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日曜夜6時半、国民的アニメ「サザエさん」の時間です。ふと見ると、タイトルが「日本のおかあさん」(2015/10/11)。どんな内容なんだろう、と見ていたら・・・びっくりするセリフが耳に飛び込んできました。

■日本のお母さんの制服は割烹着?
番組の冒頭、割烹着を着てタラちゃんと歩く磯野家の母、フネさんを見て、「カツオくんのお母さんこそ、日本のおかあさんだわ」とカツオくんのクラスメートの花沢さんたちが話しています。その後、カツオ君のことを好きな花沢さんは、フネさんに割烹着を作ってもらい、学校の家庭科の時間に着てみんなを驚かせようと計画。出来上がった割烹着を着る花沢さんを見たお父さんは目を細め、「いつお嫁にいってもおかしくない。・・・なんといっても日本のおかあさんの制服は割烹着だな」というのです。

割烹着といえば、もともと女性が家事労働をするために着物の上に着るものとして日本で考案されたもの。それをお母さんの「制服」と言ってしまうことに、「家事をするのはお母さん」という意味付け、役割分担意識を強く感じてしまいました。

■フランスでも教科書の見直しが話題に
実はこうした性別役割分担意識が色濃く残っているのは日本だけではありません。先日8日のNHKニュース「おはよう日本」では、フランスの小学校での教科書での家族の描写が「古すぎる」という批判を浴びていることが紹介されていました。

「パパは働いて稼ぐので、帰宅するとへとへとです」「ママが夕飯の支度、パパと兄さんはテレビを見ています」といった内容を掲載している教科書に対して、実際に小学生の両親に街頭でインタビューしたところ、「時代遅れ」、「今やほとんどの母親が働いているのに」との声。国民教育省が、家庭や職場で男女を平等に描くように、編集者に要請するとのことでした。

フランスでは働く女性の割合が80%以上であり、2013年の合計特殊出生率は2.01人(在日フランス大使館ホームページより)です。これだけ産んでも働き続ける女性が多くいる国であっても、まだまだ性別役割分担意識が残っているのです。

■男女の役割分担意識は子どものころからの積み重ね
フランスのように、日本でも、教科書やテレビCMなどで、今までの性別役割分担意識で描かれているシーンが意外に多く存在しています。実際には配偶者のいる家庭の半数以上が共働きであるのが現状であるにも関わらず、テレビのCMで台所に立つのも、洗濯をして干しているのもお母さんであることがほとんどです。

特に、子どもたちがよく見るアニメには、「お父さんは仕事、お母さんはおうちを守る」というかたちが数多く見られます。サザエさんのほか、この前の時間帯に放映しているちびまる子ちゃんや妖怪ウォッチ、ドラえもんでも、お父さんが外で働きお母さんが専業主婦という設定です。それぞれアニメの世界観等もありますし、ファンタジーの世界もありますから、一概に変えるべし、ということではありません。専業主婦家庭を否定するものでも、もちろんありません。ただ、こうした男女の役割分担意識は、子どものころから見聞きする様々なものから吸収、形成されてくるものであるからこそ、一度出来上がると一朝一夕に変えられるものではないことも事実です。

■固定的な役割分担意識の「刷り込み」を減らそう
こうした意識は今の私たちにも残っています。今、女性活躍推進の研修の現場でよく聞く話として、「女性の側に責任ある仕事を任せようとしても、女性の側が補助的な仕事で満足し、責任や期待が急に大きくなることを望まない」いう声があります。小さいころからテレビやアニメで私たちの中に出来上がってきた性別役割分担意識の「刷り込み」が、やはり女性は家庭を守るべき、あるいは女性はそこまで仕事をしなくてもいい、と思ってしまう気持ちを創り出すひとつの大きな原因になってはいないでしょうか。

これからの日本で、本当に女性活躍推進を進める必要があるのなら、法律の整備だけではなく、アニメ、ゲーム、学校教材など、日常生活で子どもたちに触れるものについても、細かく目を配ることで、こうした固定概念を少しずつかえていくことができます。いろいろな働き方、家庭があっていいという意識をもつために、大人の世界だけではなく、子どもたちが育つ環境への働きかけも必要です。

小紫恵美子 OfficeCOM代表 中小企業診断士

《参考記事》
■サザエさんが働きに出た!(小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/44465516-20150426.html
■「大丈夫」じゃないのはお母さんだけじゃない。 (小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/42520618-20141222.html
■日本は「良いお母さん」のレベルが高すぎる(小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/39261507-20140608.html
■「女性活躍推進」すら着手しない企業で成長はムリ。(小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/42290659-20141208.html
■「ニッポンのお母さん」はレベル高すぎ?OfficeCOM(小紫恵美子)ブログ
http://officecom-ek.com/?p=206


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