就職内定率は6年ぶりの水準に! 企業法務で雇用拡大は可能か?


大学4年生の就職戦線が本格化し、人事担当者も学生も必死に頑張っています。筆者も、大学の就職責任者として、学生指導等に勤しんでいます。そこで、今回から3回シリーズで、筆者が日ごろから学生に語り掛けているメッセージを記していくこととします。

■就活は人生の一大行事
就活は、人生の一大行事である。まず、その事をしっかりと認識して欲しい。就職活動は面倒であるし、時間も金もかかる。しかし、就職活動の結果次第で生涯所得が何千万円も異なるのだと考えれば、そのコストは決して惜しむべきではない。

学生から、「会社説明会があるが、出た方が良いか」「OB・OG訪問はした方がよいか」等々の質問を受ける事がある。それに対する私の答は、「しない方が良い理由があるのか?」である。「面倒だから」などと言う理由は、何千万円の生涯所得を懸けた戦いの最中に口にすべき事ではない。

「一生に一度だけ本気で頑張る」とすれば、それは就職活動の時期である。就職活動に失敗してからどんなに頑張っても、生涯所得はそれほど上がらないし、就職活動に成功してからある程度気を抜いても生涯所得はそれほど下がらないからである(気を抜くといっても、常識の範囲内で!)。

■1年生から準備を始めよう
よい就職をするために重要なことは、第一に自分の「商品価値」を高めることである。スポーツでも勉学でも、何かに打ち込むことで、就職戦線に於ける学生の商品価値は必ずや上昇するであろう。

就職試験で頻繁に聞かれる質問に「学生時代に打ち込んだ事は何か?」がある。これに対して「学生時代は何となく過ごしていました」と答えるようでは、大減点である。

アルバイトは、他人と同じ事をやったのでは得点にはならない。得点するためには「新聞配達を3年間続け、雪の日も嵐の日も朝の3時に起きて新聞を配りました」というような特別の努力が必要であろう。

もっとも、運動部にはいるのは大変だし、新聞配達も辛そうだし、勉学に打ち込んでも結果が出なければアピールには使えない、と考える人もいるであろう。そうした人は、たとえば、ボランティア活動に参加してみよう。

そうすれば、積極的に行動する人物である事、他人のために尽くそうという優しい心を持っている事、などを面接官が推測してくれるはずである。ボランティアを経験すれば、新しい発見があるであろうし、視野が広がって面接時の会話に広がりが出るという効果も期待出来るであろう。

学生から、「銀行を受けたいが、どんな資格をとっておくべきか」といった質問を受ける事がある。これに対する私の答えは、「何でもよい」である。銀行に限らず、多くの企業は学生が取得している資格をそれほど重視していないからである。

強いて言えば、銀行を受ける際にファイナンシャルプランナーの資格を持っていると、「銀行志望だったので、この資格を取りました」という「志望動機の立証材料」として使えるかも知れないが、それほどこだわる必要は無い。

何であっても、難しい資格ならば価値がある。難しい資格をとっていれば、「学生時代は資格取得のために頑張りました」と言えるからである。

■大人との会話は面接のトレーニング
就職戦線で嫌われるのはネクラ、無気力、変人であるから、ネクラな性格を転換するといった事も重要であろう。コミュニケーション能力を強化する事も重要であろう。企業が求めるコミュニケーション能力とは、「自分の考えている事を相手に伝える能力」であると同時に、「学生同士ではなく、大人と会話が出来る能力」である。

私のゼミでは頻繁に「最近気になったニュースは何か。そのニュースを聞いた感想を述べよ」と要求しているが、その目的の一つは学生のコミュニケーション能力を高めるための訓練という事である。

こうした訓練でなくとも、日常から大人と話をする機会を持つように心がけるだけでもコミュニケーション能力は自然と身に付くので、親でも先生でも知り合いの大人でも、積極的に話しかけるようにすべきである。アルバイトでも、たとえば飲食店の接客などを続ければ、ある程度はコミュニケーション能力が高まるであろう。それを考えると、アルバイトを探す時に、コンビニのレジより飲食店を優先すべきかもしれない。

幅広い情報網を持つように心がける事も、重要である。履修登録の時には、どの先生の講義が役に立つか、単位がとりやすいか、等々の情報が非常に重要であるが、就職試験に際しては、会社の雰囲気はどうか、採用試験で何を聞かれるのか、等々が重要である。

