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平成27年分の所得税確定申告が3月15日に、消費税の確定申告が3月31日に終わります。毎年自力で取り組んでいる人はほっと胸を撫で下ろしているのではないでしょうか。1000件近い様々な税務相談の中から、同じような質問や、それはもったいないと思うような質問が多々ありましたので、来年の確定申告時期に読み返せるように書き留めておきます。

■そもそも、収入と所得の差がわからない
(1)給与
例えば、給与収入と給与所得とでは意味合いが異なります。給与収入が500万円の人は、給与所得は346万円です。給与収入が1,000万円の人は、給与所得は780万円です。給与収入と給与所得の差額は、給与所得控除額です。給与所得控除額は、国税庁のホームページで計算式が公表されています。給与の多寡によって控除額は変わります。この給与所得控除額とは、サラリーマンのみなし経費です。このみなし経費効果により、結果として税金が安くなります。

(2)不動産賃貸
不動産収入と不動産所得は、次の通り考えます。家賃収入や共益費として受け取っている金額の合計額を不動産収入と呼びます。固定資産税や不動産管理費、減価償却費などの経費の合計額を不動産収入から差し引いた残額を不動産所得と呼びます。

(3)事業
事業収入と事業所得は、次の通り考えます。例えばネットの仮想ショップで手作りアクセサリーを販売している場合、売上を事業収入と呼びます。アクセサリーの材料、販売手数料などの経費の合計額を差し引いた残額を事業所得と呼びます。

(4)満期を迎えた生命保険金
満期を迎えた生命保険金は、一時所得と呼ばれます。この取り扱いに困る方が多いと感じました。生命保険会社から来た通知を見てみると総支払金額の記載があります。これを総収入金額と呼びます。一時収入と置き換えればわかりやすいでしょうか。この一時収入から今までに支払った保険料を差し引きます。この差し引き後の金額からさらに50万円の特別控除を差し引きます。これは、国税庁が設定したみなし経費です。最後、この50万円を差し引いた金額に1/2をかけたものが一時所得となります。

以上を踏まえてお伝えします。

■そもそも所得控除がわからない
所得控除とは、所得の合計から差し引くものです。代表的なものは、支払った社会保険料の全額を控除する社会保険料控除や医療費控除、生命保険料控除、寄附金控除、基礎控除です。差し引いた金額(課税される所得金額)に、所得税率をかけて所得税がいよいよ計算されます。

■そもそも確定申告義務がない方
(1) サラリーマンの場合
・勤めている会社で年末調整を受けた方
 ⇒勤め先の会社で確定申告と同じ効果のある年末調整作業を行っていますので、確定申告義務はありません。

・勤めている会社が1か所のみで、給与が源泉徴収の対象となっている場合、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の方
 ⇒不動産所得や事業所得があっても、20万円以下であれば確定申告義務はありません。

・2か所以上の勤め先の会社から給与をもらっていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となっている場合、年末調整をされなかった給与の収入金額と給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の方
 ⇒メインの勤め先以外でアルバイトなど副業の給与収入が20万円以下であれば、確定申告義務はありません。

(2)不動産賃貸や事業をしている個人事業主の場合
それぞれの所得金額の合計額(譲渡所得や山林所得を含みます。)から、所得控除を差し引きます。引き算した金額(課税される所得金額)があれば、その金額に所得税の税率をかけて税金を計算します。その税金から配当控除額を差し引いた結果、0円以下であれば、申告する必要はありません。(ただし、青色申告申請している場合は、確定申告が必要になります。)

■もったいないケース
(1)医療費控除
医療費控除は、10万円以上医療費がかかってないと意味がないと思われる方が非常に多いですが、実際には所得の5%(上限は10万円)以上かかっていれば控除が受けられます。お菓子の箱で良いので、病院や薬局、ドラッグストアの領収書を保管して、年明けに電卓をたたいて合計いくらになるかを計算しておけばよいだけです。こつこつ保管をお勧めします。

(2)寄附金控除
ふるさと納税のワンストップサービスを申請している場合で、確定申告が必要になった場合、ワンストップサービスの効果が打ち消されてしまいます。このとき、市町村からのふるさと納税証明書を保管しておかないと、確定申告で寄附金控除が受けられません。万一の時に備えて、お菓子の箱にでも保管しておいてください。

(3)減価償却をあきらめているケース
計算がめんどうということで、減価償却を行わないのは本当にもったいないです。実際に自宅を職場としている方は、減価償却費を正しく計算すれば、申告不要になるケースも出てきます。一度計算できれば、毎年同じ計算をすれば良いので、最寄りの税務署で相談してみることをお勧めします。

(4)消費税を経費にしていないケース
事業をされている方、事務所を賃貸されている方は、先に所得税申告を終えてそのあと消費税申告していませんか。消費税を税込で計算している場合は、納める消費税は、所得の計算上、租税公課という経費になります。納める消費税が50万円あれば、経費50万円があることになります。来年は、消費税申告書を先に作ってから所得税申告しませんか。

■勘違いケース
(1)借入金の返済を経費にしている
借入金の返済は経費になりません。借入金に対する利子は支払利子という経費になりますので、ここで勘違いが出てくるようです。間違って申告してしまった場合、その影響が恐ろしいです。くれぐれもご注意を。

(2)消費税を収入にあげていない
消費税を納める必要のない事業者でも別途消費税を預かることができます。消費税を納める必要がないので、預かった消費税はそのまま利益になります。問題となっている益税ですが、今は認められています。しっかりと売上にいれるようにしてください。

■まとめ
会社を辞めて、そういえば、確定申告ってやんなくちゃいけないのかなと不安に思う方は多いと思います。来年の1月、2月の時期に確定申告が必要なのかどうかを確認し、不安解消につながれば光栄です。

また、個人事業主の方でも、確定申告の作業は年に1度の作業ですし、年明けにまとめてやる方も少なくないと思います。減価償却をあきらめた方、消費税を経費にいれていない方は、今から心の準備をしておけば、節税につながります。

【参考記事】
■元特養事務長が教えるより良い介護施設の見極め方(藤尾智之 税理士)
http://sharescafe.net/47893238-20160223.html
■介護保険は保険ではない ケアマネジャーと上手に付き合う方法 藤尾智之 税理士
http://sharescafe.net/35169456-20131126.html
■介護保険は保険でなはい 「親の介護は老人ホームにお願い」は甘い考え 介護保険を考える(1) 藤尾智之
http://sharescafe.net/35018841-20131120.html
■押し売りも怖くない!成年後見制度で財産を守ろう 藤尾智之 税理士
http://sharescafe.net/36033856-20131230.html
■場外ホームランを打つよりこつこつ送りバントが本流!? 年末までにやりたい節税対策 (藤尾智之 税理士)
http://sharescafe.net/47003543-20151125.html

藤尾智之 税理士 介護福祉経営士


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