おもしろい人


たとえば「おもしろい人」とはどんな人でしょうか。あなたも普段から何気なく誰かのことを「この人はおもしろい」と言っているはずです。ちなみにここでの「おもしろい人」とはお笑い芸人のことではありません。ポジションや価値観がユニークな人のことを指します。

■「おもしろいですね」と言われる人
手前味噌ですが、私が自己紹介などで自分の活動内容を説明すると、10人のうち2人か3人は「へぇ、おもしろいですね」とおっしゃいます。ちなみにその自己紹介とはざっくりこんな内容です。

「私は算数や数学を使って、ビジネスパーソンの数的リテラシーと論理思考を教育しています。ビジネスパーソンのための数学のセンセイがいたって、いいじゃないですか」

ふつう数学を専門として仕事をする人は学校で教育者をしたり、あるいは研究者になったりします。だからこそ、私はそうでない方向を選びました。なぜなら、そのほうが「おもしろい存在」になれると思ったから。そこで、今回はこの「おもしろい」の正体を少しだけ数学的に説明してみることにします。

■志村けんがおもしろかった理由
私が幼少の頃、「ドリフ大爆笑」というバラエティ番組がありました。そのテレビ番組内で、こんなシーンがあったことを今でも鮮明に覚えています。いかりや長介さんがドリフターズのメンバーに「右向け、右!」と指示をします。

ところが、メンバーの中で志村けんさんだけが左を向くのです。小学生でもできるコント。しかし、たったこれだけでもお茶の間で笑いが起こるのです。そのとき私はなんとなく感じました。「ああ、誰もが行く方向と逆に行くって、面白いのか」と。

魚類学者でタレントの「さかなクン」はなぜメディアでウケるのか。トークがおもしろいこともその理由のひとつかもしれませんが、本質はそこではありません。他の魚類学者さんとはまったく違う方向に進んだから。そのことが「おもしろい」のです。

■おもしろい=逆に行くこと
数学という学問でもそれは同じでした。
既に知られた解決法や、誰でもそう考えるだろうという論法はまったく評価されません。言ってしまえば、それは「つまらない」とうことです。しかし、普通は右に行くところをあえて左に行ってみる、といった思考法は(私も含め)数学の専門家は大好きです。「ほう、おもしろいじゃないか」と。

たとえば数学における右と左はなんでしょう。もっともイメージしやすいのはプラスとマイナスかもしれません。一般的な認識として、数を2乗したらプラスの数になります。たとえば−3を2乗したら+9です。誰もが知っている常識です。

しかし、誰かがその真逆のことを考えました。すなわち、2乗したらマイナスの数になるような数ってなぜないの? ないなら定義してみては? かつて数学を少し勉強された方はご存知かもしれませんが、この発想が「複素数」と呼ばれる新たな数の世界を生み出し、数学の世界はグッとおもしろくなりました。逆に行くことで、おもしろいことが起こったのです。

■私の日経新聞の読み方は「おもしろい」らしい
私の本業は企業研修による数的思考トレーニングですが、参加者から「これはおもしろいですね」と必ず声があがるエッセンスがあります。それは私の日経新聞の読み方。具体的には、私はいきなりタイトルや記事は読まず、最初に記事のグラフや表などを読みます。

そのデータを読み、いったいどんなことがいえるのか、この新聞記事はどういうことを論じているのか、推測します。推測したうえで、ある意味では“答え合わせ”として記事の文章を読むのです。普通はタイトルを見て文章を読み、必要であればグラフや表を参照する読み方をするでしょう。しかし私が提唱する“逆の読み方”をすると自然に数字を読み解く訓練になります。

高額セミナーやビジネス書に頼らなくとも、簡単に数字に強くなれてしまいます。これもまさに「誰もが行く方向とは逆に行く」ことの例です。そしてそれを人は「おもしろい」と言うのです。

■「おもしろい」は、つくれる
「数学なんて何の役に立つのか?」という問いに、多くの方はこのように答えます。
「論理思考や数的リテラシーが身につく」
「解読されない暗号や渋滞緩和など、世の中の問題解決に役立っている」
たしかにその通りではありますが、違った見方も欲しいところ。

数学を正しく学べば「おもしろい人」になれるヒントも得られる。換言すれば、「おもしろい」は数学的につくれる。私が自ら実践しているように。そういうことも教育者がしっかり教えてあげたら、誰も「数学なんて何の役に立つのか?」なんて言わなくなるのではないでしょうか。


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深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント

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