労災の申請は泣き寝入り不要なのか!?

■精神障害の労災申請が急増!
労働災害が認められないことはよくある。労災は労働者が業務中に負傷、死亡などをすることだが、通勤中の事故も労災にあたるとされる。労働者の中にはパートも含まれ、労働者災害補償保険法により事業所で働くすべての労働者が補償給付の対象になる。労災でここ最近急増しているのが精神障害。以前から精神障害を患う労働者はいたが、うつ病などの啓発活動により患者数が増加。結果として精神障害による労災申請が急激に増えてきている。時代とともに労災申請、認定の内容は大きく変化するが、やるせない事故や事件に巻き込まれる労働者も少なからず存在する。

■殺人事件も労災認定?
2011年に愛知県一宮市で発生した事件もその一つだろう。当時21歳の大学生・朝日なつみさんはモデル事務所に所属して活動をしていた。ところが仕事の派遣先で理不尽な事件に巻き込まれ、死亡した。
丹羽雄治受刑者がわいせつ目的で被害者を派遣させたが、被害者に抵抗されたためカッとなり殺害したという身勝手な事件であった。丹羽受刑者は懲役27年(求刑:無期懲役)の刑に服している。朝日さんの遺族は名古屋北労働基準監督署に労災を申請したが、朝日さんが個人事業主と判断され、申請は認められなかった。不服申し立てを受けた愛知労災補償保険審査官も認定しなかった。しかし、不服申し立て2審の厚生労働省労働保険審査会は一転して労災と認める裁決をした。このようなケースは稀で、遺族にとってはわずかながらの救いになったようだ。

識者もこの決定を評価している。名古屋大学法科大学院の和田肇教授(労働法)は「モデルによる労災の申請は珍しい。同種の働き方であれば、これまで泣き寝入りしていた人たちも認定される可能性が増した」「所属事務所はモデルの安全管理を徹底すべきだ、とのメッセージが込められた裁決だ」(中日新聞より)と述べている。

■従属関係があれば労働災害と認められる!
名古屋北労基署から個人事業主と判断された朝日さんだが、労働保険審査会ではイベント会場の受付業務などモデル以外の仕事も所属事務所から指示され従属関係にあったとして労働者とみなされた。遺族は労災認定とは別に朝日さんの所属事務所に対し安全配慮義務違反などで損害賠償を求めて提訴していたが、こちらも和解が成立した。業務中に発生する殺人事件というのは特殊なケースであろう。事件・事故での業務災害、または通勤災害で死亡した場合、労働者の遺族は遺族(補償)給付の受給資格が得られる。これは遺族年金と遺族一時金の2つに分けることができ、亡くなった労働者との関係、遺族の年齢などが考慮されて決定する。また、最先順位の受給資格者がいない時の遺族特別支給金や遺族特別年金なども労働者が死亡すると発生する。怪我、病気で仕事との因果関係が証明されれば療養補償給付または休業補償給付が得られる。

労働者なら誰にでも起こり得る労働災害。業務中に発生したトラブルは泣き寝入りせず弁護士に相談することが何よりも肝要と言えそうだ。

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