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消費者庁の徳島移転問題。河野太郎担当相が前向きになっているが、全国の消費者団体から一斉に猛反対をくらっている。

政府が進める政府関係機関の地方移転の一環として、消費者庁(東京都千代田区)を徳島県へ移転する案が議論されている。河野太郎消費者担当相は移転に前向きな姿勢を示しているが、消費者団体などから反対論が出ている。毎日新聞2016年1月9日 東京朝刊


だが、私は、今回の消費者庁の移転問題については、悪いことばかりじゃないと思っている。

■消費者団体が、消費者庁の徳島移転に反対する理由
全国各地にある消費者団体が消費者庁の徳島移転に反対している。その理由はだいたい同様のもので、主なものはこうだ。

消費者被害について情報収集や情報の分析をするためには他の省庁に頻繁にアクセスすることが不可欠だ、といったものであったり、

消費者行政の企画・立案をするためには国会や政党に頻繁にアクセスする必要がある、また消費者団体や事業者の団体などと意見交換をする必要があるがこれに大きな支障がでる、というものだ。

このような反対意見については、私も確かにごもっともだと思うのだが、気になることがある。

それは、このような反対意見からすると、結果として、要するに消費者庁は他の省庁とあわせて東京に一極収集しておくべきということになる点だ。

消費者団体の意見の中には、行政機関の一極集中には問題があるという指摘をしている団体もある。しかし、消費者庁の機能を維持するためには、そうせざるを得ないというわけだ。

■自然災害で東京に甚大な被害が発生した場合、誰が消費者行政を担うのか。
地方創生という話のなかでこの消費者庁の移転問題が議論されることが多いが、もう一つ考えておかなければならない視点がある。

それは南海トラフ地震や首都直下型地震への対応だ。

東日本大震災以降、近い将来起こるであろうとされる東京を襲う災害だ。仮に現実のものとなれば、当然だが行政機関にも大きなダメージとなる。

民間の企業などは災害に備え、本社機能を都心以外に移したり、都心以外の地域にバックアップ体制をとったり、対策をする企業もある。

アクサ生命保険は、2014年11月に本社機能の一部を札幌市に移転している。地震の影響などで東京にある本社に影響が出たとしても、業務を停滞させないようにとのバックアップ機能を持たせているのだ。

私の住む福岡市においても、東日本大震災後、健康食品などの販売を行うケンコーコムが本社機能の一部を移して来たりしている例がある。

このような民間企業に比べ、行政機関についてはなかなか対策が進んでいないのが現状だ。

消費者庁や他の省庁の機能を東京に集中させておけば、確かに効率的であることは間違いないだろう。

しかし、自然災害で東京に甚大な被害が発生した場合、誰が消費者行政を担うのか。

問題は先送りにされたままだ。

消費者団体の反対意見においても、この問題については何の言及はない。

■消費者庁の徳島移転を考えることは悪いことばかりじゃない
徳島県から示された案によれば、東京に消費者庁の分室を作るという考えも示されている。

消費者庁の移転先として徳島がよいというわけではないが、このような提案をどのような形で実現することができるか、しっかり検討しても良いと思う。

例えば、消費者庁を移転させるとして、0か100かということではなく、機能を分散させるということは検討できないか。

現状において東京でしかできないことは東京に委ねる。本庁の移転先については、東京が被災した際のためのバックアップ機能を持たせることはできないのだろうか。

これは私の単なる思いつきのレベルでしかないし、コストの問題や人材を確保できるのかといった様々な問題があることは承知している。

しかし、消費者庁を東京以外に移転させるということについて、少なくとももう少し様々なアイデアを出して、どのようなメリットがあるか、検討をしてもよい。

今回の徳島移転という案について、消費者団体が一丸となって反対にまわり、撤回に追い込む…というところで終わってしまってはあまりに残念だと思う。災害対策としての意味をもう少し議論することを期待したい。

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