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フリーアナウンサーの小林麻耶さんが体調不良で休養に入っているが、私は、小林さんが休養に入る前に上程した著書、「まや道」を読ませて頂いて、大変勉強になった。


■「まや道」から私たちが学べること
この本を読むと、小林さんがたくさんの心のダメージを受けながらも、それを乗り越え、試行錯誤をする中で身に付けた生き方がリアルに伝わってくる。

それは、一般のビジネスマンにとっても、ストレスを軽減し、楽しく仕事をしていくためのコツとして参考になりそうなものであった。

小林さんが「まや道」の中で述べていることで、私が特にその通りだと思ったことを、本稿では3つの論点に分けて紹介をしたい。

■「素の自分」を大切にする
第1は、「素の自分」を否定しないことがむしろ成功につながるということである。

小林麻耶さんの世間的な印象というと、「ぶりっ子」の代表的な存在であろう。

この点について、小林さん自身は、意図して「ぶりっ子」をしている訳ではないが、自分の素の状態が、世間一般から見ると「ぶりっ子」に見えてしまうのだろうと分析している。

小林さんは、「ぶりっ子」という印象や評価により少なからずの人に快く思われないことに心を痛めたそうだが、「まや道」において

「ぶりっ子」と言われてしまう私の見た目や身振り手振りは素なので、やめられません。素だからどんなに非難されても根本を変えることはなかなかできませんでした。(「まや道」 P134)


と述べている。

そして、素の自分を肯定し、自分の気持ちに素直になろうという境地に至ったそうである。

小林さんは「ぶりっ子」という印象を常に持たれながらも、TBS時代には『輝く!日本のレコード大賞』の司会を5年連続で努めるなど、TBSを代表するアナウンサーとして活躍し、フリーになってからも『バイキング』のレギュラーなど活躍を続けている。

小林さんが「ぶりっ子」だから会社の上層部に色目を使って仕事をもらったのではないかという中傷を受けることもあったそうだが、一時的なブレイクならともかく、これだけ長い間活躍を続けられるのは、小林さんが「ぶりっ子」であるかどうかに関係なく、小林さん自身の実力と努力の結果であろう。

小林さんは、休みは月3日、1日の労働時間は17時間。週4回は会社近くのビジネスホテルに泊まったり、疲労のあまり電車で帰宅できない時は自腹でタクシーを使い、給料のほとんどがタクシー代に消えてしまったこともあったそうだ。

単なる「ぶりっ子」がそこまで努力をするであろうか。

小林さんは、「ぶりっ子」に見えてしまうという性格を表面的に繕ったりするのではなく、自分の性格として受け入れた上で、真摯に仕事に向き合い、結果を出してきたからこそ、重要な番組を任せられ続けてきたのであろう。

どんなに努力をしても「ぶりっ子」という表面だけを見て批判する人はいたそうだが、久米宏さんや安住紳一郎さんなどアナウンサーの先輩は小林さんのことを認め、色々なアドバイスをしてくれたということである。番組で共演した多くの有名人の方も、小林さんのことを理解し、受け入れてくれたそうだ。

すなわち、なかなか直せないような強い個性を持っていても、自分の仕事に対して真摯に取り組んでいれば、「あの人は個性的だけど、仕事はキッチリやる」ということで周りの信頼を掴むことができ、逆に個性をチャームポイントにすらできるということを、小林さんは実績をもって証明しているということである。

強弱こそはあれ、人間は誰もが個性を持っている。

しかし、仕事で成果を出すために、無理矢理その個性を矯正しようとすると、自分の生まれ持った良さを失い、場合によってはメンタルを病んだりもしかねない。

「普通にしよう」とか「性格を矯正しよう」と考えるのではなく、逆に、素の自分を認めた上で、自分の仕事に対して真摯に向き合うことが成果につながるのではないだろうか。

■「嫌われること」を受け流す
第2は、嫌われることを受け入れる、ということである。

「嫌われる」ということに対して小林さんは次のように述べている。

いまでも「嫌われたくない」というのが本音です。でも、私を嫌っている人にまで気を遣う必要はないと思えるようになりました。(「まや道」 P114)


自分のことを嫌っている人への対応で心をすり減らしてしまうことが、仕事上でメンタルを病む原因になる場合は少なくない。

確かに、他人から嫌われることの精神なダメージは少なくない。

だが、無理に自分を偽ってその人に好かれようとするよりも、潔く嫌われているということを受け入れるほうが、心理的には楽なのではないだろうかということである。

小林さんは、このようにも述べている。

人に好かれたいと過剰に思うことは、私を嫌っている人に、「どうして私のことを嫌いなの?」と胸倉をつかんで詰め寄るようなことです。これが恋愛だったら、すぐに彼に別れを切り出されるくらい重い人、それが私でした。

それに気づいてからは、「私を嫌っている人がいる」、ただそう思う、それだけになりました。(「まや道」 P114)


私自身も、どちらかといえば個性が強いほうなので、「あ、この人は自分のことを嫌っているな」と、感じることは少なからずある。そして、「自分は悪いことを何もしたつもりはないのに、なぜあの人から嫌われるのだろう」と思い悩むことは過去にもたびたびあった。

しかし、「まや道」の次の一節を読んで、はっとさせられたものだ。

私はどうしたら嫌われないかと、私のことを嫌いな人ばかり気にして、自分のことを好きでいてくれる人に目を向けられていませんでした。

そう思って周りをよく見てみたら、こんなに応援してくれる人がいることに気がつきました。(「まや道」 P80-81)


