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今年の確定申告が本格的に始まって1週間経ちました。以前は確定申告をする人が申告会場にあふれかえっていましたが、申告会場を利用する人は年々減ってきているように思います。平成23年分の確定申告から始まった年金をもらっているだけの高齢者の大半が確定申告しなくてもよい「年金受給者の確定申告不要制度」が浸透してきたせいでしょうか。また国税庁のホームページも使い勝手がよくなり、パソコンを操作して簡単に確定申告ができるようになりました。

確定申告でも申告の多い医療費控除。身近な関心事であると同時に誤解も多いです。個別に医療費の対象となるかならないかは言ったらきりがありませんが、一般的な考え方の誤解も未だにあります。

■医療費控除は支払った医療費自体が戻ってくると思っている人がいる
特に高齢者に多く存在します。昨年は病院にたくさんかかったからといって領収証の束をバサッと出して一言目にどのくらい税金が戻ってくるかと聞く人がいるのですが、その人は税金を一円も払っていません。確定申告は1年間の収入、経費を最終的に確定し、今まで払い過ぎた税金があった場合にその一部または全部が戻ってくる制度です。税金を払っていない人には何も返すものはありません。しかし税金が戻ってくるというより、なぜかたくさん支払った医療費が戻ってくると誤解している人も多くいます。

■医療費は10万円の壁がある
「医療費はあるけど10万円を超えていないから。」この言葉は本当によく耳にします。もちろん、たくさんお給料をもらっている人が医療費で確定申告できる足きりは10万円ですが、給料で311万円以上もらっていなければ10万円をこえていなくても確定申告で税金を取り戻せます。国民年金、厚生年金といった公的年金だけの収入で65歳以上ですと320万円以上でなければ10万円の壁にあたりません。実際のところ、300万円以上の公的年金を受け取っている人はあまりお会いしたことがないほどなので、高齢者は10万円超えなくても対象になるケースは多いでしょう。

■保険でもらった金額をすべての支払った医療費と差引してしまう
入院をすると保険をかけている人は入院給付金が保険会社から支給されることがあります。入院給付金が7万円、入院に関しての医療費が5万円、そのほかの医療費が15万円あったとすると入院の給付金紐づけされるのは入院にかかった医療費部分だけであって、余った給付金を他の医療費に充てる必要はありません。ですから申告できる医療費は13万円ではなく、15万円です。

■さらに誤解が広がる?スイッチOTC薬控除ってなんだ
さらに来年度からはセルフメディケーション推進のためのスイッチOTC薬控除が創設されます。

スイッチOTC薬とは、従来は医師だけが処方できた医薬品を薬局で買えるように転用した薬のことで、具体的にはルミフェン(解熱薬)、ガスター10(胃腸薬)、ロキソニンS(解熱鎮痛剤)などが挙げられます。

定期健康診断などの健康増進を受けている人が1年間にスイッチOTC薬を購入した場合、1万2千円超える部分を医療費控除に入れることができる制度です.

スイッチOTC薬は確かに医療費控除の意図する「治療に該当する」医薬品ですし、忙しい人がちょっとした風邪を引いた人が病院などに行かずに手軽に購入でき、おまけに医療費控除の足きりが低いという点ではメリットも大きいです。心配はその医療費が正しく理解され申告できるかという点です。

■正しい医療費として認識するために
ドラックストアで薬を購入する際に実際、薬のどこにもスイッチOTC薬だとは書いてありません。そのためドラックストアで買う薬はなんでも医療費控除の対象と勘違いする人が出てくるでしょう。いくら新制度を創設されても商品に明記されていなければ、勝手な解釈が生まれてきます。現行の医療費控除でさえ、基本的な考え方でもたくさんの誤解があるくらいですから、新しい控除を導入しても購入者任せにしてはいけないのです。

今後はスイッチOTCと通常の医療費控除との選択適用となります。しかし、医療費を抑制したいという国の方針からスイッチOTC薬の所得控除は更に拡大するかもしれません。分かりにくい、誤解などを防ぐためにも表示を推奨する等の工夫やさらに誰にも分かり易いよう広報を進めていく必要があるのではないでしょうか。

【参考文献】
■進化するふるさと納税。その課題とは。 (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/47646614-20160128.html
■配偶者控除は本当に女性の社会進出を阻んでいるのか?(浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/47252222-20151218.html
■なぜ税務署は確定申告時に電子申告(イータックス)をすすめなくなったのか? (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/45357050-20150629.html
■扶養親族15人。税金を取り戻す手段であるけど、これって節税対策?(浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/44076796-20150401.html
■進む医療、広がる医療費控除~確定申告医療費の行方 (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/42332324-20141212.html

浅野千晴 税理士


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