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解散発表後も相変わらず様々なメディアから注目度が高く、改めて空前の国民的アイドルだったという印象のSMAP。

現在はメンバー揃っての活動が見られないのにも関わらず、冠番組は継続され、一体どのようなフィニッシュを迎えるのか年末が注目される。かくいう筆者も、52歳のオヤジながら今回の解散を残念に思うファンの一人である。

はたして今後、SMAPの穴を埋めるようなアイドルは現れるのだろうか。

■SMAPが築いた強固な人気の秘密とは
コアな女性のジャニーズファンだけでなく、もっと広く一般にもSMAPが知られ始めた頃から、マルチな才能をもつ彼らの人気の秘密はよく分析の対象にされていた。

10代の女の子ばかりか20代以上の大人の女性たちが夢中になる理由として、彼女たちが青春の真っただ中だった高校生の頃に、学年やクラスにいたであろう存在にSMAPが準(なぞら)えたりされて表現された。

中居正広さんは、スポーツができるクラスのまとめ役として。
木村拓哉さんは、少し危ない香りのする学年一のモテ男として。
稲垣吾郎さんは、無口で繊細な王子様キャラとして。
草薙剛さんは、いつもニコニコ穏やかな癒し系として。
そして香取慎吾さんは、元気でかわいい下級生キャラとして。

タイプのまったく異なる5人だが、ブレイク直後は「付き合いたい男性ランキング」上位をメンバーで独占する勢いであったし、木村さんに至っては1994年から15年間、抱かれたい男NO,1の座を守り続けた。ファンにとってSMAPは、手の届かない印象のお高くとまったアイドルではなく、疑似恋愛の対象でもあったのではないだろうか。

■アイドルの新分野を開拓したSMAP
そんなSMAPは、いくつかの意味で、それまでのアイドル枠を超えたエポックメイキングな存在であったと言えよう。

今年でデビュー25周年を迎えるはずだったらしい彼らだが、それ以前には20年以上もトップアイドルとして第一線に居続けた例はない。

ちなみに私の年代で検証すると、1964年生まれの私が10歳のころ、つまり1974年ころのアイドルといえば、郷ひろみ・西城秀樹・野口五郎の「新御三家」がブレイクしていたが、20年後の1994年には新御三家は既に大物芸能人の地位を確立していたが、その一方トップアイドルといえる存在ではなくなっていった。

その他にも、SMAP以前に20年以上もトップアイドルであり続けた例はなかろう。というより、そもそも40歳を過ぎた中年男がアイドル扱いされるという立ち位置は、おそらく彼らが初めて築いたものであり、歳を経るにつれ、アイドルから俳優やアーティスト、タレントへと転身していくのが当たり前であった。

それは、若くてかっこよくて清純で美形、というのが当たり前だったはずのアイドルが、昼のバラエティでレギュラーを務め、抱かれたい男1位に選ばれ続けるほどセクシーで、パロディコントではブサイク顔メイクも披露し、リスクの高い司会やフリートークもこなすという、新しい価値を創造した点に要因があると思われる。

52歳オヤジの私が申し上げるのもファンの皆さんには心苦しいが、現在、ジャニーズの後輩であるグループのいくつかは同様のマルチ性を持つものの、そのパイオニアたるSMAPを超えることは難しいだろうと思われる。

■リスクを取った独自性が生む価値創出
なぜSMAPは、こうした突き抜けた人気を長期に維持してこられたか。ここには企業が長く生き残るための「価値創出」が見てとれる。

新しい価値を創出するときには、開拓者として大きなリスクを伴うが、同時にリターンも大きい。

コントでブサイク顔のメイクを披露することは、当然ながらアイドルにとって大きなリスクを伴う。同様に、お笑い芸人と対等にフリートークを展開しようとすることや、バラエティの冠番組を持って露出し続けることにも、従来のアイドルファンが離れていく大リスクがあったわけだが、そのリスクを克服した彼らが得たリターンは大きかった。

そしてそれらは、新しい価値を創出した企業も同様である。国内で言えば、マクドナルド、セブンイレブン、ユニクロ、ブックオフなど、新たな商品や流通を創造した企業が得たリターンは長期で大きく、フォロワーが首位の座を奪うのはやはり難しい。

■ユーザーの生活スタイルの提案
また、SMAPが開拓したものは自分たちサイドの才能ばかりでなく、ファンサイドの楽しみ方にも見られる。

SMAP以前には、アイドルのライブ会場に訪れる40歳以上の女性といえば、保護者役のお母さんがほとんどであった。

ところがSMAPのコンサートでは、会場にファンとして親子連れで訪れることが珍しくない。あるいは複数の母子友達同士でライブに出かけ、しばらくはその余韻で彼らの出演番組をチェックして楽しむ。

10代の娘と40代の母親が同じ目線で楽むことができる彼らのライブは、ファンにとってもそれまでのアイドルには無かった楽しみ方のスタイルであろう。

企業も同様に、ユーザーの生活スタイルを新提案できるはずだ。

顕著な例としては、コンビニが普及する以前の地方住宅地では深夜に人通りなどなかった。食品や生活用品を深夜に購入したり、預金を引き出す事などもできなかった。現在の私たちは知らず知らずのうちに、コンビニの存在以前と以後とで異なった生活スタイルをしていると言える。

また、スターバックスやフェイスブックなども、私たちの生活スタイルを提案して、受け入れられてきたサービスであると言えよう。

■ポストSMAPはどうなる
さて、芸能界ではよく「ポスト◯◯」という言い方をするが、今回はどうか。

「ポスト=役職」の企業での人事とは異なり、抜けたからといって代わりの人材を補充できるわけではない。

あるいはスポーツ界のようにポジション制でもないので、誰かが抜けたからといってそれを補充しなければ困る、というものでもない。

ファンは、SMAP解散で空いた心の穴を、誰かが用意した代役をもって埋めるわけではないし、また埋めなければならないわけでもない。

はたして新たにオリジナルな価値を創出する誰かが、SMAPを超える存在として登場してくるのだろうか。

【参考記事】
■ドラマ「家売るオンナ」の三軒家万智にも売れない これからの地方の中古住宅 (玉木潤一郎 経営者)
http://sharescafe.net/49574910-20160919.html
■三菱自動車の不正問題に見る、下請け企業の自己防衛と金融機関の支援 (玉木潤一郎 経営者)
http://sharescafe.net/48497051-20160501.html
■中小零細企業に必要な「仕事がうまい」人材(玉木潤一郎 経営者)
http://sharescafe.net/48242519-20160331.html
■「チェーン店の地方出店にはFC制導入を義務化してしまえ」という暴論をまじめに書いてみる (玉木潤一郎 経営者)
http://sharescafe.net/49736835-20161010.html
■せっかくの学びが、地方のビジネス現場で役に立たない理由(玉木潤一郎 経営者)
http://sharescafe.net/48339489-20160411.html

玉木潤一郎 経営者 株式会社店舗応援団 代表取締役

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