怠惰な生活を送っていたり、いい加減な仕事をしていて周囲から嫌われるのは当然のことであろう。それは「身から出た錆」である。

しかし、真剣に仕事に向き合っている中で生まれる好き嫌いは、「ウマが合う、合わない」も含め、やむを得ない部分ではあるので、それは受け流すことが正解なのであろう。

嫌っている人と将来、何かのきっかけで分かり合えることがあるかもしれないが、あくまでも素の自分のままで分かり合えるチャンスがあればラッキー、くらいに考え、嫌っている人の関心を買うために表面的に自分を取り繕う必要はないということである。

そもそも、真剣に仕事をしていれば、多くの人が応援をしてくれるはずである。

そうであるならば、嫌っている人を無理に振り向かせることにエネルギーを使うよりも、応援してくれる人の期待に応えるためにエネルギーを使うことのほうが、圧倒的に楽しいし、心も軽やかになるであろうというのは、小林さんの言う通りである。

■「既読スルー」という素晴らしきバランス感覚
第3は「既読スルー」というバランス感覚を身に付けることである。

人の意見に耳を傾けることは、その人と信頼関係を築き、また、自分自身が成長する糧を得るためにもとても重要なことである。

しかしながら、人の意見に耳を傾けすぎて、自分を失ってしまったり、それが心理的な重荷になってしまったりしては、本末転倒である。

小林さんは、次のような結論に至ったということだ。

いままでは人の承認ばかり欲しくて人に合わせようとして結局、自分がブレやすくなってしまっていたから、これからは人の価値観は一応受け入れるけど、「既読スルー」でいいかなと思っています。(「まや道」 P122-123)


人の話を聞く際に、真にその人の言ったことに共感し、学びが得られたなら受け入れれば良いが、共感できなかったときには、否定はしないが、その人に好かれるために無理をしてその価値観を受け入れるのはやめるべきだということである。

このバランス感覚は、本当に的を射ていると思う。

私自身もサラリーマン時代、同じような結論に至ったからだ。

私がサラリーマン時代に最後に仕えた上司は「部下は上司の考え方に100%従うべき」という考え方を強烈に持った人だった。

その上司の考え方に染まってしまえばサラリーマンとしては当面安泰だったのかもしれないが、無理をしてまで私は上司の人格に自分を合せることはできなかった。

かといって、上司と真っ向から対立すると、サラリーマンとして仕事をすることはできない。
実際に、その上司と対立したために干された同僚もいた。

したがって、仕事を円滑に進めるために、上司の考え方は理解するが、必要な限度で協調をしながら、自分を見失わないように気を付けよう、というバランス感覚を私は自ずから身に付けて行ったものだ。

サラリーマンは様々な上司に仕えなければならないから、「既読スルー」というスキルは絶対に必要である。

上司が変わるたびに自分をその上司に合わせようとすると、どこかで無理がでてしまう。

「自分」という存在を見失わないようにするためには、上司の考え方を理解し、仕事上で必要な範囲では上司に合わせるものの、自分の根本的な価値観までは変える必要はないということだ。

なお、さらに振り返れば、度量の大きな上司の下についたときは、そもそも「既読スルー」を意識する必要はなかった。

度量の大きな上司は、もともと「様々なものを受け入れる心の余裕」を持っているので、部下の個性を認め、長所を伸ばすようなマネジメントをしてくれる。だから、私は安心して働くことができたし、その上司のことが好きだった。

「既読スルー」は、相手の価値観を押し付けられるが、その人と関わりを持たなければならない時や、直接関係のない第三者などから批判を受けた時などに、自分を守る心の鎧として身に付けておくと、とくに効果があると私は思った。

■結び
小林さんは、自分がどうすれば自分が楽に生きられるかを見つけ、それを本にまとめられるくらいになったが、実践するためには、もう少し休養が必要なのかもしれない。

きっと、自分の中で正解に到達するまでに様々なご苦労があったのだろう。

その心身の疲れが癒え、小林麻耶さんが早期に元気になり、復帰されることを祈り、また、「まや道」において貴重な示唆を与えてくれたことに感謝し、本稿の筆を置きたい。

追伸

本記事の入稿直前、小林麻耶さんの妹の麻央さんが、進行性の乳がんであることが、夫の市川海老蔵さんより公表され、筆者も衝撃を受けた。

「まや道」の中でも、麻耶さんが麻央さんをどれほど大切に思っているかがひしひしと伝わってきたので、麻耶さんの中で、麻央さんを案ずる気持ちは、とてつもなく大きなものになっていたであろう。麻央さんは手術をされる方向とのことなので、手術が無事に成功し、がんを克服されることをお祈り申し上げたい。

《参考記事》
■独立するなら学びたい、AKB48のキャリアウーマン岩佐美咲の仕事術 榊 裕葵
http://sharescafe.net/47686063-20160201.html
■AKB48選抜総選挙のスピーチからビジネスマンが学ぶべき言葉 (榊 裕葵 社会保険労務士)
http://sharescafe.net/45082578-20150608.html
■日テレ内定取り消しの笹崎さんに必要なのは「指原力」だ。 (榊 裕葵 社会保険労務士)
http://sharescafe.net/41885958-20141114.html
■社会保険の未加入企業は「逃げ切り」ができるのか? 榊 裕葵
http://aoi-hrc.com/shakaihoken-mikanyuu
■社員を1人でも雇ったら就業規則を作成すべき理由 榊 裕葵
http://aoi-hrc.com/blog/shuugyoukisoku-sakusei/



榊裕葵 特定社会保険労務士・CFP 
ポライト社会保険労務士法人 マネージング・パートナー 



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