こうした情報は、公式資料(大学のシラバスや企業の求人票など)には載っていないので、実際にその講義を履修した人やその会社を受けた人などに聞くしかない。直接聞けない場合には、そうした情報を得てきた知人に聞くしかない。すなわち、重要な情報を入手するためには、多くの知人を持つことが重要である。

なお、こうした関係は、単なる知人であっては長続きしない。欲を言えば、当方からも有益な情報が提供でき、ギブ・アンド・テイクの関係になる事が望ましい。

■単位を揃え、貯金をする
次元の異なる話であるが、大学三年までに卒業に必要な単位を出来るだけ揃えておくことは、非常に重要である。就職活動中に講義に出席する事は、大きな負担であるし、取得単位数があまりに少ないと、面接官に「この学生は、内定を出しても卒業できないのではないか」と思われる可能性もあるからである。

就職責任者としては「4年生は勉強などせずに就職活動に専念しなさい」と言いたいが、それでは教育者として問題なので、言い方を変えて「3年間で4年分の勉強をしてしまいなさい」と言うことにしている。

大学三年までに貯金をしておくことも重要である。就職活動自体に金がかかることも当然であるが、それ以上に重要なことは、就職活動中はアルバイトをせず、就職活動に専念すべきだからである。「少なくとも半年間はアルバイトをしなくても飢え死にしない」ようにしたいものである。

半年間アルバイトをしないと、何十万円もの収入を諦めることになる。何十万円という金額は、学生にとっては大金であるから、アルバイトを続けたいと思う人も多いはずだが、何十万円を惜しんだことで「何千万円の生涯所得が懸かった戦い」に負けるような事があっては、一生後悔する事になりかねない。

■3年生になったら助走を開始
3年生になったら、就職活動の「助走」を始めよう。第一は、自己分析である。自分は何が得意で何が不得意なのか、何が好きで何が嫌いなのか、といった事に加えて、自分はバリバリ働いて偉くなりたいのか普通に働いて普通の生活がしたいのか、東京などの大都市で楽しい事も苦しい事も沢山ある生活を望むのか、故郷などで平凡に暮らすのか、といった人生観についてもじっくり考えてみよう。

助走の第二は、ニュースを見ることである。毎日見るのが大変ならば、週刊ニュースを見ればよい。欲を言えば、面接を意識して「今のニュースを見た感想は、・・・です」とテレビに向かって話しかけるようにすると、コミュニケーション能力の訓練にもなるであろう。

サラリーマンが登場するドラマなども見るようにしよう。ドラマなので現実とは若干異なるだろうが、それでもイメージ作りには役立つだろう。その際大切なことは、自分を登場人物と重ね合わせる事である。課長に叱られている新入社員に重ね合わせたり、新入社員を叱っている課長に重ね合わせたりする事で、会社の仕事がどのように進んでいくのか、何となくイメージできるようになるだろう。

背広を着た中年の男性に「会社」「サラリーマン」といったものについて、話を聞いておくことも重要である。お父さんでも親戚の叔父さんでも友人のお父さんでもよい。

話を聞くうちに、会社とはどういう所か、そこにいるオッサンたちは若者のことをどう見ているのか、といった事が何となくわかってきて、大きな失敗をしなくなるであろう。「履歴書で書類選考をする人も、就職の面接をする人も、多くはお兄さんでもオバさんでもなく、オッサンだからである。

【参考記事】
■銀行という職場の体験記(1)
http://ameblo.jp/kimiyoshi-tsukasaki/entry-12149636451.html
■大学の講義で工夫している事
http://ameblo.jp/kimiyoshi-tsukasaki/entry-12149225355.html
■サイレントお祈りに打ち克つには(増沢隆太 人事コンサルタント)
http://sharescafe.net/48729558-20160531.html
■内定、内々定とオワハラの関係とは?(リーガルネット)
http://sharescafe.net/47623940-20160127.html
■内定辞退の作法(増沢隆太 人事コンサルタント)
http://sharescafe.net/46036751-20150826.html

筆者が大学の就職責任者として学生に伝えるメッセージは、3回シリーズでお伝えします。次回は「志望先の決め方について」「入試と就職試験」「履歴書の自己アピール」「就活の自己アピールは、自慢気味に」、第3回は「志望動機」「面接の練習」「諦めない」「明るい未来」です。ご期待下さい。

塚崎公義 久留米大学商学部教授


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