<fountain-pen-442066_640

経営理念や企業理念を作成している企業は多いと思います。一方で「理念」ということばは抽象的で、いまいち意味を把握できない方もいるのではないでしょうか?

そこで英和辞典(プログレッシブ和英中辞典(第3版))で「理念」を調べてみたところ、理念とは「idea(イデア)」、もしくは「Philosophy(哲学)」と訳されています。

さらに「idea」と「Philosophy」を英英辞典で調べてみると、以下のように説明されています。
(多数の説明が掲載されているため、主旨にあう説明を筆者が選んでいます。)

「idea(イデア)」
a principle or belief about how something is or should be
どうあるか、もしくはあるべきかを示す原理原則、信条

「Philosophy(哲学)」
the attitude or set of ideas that guides the behaviour of a person or organization
個人や組織の行動の規範となる姿勢やイデア

これらの説明から考えると経営理念や企業理念とは、経営するにあたって社員や組織の規範となる姿勢や、企業としてありたい姿を示す原理原則や信条を示すものといえそうです。

では日本を代表する企業の「経営理念」や「企業理念」には、どんなことが書かれているのでしょう?

■「経営理念」、「企業理念」をテキストマイニングで分析
一部上場企業を中心にWebを検索して313社分の「経営理念」、「企業理念」を収集しました。このデータをテキストマイニングという手法を使って分析してみることにしましょう。

テキストマイニングとは、テキストデータを分析する手法で、単語の出現頻度や、同時に出現する単語の関係性などを可視化することが可能です。なお今回の分析では株式会社ユーザローカルが提供している無料のテキストマイニングツールを使用しています。

まずは単語の出現頻度をみてみることにします。
頻度

注:単純に出現回数を数えた場合、例えば「おはよう」や「さようなら」など、文章の意味に特に影響を及ぼさない単語が出現頻度上位になってしまう可能性があるため、テキストマイニングツールには、文章の意味に関係のある特徴的な単語を出現頻度の上位にする機能が備わっています。また「お客様」、「お客さま」といった表記揺れや、「企業」、「会社」のように同じ意味を表している単語については、一つの単語と認識できるように筆者がデータを修正しています。

文字の大きさが大きいほど、出現頻度が高い単語です。

では品詞毎に、頻出する単語を列挙してみましょう。
名詞 :貢献、創造、お客様、私たち、社会、企業、豊か
動詞 :目指す、努める、応える、図る、優れる
形容詞:新しい、高い、良い、楽しい、おいしい、広い、優しい

列挙した単語を組み合わせるだけで「経営理念」や「企業理念」になりそうな文章が作れてしまいそうです。

そこで「共起ネットワーク」という分析手法で、どんな単語が文章中に同時に出現するかをみてみることにしましょう。
共起

丸の大きさが大きいほど出現頻度が多く、線の太さが太いほど同時に出現する回数が多いことを表しています。

出現頻度が高かった「貢献」との繋がりをみてみると、「社会」、「お客様」、「提供」、「私たち」、「豊か」、「サービス」、「商品」、「創造」、「実現」といった単語と太く繋がっていることがみてとれます。

この結果から、例えば、

「私たちは商品やサービスを創造し、提供することでお客様に貢献、もしくは豊かな社会を実現します。」

というような主旨の「経営理念」や「企業理念」を掲げている企業が、一定数いると考えられます。

■企業が社員に求めている仕事とは?
朝礼で「経営理念」や「企業理念」を唱和するといった習慣も少なくなってきた昨今では、「経営理念」や「企業理念」を念頭において仕事をする人は、それほど多くないでしょう。

とはいえ「経営理念」や「企業理念」は、前述のとおり経営するにあたって社員や組織の規範となる姿勢や、企業としてありたい姿を示す原理原則や信条を示したものであり、社員はその主旨に沿った仕事をすることが求められます。

テキストマイニングの結果を振り返ってみましょう。

「経営理念」や「企業理念」の主旨が「私たちは商品やサービスを創造し、提供することでお客様に貢献、もしくは豊かな社会を実現します。」

であるとしたら、社員には「お客様に貢献、もしくは豊かな社会を実現するような商品やサービスを創造する」

ことに繋がる仕事をすることが求められていることになります。

そのような仕事は商品開発に携わる人の仕事だろうと思う人もいるかもしれませんが、例えば営業であれば、自社の商品やサービスを使うべきお客様にアプローチしたり、よりお客様に貢献できるようにお客様からのフィードバックを社内にフィードバックをすることができます。総務や経理などのバックオフィス業務であっても、業務の効率化を推進し、内部コストを下げることで、新たな商品やサービスを開発する投資コストへの貢献が可能なはずです。

こうした態度で仕事をしていかなければ、徐々に単なる労働力としてしか見なされない仕事しか与えられなくなり、余剰人員として扱われる可能性も決して低くはありません。

勤務する会社の「経営理念」や「企業理念」を定期的に読み返し、自分の働き方を振り返ってみることも大切だといえるでしょう。

《参考記事》
■新入社員のうちに覚えておきたい!仮説思考の重要性と重病性(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/44386900-20150421.html
■企業任せでは済まされない?女性活用が進まない理由をデータで考える(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/43516534-20150224.html
■あなたの会社にもいるかもしれない?ビジネスメソッドマニアに気をつけろ!(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/40838018-20140914.html
■平均値をウソつき呼ばわりするのは、もうそろそろ終わりにしよう。  村山聡
http://sharescafe.net/39363307-20140614.html
■「飲み会は残業代出ますか?」と聞く前に新入社員が心得ておくべきこと 村山聡
http://sharescafe.net/38576145-20140430.ht

村山聡 中小企業診断士


この執筆者の記事一覧
このエントリーをはてなブックマークに追加




関連コンテンツ

シェアーズカフェからのお知らせ
シェアーズカフェでは住宅・保険・投資・家計管理など、個人のお金に関するレッスン・相談・アドバイスを提供しています。SCOL編集長でFPの中嶋が直接指導します。
シェアーズカフェ・オンライン編集長の中嶋が士業・企業・専門家向けの執筆指導・ウェブコンサルティングを提供します。




執筆者プロフィール