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成人の日が過ぎて1週間。昔は1月15日だったことを憶えている人も減ってきているでしょう。華やかな成人の日が過ぎて、現実を見つめた時に、20歳から発生する義務として忘れてはいけないのが国民年金。毎月約15,000円と出費額が大きいので、「将来はもらえないと聞いているので、払わなくてもOK」なんて言っている方もいます。しかし噂話やフィクションを信じても誰も責任を取らない事は知っているでしょうか?

■国民年金を再確認
国民年金は、20歳~60歳までの日本国内に居住する全員が加入・支払を義務づけられた制度です。現在では支払った期間や、免除された期間が25年以上あれば、65歳から年金をもらうことができます。

その他に、加入者が死んだときに遺族が受け取ることができる遺族年金や、けがや病気等で障害をもった際に支給される障害年金もあり、きちんと保険料を払うか、申請して免除を受けていれば様々なことで受け取ることができる総合型保険制度です。

■財源の見通しが甘くても大丈夫?
国民年金の財源は、被保険者の保険料が半分、国庫=税金が半分で成り立っています。それも賦課方式と言って、今集めた保険料を今の高齢者に給付する方式です。払った分が積立られているわけではありません。少子化が続くと集めるお金が減ります。高齢者が増えると払うお金は増えます。ですから少子高齢化で当然運営が厳しくなります。だからこそ、「年金がもらえなくなるに違いない」と、考えがちです。

まず法律のお話をすると、国民年金法第4条に国民年金が安定して運営するのに、「百年間の見通しを作る」と決まっています。「この見通しが甘い」と指摘する方もいますが、見通しは5年おきに作り直すと決まっています。5年おきに以後百年大丈夫なプランを作るのです。

どんなに見通しが甘くても、日本経済に投資をしている投資家たちや多くの国民の目をくぐりぬけて、完全な嘘だらけで百年大丈夫なプランを発表できません。見通しが甘いとしても、百年大丈夫と言っているなら、その10分の1の10年は少なくとも破綻はしないでしょう。10年は破綻しない計画を5年おきに作り直すのであれば、ほぼ永遠に破綻しないと言えます。

■高齢者が増えたらどうすればいい?
よく二人で一人の高齢者を支える時代から一人が一人を支える時代になると言われて脅かされていますが、国民年金は、半分が税金です。ですから人数比で一人が一人の時代になって、ようやく一人の負担割合は0.5人になります。

しかし、もっと少子化が進めばいつかは支えられなくなるのでは?と思う方もいるでしょう。その時は現在「半分が税金で支給」になっている制度を「4分の3が税金で支給」としてしまえば大丈夫。それが行き詰ったら、「3分の2が税金で支給」としてしまえばいいでしょう。

税金を投入する分は増税になります。増税する分は、消費税を上げるか、法人税を上げるか、所得税を上げるかで、どこかから取らないといけなくなります。増税なんてみんな反対するに決まっているから、そんな簡単にいかないと思いますよね。しかし、増税する方がはるかに簡単なのです。

■財源がなくても年金はもらえる?
実は国民年金法には、財源が無いことによる支給停止の項目がありません。財源が無くなっても支給する義務があるのです。財源が無くなることで、国民年金を支給停止する場合は、「国民年金支給停止法案」や「国民年金法廃止法案」を国会で通す必要があります。

こんな法案を通すと、高齢者の多くは収入が0になるので、生活保護となります。今までは半分税金、半分保険料で取っていたのが、全額税金になるのです。財源が無いのに国の支出が増える政策とは意味があるのでしょうか。また、財産を持っている人は生活保護を受けられないので、若くして頑張った人は老後に苦労するという不思議な話も出てきます。もちろん官僚の方々や代々政治家の方々は資産や貯金があるので、当然何ももらえない事になるでしょう。この法案を官僚の方々が作って、国会議員の方が国会で決めるのですね。財政見通しは官僚も議員も信用できないが、自分たちの不利益があっても、年金停止の法律を作るのには信用できる。矛盾している気がするのは私だけでしょうか。

現在の年金制度は既に定着しているので、その収入をあてに老後設計をしているかたは、特に今の50代後半以降の方は数多くいらっしゃるでしょう。20代からそれを意識している方も、現実にいらっしゃいます。簡単に抜本改正していい問題ではありません。

■将来は80歳まで引き上がる?
それでは、将来80歳とか90歳まで引き上げになって、実質的にほとんどの方がもらえなくなるという話も出ています。これもそう簡単にはできません。65歳定年で、年金がもらえるのは80歳の場合、間の15年はどうやって生きていくのでしょう?この間を生活保護にすれば、先ほどの話と同じことが起こります。

過去の実績として60歳から65歳に国民年金の受給年齢を引き上げる際に、法改正により、働きたいという方は必ず65歳まで働かせるようになりました。 つまり、年金の年齢と企業の定年年齢に隙間ができないように、このふたつはリンクしなければいけないのです。定年年齢引き上げには、経済界が猛反対しています。若年者の新規雇用にも大きく影響が出てきます。

更に世界で最も年金受給年齢が高いのがアイルランドで2028年までに68歳まで引き上げられます。元気な68歳が多ければ、それに合わせて68歳まで引き上げは可能性としてありえます。しかしそれ以上は、相当な覚悟がないと提案できない年齢です。

■今後の年金はどうなるか
今後68歳まで年金受給年齢が上がる可能性はありえます。アメリカやオランダでも67歳引き上げ中なので、その状況で問題ないかを見ながら決定されるでしょう。どちらにしても無くなることはないし、とんでもない年齢まであがることはとても考えられません。

将来はもらえないかもしれないという噂話はあの懐かしいノストラダムスの大予言と大差無いのです。あれも1999年ですから、既に17年前の話。今の20歳は知らないかもしれない。世界が滅亡すると大騒ぎして人生設計失敗した人や、事件を起こしてしまった方もいる中で、最終的に予言が当たらなくても誰も責任は取りませんでした。

年金もらえない話も30年以上耳にしてますが、30年前に絶対破綻すると言っていた方も、それを信じて年金を払わなくなり、現在年金をもらえなくて苦労している高齢者に何の責任もとっていません。もらえる可能性の方が高く、もらえないで苦労する可能性が非常に高いことを踏まえて、将来に備えていきましょう。ただし、国民年金だけで老後が安心できるほどの金額でないことも注意しながら。


《参考記事》
■年金はもらえるのか2 原田 雄一朗
http://cop099.blog.fc2.com/blog-entry-19.html
■政治的に見た国民年金が必ずもらえる理由 原田 雄一朗
http://cop099.blog.fc2.com/blog-entry-114.html
■年金が減る! これからは「もらい方」を選ぶ時代だ 野口俊晴
http://sharescafe.net/43177516-20150202.html
■年金未納者は最後のチャンス? 「後納」保険料による節税 カイケイ・ネット
http://sharescafe.net/40989588-20140924.html
■学生が国民年金の保険料を払うのは損か?得か? 榊 裕葵
http://sharescafe.net/35068125-20131122.html

アールズ社会保険労務士事務所
社会保険労務士 原田 雄一朗


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