしてください」と書類が送られてくることがあります。

これには要注意です。

それまでと同一内容であると安易に考えてサインをしてしまうと、実は契約内容が変更となっていた…というケースが多いからです。

家賃や共益費などの月々発生する費用について変更となっていないと気づきにくいかもしれませんが、実は契約の更新の際に更新料が発生するように変更となっていたり、退去する際に修繕費用の負担に関する部分についての契約条項が変更となっていたりする例もあります。

これが、後々トラブルに発展する…ということもよくあるのです。

契約書の更新のケースでは、新たな契約を締結するわけではないため、不動産仲介業者による重要事項説明がないことがほとんどで、契約内容の変更箇所に気付きにくいのですが、契約書の内容に変更箇所がないか、サインをする前にチェックをすることを忘れないでください。

■そもそも契約書の書き換えに応じる必要はあるか。
オーナーチェンジがあった場合、賃貸マンションの契約はどうなるでしょうか。

賃貸マンションの契約は、基本的に新しいオーナーに全て引き継がれます。新たしいオーナーは、「以前のオーナーが締結した賃貸契約の付いたマンションを購入した」という取り扱いになるということです。

ですので、本来、契約書の書き換えも必要ありません。

また「契約の書き換えに応じない場合は契約の更新をしない」と言われたとしても、あわてる必要はありません。法律的には、正当な理由がなければ契約の更新をしないなどということはできません。この場合は、以前と同一条件で更新します(法定更新と言われます)。

入居者の立場として契約内容の変更が不利となる場合は、あわてて契約書の書き換えに応じてしまうのではなく、まずは変更点の確認を行い、それからしっかりとした協議をすることが大切です。

■入居者とのトラブルがより深刻になっていくことも…。
少し古いデータになりますが「民間賃貸住宅を巡る現状と課題(平成21年7月国土交通省住宅局)」という国土交通省が取りまとめた調査があります。そこでは、賃貸住宅に関する修繕計画について、過半数の大家さんが「長期的な修繕計画を作成していない」と回答しているという調査結果となっています。

つまり、既存の賃貸マンションについては、修繕計画に基づいて定期的な修繕を行うというよりも、不具合が出た時点で応急処置的に修繕を行うなどの方法がとられている物件が少なからずあるということです。

また先日国民生活センターから2014年度の消費生活相談の概要に関する資料が発表されていましたが、そこで賃貸借契約をめぐるトラブルの相談は全体の6位に位置されているほど、トラブルの多い分野でもあります。多くは退去時のリフォーム費用の清算をめぐるトラブルです。

外国人に向けて販売されている投資用マンションについて、収益性の算定をするにあたって、大規模修繕等を要する際の費用や個別の物件のリフォーム費用などをどの程度織り込んで算出しているかはわかりませんが、見通しが甘いとそれはやがて入居者とのトラブルに発展する可能性もあります。

例えば、物件の不具合があるにもかかわらず修繕がなされないといったものや退去時のリフォーム費用が過大に請求される…といったトラブルです。

オーナーが日本人であったとしてもトラブルが多いわけですから、これからは外国人オーナーとのトラブルも想定する必要があると思います。

外国人が不動産を爆買いする…というのは、ごく最近の例であって、問題が顕在化するのはこれからかもしれません。外国人に爆買いされた不動産をどのように管理されているのかということについては、今後の動向を注意深く見守っていく必要があります。

【関連記事】
■司法書士が教える賃貸住宅を退去するときの注意点
http://oikawa-office.com/2015/02/20/post-1879/
■「敷金返還がスムーズになる」ってホント?
http://oikawa-office.com/2015/03/13/post-1892/
■現役司法書士が教える「無料法律相談」を過信せずに利用する方法(及川修平 司法書士)
http://sharescafe.net/43987078-20150327.html
■賃貸住宅を退去するときは「裁判」を意識して書類にサインをする(及川修平 司法書士)
http://sharescafe.net/42267839-20141206.html
■裁判所で「とりあえず半分でどう?」と言われたらどうする?(及川修平 司法書士)
http://sharescafe.net/43559042-20150227.html
及川修平 司法書士


この執筆者の記事一覧
このエントリーをはてなブックマークに追加




関連コンテンツ

シェアーズカフェからのお知らせ
シェアーズカフェでは住宅・保険・投資・家計管理など、個人のお金に関するレッスン・相談・アドバイスを提供しています。SCOL編集長でFPの中嶋が直接指導します。
シェアーズカフェ・オンライン編集長の中嶋が士業・企業・専門家向けの執筆指導・ウェブコンサルティングを提供します。




執筆者プロフィール