苦手意識


「苦手意識」というものはとてもやっかいなものです。
人間は一度そう思い込んでしまうと、なかなかその思い込みから抜け出すことが難しいからです。
たとえば、「人混みは苦手」と思っている人がいたとして、その苦手意識をどう忘れさせるかは難しい問題でしょう。

私はビジネス数学の専門家として活動しております。
具体的に申し上げれば、「数字」に対する苦手意識を克服させるプロフェッショナルです。

そこで今回はビジネス数学に限らず、この「苦手意識の克服」が得意な指導者とそうでない指導者の違いについて解説することにします。

■苦手意識の正体
たとえば「3.14」という数字。この数字を円周率だと思って見てしまうと、途端にイヤな気分になる方も少なくないでしょう。かつて不快だった算数や数学の授業を思い出してしまうからです。

しかし、もしこの数字をホワイトデーだと思って眺めてみたらどうでしょう。少し甘い感情になったり、大切な人のことを思い出してイイ気分になるかもしれません。

つまり、人は数字そのものが苦手なのではありません。「数字」というものから、勝手に不快なものを連想してしまっているのです。これが私の考える、「苦手意識」の正体です。

■克服のポイントは「気分」にある
どんなに「私は数字が苦手」だと言い張る方でも、自分の好きな数字は言えます。大晦日の年越しカウントダウンでは楽しそうに数を数えます。自分のラッキーナンバーを知りたければ、喜んで計算します。
つまり、イイ気分の状態で数字を扱うことが増えれば、自然に「苦手意識」は薄れていくのです。

たとえば私の通うスポーツジム。この施設にはプールがあり、水泳のインストラクターもいます。そのインストラクターは、水に対する恐怖心が強い人のレッスンでは曲を流して踊らせ、大きな声を出させ、参加者を楽しく水と戯れさせています。

その時の参加者たちの表情はとても「水が怖い」人たちのそれとは思えません。つまり指導のプロフェッショナルは、「イイ気分」を提供することで苦手意識を克服させているのです。

仮に私が「人混みが苦手」という思い込みがあったとしても、大好きなサッカー観戦やMr.childrenのライブでは「人混み」などちっとも気になりません。つまりそういうことです。

■なぜ深沢真太郎はセミナーで歌うのか
私もセミナーなどでは(もちろんTPOによりますが)歌をうたったり、失笑されるような小ネタを挟むことで参加者の気分をマネジメントしています。
要するに、常にイイ気分で数字と戯れることができるよう場をコントロールしているのです。

手前味噌ではありますが、私の研修やセミナーの感想はたいてい「楽しかった」「面白かった」「数字に対する恐怖がなくなった」です。でも数字に対する苦手意識が薄れ、少し数字を使って考えたり、数字で説明してみようと思えたのなら、その研修はそれで十分「成功」なのです。

相手の苦手意識が強いテーマを指導する場合は、まず相手の「不快」を取り除き、イイ気分にさせなければなりません。

■指導者だけ「イイ気分」になってどうする
ところが、私のような数学やビジネス数字を専門とする指導者は、相手の感情など気にせず、つい指導者のほうがイイ気分になってしまうことが多いように思います。

「この面白さがなぜわからないのか?」
「この数式は美しい」
「いや、やっぱり数字って奥深いよな」
……

数学に限らず、ついこのようなセリフが口から出てくる指導者は要注意です。おそらく、イイ気分なのはあなただけであり、あなたは一生「苦手意識の克服」ができる指導者にはなれないでしょう。

余談ですが、かつてコンビニエンスストアのキャッチコピーに「セブンイレブン、いい気分!」というものがありました。このフレーズを使って、私は皮肉を込めてよくこう言います。

セブンイレブン、いい気分。
ビブンセキブン、イヤな気分。

これもまた失笑を買う小ネタなのかもしれませんが、数学の指導者の方は決して笑えないのではないでしょうか。

■すべての「苦手意識」を克服させる方法
今回の話は私のような教育者だけに関係するものではありません。
たとえばあなたが企業に務める中間管理職だとして、部下が苦手とする仕事の仕方を指導することもあるでしょう。たとえばあなたに子供がいれば、その子が苦手な教科を教えるときにも同様のことが言えるでしょう。

・苦手意識の正体は、不快なものを連想してしまう症状である
・まずは「イイ気分」でいられる場をつくる
・その場で少しだけ苦手な行為をしてみる

裏を返せば、あなた自身が持つ何らかの「苦手意識」も、このアプローチで克服できるはずです。


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深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント


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