ハロウィン


先日テレビの報道でもありましたが、ハロウィーンの市場規模がおよそ1300億円(推計)。もはやバレンタインデーと同等のマーケットに成長しています。
今年も仮装して楽しそうに街中を歩き、パーティをする若者や家族をたくさん見かけました。

なぜこんなに急成長しているのか。専門家によってアプローチは異なりますが、今回はこのテーマを数学的に考察してみます。

■数学における「定義」の重要性
まずは少しだけ数学の話にお付き合いください。数学における「定義する」とは、たとえば「自然数とは0を除く正の整数のことと定義する」といった行為のことを指します。

実は数学とは、異常なほどにこの「定義」を気にする学問です。なぜなら、数学では最初にする行為が「定義」であり、もしその「定義」を変えれば議論や結論がまったく違うものになるからです。

たとえば線という表現も、それが「直線」なのか「線分」なのか「半直線」なのかが明確に定義されていないと数学は始められません。ですから数学の専門家は定義をとても気にするし、既存の定義を壊したら何が起こるかを考えたりするのです。

■誰かが定義を変えた?
ではハロウィーンの話。市場が急成長した最大の理由は、このイベントの定義がいつの間にか変わったからと考えます。具体的には、ハロウィーンの定義が「いつもはしない奇抜な服装や特殊メイクが許されるイベント」に変わったから。(いったい誰が定義を変えたかという議論は残りますが)

言うまでもなく、ハロウィーンとはもともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事です。もちろんそれを知っている方が多数でしょう。

しかし、それでもハロウィーンを楽しんでいる人々の定義は「仮装できる日」ではないでしょうか。もし仮装して楽しそうに街中を歩く人にその理由を訊ねたら、この答えが返ってくる可能性が極めて高いと考えます。「え? だってハロウィーンだから」と。

■定義を破壊しようとする人たち
このテーマに限らず、ヒットを生むひとつのアプローチは「定義を変える」と考えます。たとえばかつてボールペンの定義は、「消えないインクで書くペン」であったはずです。ところが誰かがこの定義を根底から変えた。結果、「消せるボールペン」は大ヒット商品となりました。

ビジネス上手な人は、既存の「定義」を破壊することで大ヒットやイノベーションを起こそうとする。数学のように。

■指数関数でビジネスをする
話をハロウィーンに戻します。もちろん「定義を変えた」だけではこれだけの急成長の説明にはならないでしょう。私はそこに指数関数的な要素があったと考えます。シンプルに言えば、足し算ではなく掛け算の構造になっているということです。

友達が仮装するから私も。子供が仮装するからママも。ママがするならパパも。あの店がパーティをするならウチの店も。

これに限らず、ビジネス上手な人の条件は「掛け算の構造をつくれる人」と考えます。たとえば優秀な独立コンサルタントなどは、同じコンテンツをセミナー、書籍、動画、メルマガ、音声など様々な形態で商品化しています。いわゆる、ワンリソース・マルチユースという考え方です。どう考えても、「1×1」より「1×5」のほうがビジネス的に効率も良いですから。

■たった2つのシンプルな条件
まとめると、ビジネス上手な人の条件は「定義を破壊する人」と「掛け算の構造をつくれる人」ということになります。シンプルな結論。よくビジネス書などに書かれていることかもしれません。

しかし一方で、そのシンプルな条件を満たせればヒットは生まれるということでもあります。ハロウィーン市場の拡大がそれを証明しています。数学的なフィルターを通して見ても、ビジネスにおける成功事例には共通点があると言えます。

■話題のドラマも2つの条件を満たす
余談ですが、いま「逃げるは恥だが役に立つ」というテレビドラマが話題になっているようです。視聴率も良いとか。これもまたヒットの事例ということになりますが、私はこのタイトルに「定義の破壊」を感じます。本来ネガティブなものと思いがちな“逃げる”という行為をポジティブなものと定義しています。

また、ドラマのエンディングで流れる出演者のダンスもとても好評だとか。SNSなどで映像も拡散され、とても話題になっているようです。言うまでもなく「掛け算」を仕掛けています。
ヒットの要因が主演女優の可愛らしさだけではないと思うのは、決して私だけではないはずです。

私も含め何らかのビジネスをされている方、大ヒットやイノベーションを起こそうと企てている方、ぜひこの機会に考えてみではいかがでしょう。自分のビジネスは「定義の破壊」と「掛け算の構築」をしているか。数学的に仕事をしているか、と。


【関連記事】
■ビジネス数学 「多数決」で決めるな。(深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント)
http://business-mathematics.com/blog/archives/1233
■「おもしろい」は数学的につくれる(深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント)
http://sharescafe.net/49672113-20161001.html
■「苦手意識」を克服させられる指導者の共通点(深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント)
http://sharescafe.net/49282870-20160811.html
■そのディスカッションは、数学的か(深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント)
http://sharescafe.net/49182313-20160728.html
■「話すネタがない」は数学的に解決できる(深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント)
http://sharescafe.net/49282870-20160811.html

深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント


この執筆者の記事一覧
このエントリーをはてなブックマークに追加


関連コンテンツ
シェアーズカフェからのお知らせ
シェアーズカフェでは住宅・保険・投資・家計管理など、個人のお金に関するレッスン・相談・アドバイスを提供しています。SCOL編集長でFPの中嶋が直接指導します。
シェアーズカフェ・オンライン編集長の中嶋が士業・企業・専門家向けの執筆指導・ウェブコンサルティングを提供します。




執筆者プロフィール