甘く見ると大変なことに! 税理士も非介入の印紙税調査とは

法人の税務調査というと、法人税・消費税・源泉所得税の三つを思い浮かべがちですが、国税局は「印紙税」も調査の対象とし、適正な課税に努めているようです。
国税庁の発表によれば、2014年7月から2015年6月までの1年間、3,472場に対して調査等が行われ、3,065場から収入印紙の貼り付け不足等が見つかり、その不足税額は27億7,400万円にものぼりました。

印紙税調査は、税務署から納税者に事前通知の必要がなく、法人税等の調査で追加として調査されることが多いのが現状です。
また、税務調査をサポートできる税理士も、印紙税は業務の範囲外のため、うっかり調査に口出しすると担当調査官から「代理権限がない」と言われてしまう可能性があります。
今回は、この税理士も介入できない印紙税に注目してみたいと思います。 

■印紙税調査の方法
印紙税とは、経済取引などに関連して作成される文書にかかる流通税です。不動産売買や土地貸借契約書、手形、配当金領収書、株券などの課税文書の作成者が定められた金額の収入印紙を貼り付けて消印する方法や、税務署に行って所定の手続きをした上で、現金で納付する方法があります。

平成25年度税制改正により、領収書等にかかる印紙税の非課税範囲が、それまでの「記載金額3万円未満」から、平成26 年4 月1日以降に作成されるものについては「5万円未満」に引き上げられました。
また、「不動産譲渡契約書」「建設工事請負契約書」にかかる印紙税の軽減措置の延長および拡充も行われました。

納税者にとって嬉しい改正ではありましたが、前述の調査状況からも分かるように、チェック体制も厳しくなったようです。

調査では契約書類などを中心に、収入印紙の貼り忘れがないかをチェックし、貼付ありの場合は正しい金額の収入印紙か、消印があるかどうかをチェックしていきます。

不正としては、収入印紙の使い回しが多いそうです。
このようなことを防ぐため、国税庁は収入印紙の図柄を微妙にかつ不定期に変更しています。課税文書作成時と、文書作成時に貼られた収入印紙のデザインにズレがないかを照らし合わせて、使い回しされていないかも確認しているそうです。

納付すべき印紙税を課税文書作成時までに納付しなかった場合、「過怠税」が課され、当初納付すべきだった印紙税の3倍に相当する税が徴収されます。
ただし勘違い等に気付き、自ら不納付を申し出た場合は1.1倍の過怠税で済みます。

■印紙税課税漏れ事案
東京に本社を置くある銀行は2012年9月、東京国税局の税務調査を受け、2012年8月までの3年間で印紙税約2億1,300万円の納付漏れを指摘されていたことが分かりました。
印紙税法に基づく過怠税は、なんと約2億3,500万円でした。

指摘を受けたのは「審査結果のお知らせ」と記した、住宅ローンの融資承認時に送付する顧客向けの文書。銀行側は、契約手続の案内なので印紙は必要ないと判断し、印紙を貼りませんでした
しかし国税側は、融資承認を示す文言の記載があるため、印紙税が課される契約書に当たると指摘。これを受けて同銀行は、過去3年間にさかのぼって自主監査したところ、約1万1,500件の該当書類が見つかったそうです。
この後、同銀行は、融資承認を示す文言を削除した文書に改めました。そして2013年4月に過怠税を全額納付したそうです。

このように、印紙税課税対象の文書がどのようなものかを理解していないと思わぬ指摘を受けるリスクがあります。過怠税を納付せずに済むよう、改めて印紙税対象の書類について見直してみる必要があるかもしれません。

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