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「4月1日から民泊が解禁された」というニュースを各メディアが報じた。

一般住宅に有料で観光客らを泊める「民泊」について、旅館業法の「簡易宿所」として客室面積の許可要件を緩和する政令が1日、施行された。これまで違法状態で営業していたマンション空き部屋など小規模施設も自治体から許可を得やすくなるとされ、事実上の民泊「解禁」となる。(産経新聞4月1日(金)7時55分配信)


民泊とは、ホテルや旅館ではなく、マンションなどの空き部屋に観光客らを宿泊させるものだ。日本を訪れる外国人観光客が急増するなか、深刻な宿泊施設不足対策の切り札として期待されている。

■民泊解禁ってどういうこと?
宿泊料をとって宿泊させる場合、旅館業法という法律の規制を受ける。

法律では、例えば、簡易宿泊所というタイプの営業でも、客室の床面積を33平方メートル以上確保しなければならないといった具合に様々な規制を受けるのだが、これらの規制を大幅に緩和しようというものだ。

現在、法律の規制に従わない「違法」な状態の民泊が広まってしまっているのだが、法律の規制を緩和して、「適法」な民泊に誘導しようというわけだ。

この要件の緩和自体にもいろいろと問題はあるのだが、あまり報道はされていないものの、もう一つ問題の形態がある。

それは、今回取り上げる賃貸マンションで行われている民泊だ。

■賃貸物件での民泊は許されるのか?
賃貸物件での民泊というは、家主から借りている物件を旅行者に対してさらに貸し出すというタイプの民泊だ。

賃貸住宅を借りる際、その借りた住宅を何に使えるかということは契約内容によって決まる。

住居用の賃貸住宅の契約の場合は多くは「住居用のみとして使用することができる」という内容になっている。この場合、当たり前だが、居住以外の利用をすることはできない。

民泊は、「遊びに来た友人を無償で泊めてあげた」ということと違い、ビジネスとして行われるものだ。「居住目的」と限定されている賃貸住宅で、家主に無断で民泊を始めてしまうと、契約違反となってしまうのだ。

居住利用限定の契約となっている賃貸住宅で、民泊が一回でも行われたら、即座に「契約を解除して明け渡しをせよ」というシビアな話にまで発展するかは非常に難しい問題だ。

しかし、今後は、トラブルとなるケースを想定して、民泊を明確に禁止する条項を盛り込んだ契約も登場してくるだろう。

■家主としても無断でやっている民泊を放置すればトラブルとなるケースも
入居者が勝手に民泊を始めたとしても、家主側としてもそれを黙認したり放置したりすれば、他の入居者との関係で問題となることもあるだろう。

近年、防犯を売りにしている賃貸住宅も多い。

賃貸住宅の契約をする際、入居者は、収入状況や職業、家族構成などについて一定の審査を受けることがほとんどだ。

防犯を売りにしているような物件では特にいえることだろうが、入居する側としては、他の入居者についても、一定の審査を経たうえで入居しているものと期待するだろう。

このような物件に入居している人にとっては、不特定の観光客が出入りするような状況は想定外だ。家主側としても民泊目的での利用を知って黙認していれば、何かトラブルがあったときには、家主にも火の粉が降りかかる可能性が十分にある。

民泊については、騒音問題を懸念する声が多く聞かれる。

マンションなどは特にそうだが、無音で生活をするということは不可能だ。

ある程度の騒音は我慢をしなければならないわけだが、騒音をめぐるトラブルは、ときに殺人事件まで引き起こすほど難しい問題となることもある。

宿泊した観光客が大騒ぎをして、他の入居者がうるさくて眠れない…というようなことがあれば、民泊事業者だけではなく、家主としても対処を求められることになる。

このようなトラブルはほんの一例だ。賃貸住宅における民泊については、まだほとんど議論されておらず、どのような問題が発生するか、未知数なのだ。

■規制は何も悪いことばかりではない
一定のルールのもとに民泊を解禁したとはいうものの、その要件は厳しい。

この度解禁された民泊については、その滞在期間を6泊7日以上とするといった具合に、実態の利用とはずれたものを対象としているという指摘も多い。

これでは、結局のところ、今までの違法状態となっている民泊はそのままということになってしまい、コントロールできない状態が続くことになる。

自治体によっては、宿泊者の出すゴミの問題や近隣住民とのトラブルを警戒し、民泊について慎重な姿勢をとる自治体もあるようだ。

規制を設けるということは経済活動を阻害するという目で見られがちだが、健全な市場を作り出すにも一定のルールは必要だ。

今回取り上げた賃貸住宅における民泊などは、民泊事業者と宿泊者のほかに物件の家主がいるわけで、登場人物が増えれば、その分、権利関係は複雑なものとなっていく。

東京五輪を見据えて、宿泊施設不足解消に向けて活用を検討している民泊だが、トラブルを未然に防ぐという意味で適切なルール作りへの議論が望まれる。

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